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日本一のプロゲーマーが異世界転生したら意味わからん強さしてました   作者: Mini
第1章 始まりの街

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魔法ランク『A』vs 魔法ランク『?』

「正人さん…少し僕と戦ってみませんか?」

「ん?ああ…良いけど」

ユーノは冷や汗を垂らしながら正人に提案する。提案された正人は何事もなく普通の顔をしている。自分が魔法を使えると自覚してワクワクしている表情も見せない。あたかも最初からできていたかのような感じ…。その返答を受けてユーノは背筋がゾクゾクする感覚がした。

(さっきまでとは別人じゃないですか…)

魔力、魔法を知らなかった正人が少し覚えただけでここまで魔法を上手く扱うとは思ってもいなかったユーノ。

それはそうだろう…実際魔法を出す時に詠唱をしないといけない所正人は『水よ』と唱えただけで数滴の水ではなく濁流のような水を一気に出した。魔法ランクAのユーノとならば自然と試してみたくもなるし、この圧倒的天才を前にして少し怖気付いてしまう。その二つの入り交じった感情…武者震いをして拳を強く握る。

「んで、ルールはどうする?」

「そうですね…相手が参ったと言うまで。これでどうでしょうか?」

「わかった。それでいこう」

お互いに部屋の真ん中に向かい、数歩手前で止まる。

「…行きます!」

ユーノは態勢を低くしてそう告げる。正人はすぐに頷き、瞬きをした直後…目の前からユーノの姿は消えていた。

(落ち着け…ここの部屋の構造は理解できた。後は魔法を出して対処するだけ)

正人は右足を後ろにザッと音を立てる。その刹那…

「『水の剣よ』」

後ろからユーノの声が聞こえ正人はそちらに振り向く…が、いない。

「どうなってる…」

(魔力で後ろに行っているように見せかけたということは、この瞬間に別角度で狙ってきてるな)

すぐ正解にたどり着いた正人は右手を振り払うようにバッと広げ、魔法を詠唱する。

「『雷鳴!』」

ビリビリっと音を出し、青色の稲妻が正人の頭上の魔法陣に直撃しそれが砕ける。その瞬間に正人は後ろにいると見せ掛け頭上から魔法陣からの詠唱攻撃と気づく。

「アッハハ!…すごいですね!」

雷が魔法陣を壊したのと同時に目の前にいきなり現れたように出現するユーノ。

「試したな…」

「これで終わりませんよ」

ユーノはものすごく楽しそうな表情を見せて拳をふりかざす。正人はそこから体をひねり回し蹴りでその拳を受け止める。

「『水の剣よ』」

拳を振りかざした逆の手で水の剣を生成するが、正人はそれをすぐに察知して右手を地面に向けて青黒い魔法陣を発動させる。

「『飛べ』」

そう詠唱したのと同時に正人とユーノの体は勢いよく宙に浮く。そうすれば当然ぶつかっていた拳と足は離れ、ユーノが水の剣を振りかざすモーションに入る。

(このまま切りかかれば後ろにある防具に体をぶつける…態勢を崩せば僕の勝ちだ!)

そう確信したユーノだったがその考えはすぐに外れてしまう。

「『磁力』」

「…!?」

紫の電気がビリビリっと正人の手に纏い、後ろにあった防具やレプリカの剣に魔力を纏わせそれを磁力でユーノに投付ける。

(嘘でしょ!?魔力を武器に纏わせるのはこの戦いの後にしようと思ってたのに…もう独学で…)

飛んできたひとつの剣を紙一重で避けるユーノ。次から次へと飛んでくる防具を水の剣で弾き、最後の1個まで減らしたところで正人がユーノの目の前にギュンっと接近していた。

「『水よ!!』」

大声で叫ぶように詠唱したユーノの詠唱。持っていた水の剣がビームのように変形し正人を襲う。

「…やば!やりすぎた…」

恐怖なのか興奮のせいなのか…ユーノは思わず威力を上げてしまったのを反省し目を見開く。

「あっぶね〜…今のはちとやばかったな」

右手を前に出し魔法陣で守っていた正人。そのありえない光景を目にし、思わずユーノはニヤリと笑みを浮かべてしまう。

(こんな感覚…初めてだ…)

学園で首席で卒業したユーノ。強敵がいなかったという訳じゃない。だが今日初めてあった青年を前にし、ここまで早く成長し、ここまでの才能を見せつけられるのは初めての出来事だった。汗が頬を伝い、その緊張感を今はただ楽しんでいるユーノだった。

(正人さんに魔法を教えるはずだったのに…まさか僕が試される形になるなんて)

その笑みを正人は見ていたのか、手をひょいひょいと煽るようにし口を開く。

「どうした?来いよ…俺にもっと魔法を教えてくれ」

「…もちろんじゃないですか!」

踏み込み、ギュンっと加速するユーノに正人もついて行く。

(思ったより、魔法楽しいかもな)

人間世界では間違いなく味わえないこの非現実感。自分の鼓動が高鳴っているのを正人は自覚していた。

見ただけである程度理解しできてしまう。生まれ持った才能を存分に活かす場所は…きっとこの世界なんだと…正人は思ってしまう。

ユーノは自分の周りに魔法陣を無数に発動させながら右拳を正人の顔面目掛けて振りかざす。正人は難なくよけ、右手を前に出して先程ユーノが出していた物を出そうと詠唱する。

「『水の剣よ』」

ニヤリと笑いながら詠唱された水の剣はユーノが出した普通の剣とは違い、青黒く異質を放った剣が出現する。それをガシッと正人が掴むと勢いよく振りかざして無数の魔法陣を一気に破壊する。

「…化け物すぎる…」

体を仰け反るように反射的にその攻撃を避けてユーノは言葉をこぼしてしまった。

(この人…ほんとになんなんだ…これで魔法を知らないって無理がありすぎるんじゃ?)

そこまで考えたところで頭を左右に振り切り替える。

割られた魔法陣の破片を再度構築するように魔法陣を生成…さすがにそれを予想していなかったのか正人は後方へ軽くジャンプして構える。

「いい危機察知能力ですね…爆発でもさせようと思ってたのですが…」

「さすがの俺も爆発は受けたくないんでな…」

(今のユーノの魔法…マジで俺を殺す気だったんじゃないか?)

その疑問を顔に出さず、ゆっくりと互いが伺いあうように見つめながら歩く。1歩でも動いたらそれに反応できるように…その緊張感がヒシヒシと伝わってくるのを感じる二人。

((隙がない))

図らずも二人の思考は重なる。

数秒その時間が続いた後…ユーノはその歩みを止めて両手を上にあげる。

「降参です降参!僕の負けです!」

「…いいのか?お前本気出してないだろ?」

「いいんですよ。今回は正人さんに魔法を教えることだったので…」

「…そうか」

バツの悪そうに返事をする正人。実際の所正人も気づいていた。本気を出さないように同じぐらいの力で戦ってくれていたことに。でも最後の割れた魔法陣の破片が再構築した時…ユーノは確かに本気で倒しに行こうとしていた。だからこそ、この降参宣言は正人からしても驚いてしまう部分だった。

肩をすくめる正人を見てユーノは言った。

「確かに僕は多少手加減をしていました。ですが…あなたから放たれる魔法はどれも凄まじく、僕の魔法の威力を上回っていました。あなたは本当にすごいです。」

真摯に告げられるユーノの顔を見て正人は目を閉じて視線を彷徨わせながら口にする。

「天才…とは言わねぇんだな」

「?」

今まで…何をしてきてもだいたい最後にはその言葉を告げられていた。聞きたくもない悪魔のような言葉。別に望んでいる訳でもないのに天才だからという理由で煙たがれる人生。それが正人自身の人生そのものだった。

ユーノも正人が天才で…才能溢れる人間だと知っている。でもそれを口に出さなかった。正人の言葉を聞いて首を傾げていたユーノだったが…何が言いたいのか察し、微笑しながら言う。

「天才…っていう一括りにはしたくないんですよね」

「…!?」

思いもしない返答が帰ってきて正人は目をカッと見開く。その目をじっと見ながらユーノは続ける。

「正人さんは確かに才能もあり、色々なものに恵まれていると思います。例えば先程の戦いでの防具を浮かせて投げた時…」

ユーノの告げる言葉に耳を傾けながら正人も思い出す。

(多分癖になってんだよな。その部屋を把握するのを)

そう…正人はプロゲーマーで培ってきたマップの理解度を活かし、この部屋に入った時には既にどこに何があるかの把握をしていた。正人自身意識してやった事ではなく、無意識的に体がそうしてしまっているのだ。

「僕が思うに…与えられたものを存分に使えてこそだと思っています。あなたはまだ上がある。だから言いませんよ」

優しい表情…優しい口調でそう言われ正人は「そうか」と…どこか嬉しそうにして言葉を返した。

不思議な感覚だった。自分のことをちゃんと見てくれる人に出会えたんだと…正人は思った。

(妹以外に人として見てもらったのは初めてかもな)

フッと笑みを浮かべる正人をみてユーノは怪訝な顔で話しかける。

「そういえば、魔力の消費はどうですか?体とかだるくないですか?」

「うん…特にないな」

その言葉を聞きユーノは両手を少しあげて「やれやれ」という仕草をする。そして肩を竦め、眉を下げて言った。

「多分あなたなら…僕を超えてSランクに行けると思います。魔法もきっと教えなくていいでしょう」

どこか哀しげな顔でそう言うと、正人はそれを否定しながら口にする。

「いや…魔法はこれからも教えてもらうつもりだ」

「…え?」

「原理は分かるが、他の難しい奴とかは出来ないだろうしな…そういうのはまた教えてもらいたい」

「…そういうことなら…」

正人がやっていたのは『基礎魔法』を極限までに高め、威力も高すぎる魔法。それを出来ているのは正人が人間世界で勉強をし、その原理を理解していたから。水…もっと言うのなら元素を覚え、化学反応を起こすように出す魔法。

しかしながら治癒魔法や複雑な魔法は正人も使えないというのは自覚していた。だからこの戦いではユーノの真似をしたり、磁力、電気と言った自然魔法を使用していた。

正人は真摯な顔をして改めてユーノを見る。

「これからもよろしくな…ユーノ」

「はい!よろしくお願いします!」

互いに握手をし、防魔法室での訓練?が終了したのと同時にガチャっと防魔法室の扉が開く。開いたドアの方に視線を向けるとそこにはメイドがたっており、少し慌ただしそうにしながら二人に行った。

「ユーノお坊ちゃま、夕ご飯の支度が出来たのですが…その…」

(あ、そういえばシーナとミアが手伝いに行ったんだったな)

正人はそこでハッと思い出すが…このメイドの表情をみて何となく察した。

「どうした?」

首を傾げながら聞くユーノにメイドはもうこれは耐えきれないと声を上げるようにして…

「ユーノ様ぁぁ!助けてくださいぃぃい!ブラックホールのようなものが…」

子供が泣きつくようにメイドはユーノの肩に手をおきうるうると涙をうかべる。

そして正人とユーノは目が点になりながら…

「「ブラック…ホール?」」

案の定…その日の夜ご飯はとんでもない思いをした二人だった…

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