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異能世界の復讐機  作者: 結城 からく


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5/5

第5話

(異能力犯罪者に情けは不要だ)


 私は折れ曲がった街灯を引き抜いて振り回す。

 その瞬間、ジャージの男が大声を出した。

 声に伴う衝撃波が街灯を破壊して攻撃を妨げる。


(あいつが衝撃波の異能力者か)


 ジャージの男が今度は私に向かって大声を発した。

 刹那、私は全身に激しい振動を覚えた。

 視界にノイズが走り、連続してエラーメッセージが表示される。

 相応のダメージを負ったようだが、身体はまだ動く。

 そう考えた時、サングラスの男が肥大化した腕を掲げていた。


「ぶっ潰れろォ!」


 腕が頭上から降ってくる。

 私はその場で踏ん張って受け止めた。

 あまりの力に膝が軋み、全身のモーターが悲鳴を上げる。

 アスファルトが割れて足が陥没しかけていた。

 このまま耐え続けるのは難しそうだ。

 対処に迷っていると、頭の中で城島の声が響いた。


『お困りのようだからアドバイスしよう。君には専用の武装が内蔵されている。まず右手には高周波ナイフが』


 説明の途中、私は意識を右手に移す。

 手首からスライドして出てきたのは幅広の刃だった。

 これが高周波ナイフらしい。


 私は押さえ付けてくる巨大な腕にナイフを突き刺した。

 まるで豆腐のようにすんなりと刃が入ったので、そこから切り裂きながら疾走する。

 サングラスの男は顔を歪めて喚き出した。


「いだだだだだだだだっ!?」


 肥大化した腕の力が緩む。

 痛覚は人並みらしい。

 私は泣きじゃくる男の懐に潜り込み、その首を高周波ナイフで薙いだ。

 噴き出す鮮血が視界の一部を染める。


『左手には小型ショットガンを搭載してある。ロックオン機能があるから遠慮なく撃ちたまえ』


 すぐさま私は左手をジャージの男に向ける。

 揃えた指先が展開して火を噴いた。


 放たれた散弾が男の顔面に炸裂する。

 続けて頭部が膨張して弾け飛んだ。

 おそらく発生した衝撃波が暴発したのだろう。


(あと一人……)


 赤髪の男は背中を向けて逃げ出していた。

 仲間が死んで形勢的に不利を悟ったようだ。


 素早く接近した私は男を投げ倒し、その首に足を乗せた。

 そのままゆっくりと力を込めていく。

 苦痛に呻いた男は暴れ出した。


「ちょ、やめろって!」


 至近距離で火炎を浴びつつも、私は構わず体重をかける。

 鈍い音がして男の首の骨が砕けた。

 何度か手足を痙攣させた後、完全に動きを止める。


 私はふと顔を上げる。

 遠巻きに見守る野次馬がこちらにスマートフォンを向けて撮影していた。

 困惑と恐怖、そして興奮で盛り上がっている。

 私は彼らを無視して近くの路地裏に入った。


『やあ、快勝だったね。機械の身体の性能はどうかな』


「……かなり強かったですが、まだ足りないです。攻撃も防御もさらに強化したいです」


『贅沢な意見だね。まあ検討しておこう』


 城島と直前の戦闘について話しながら、私は自身の状況を顧みる。

 成り行きで動いてしまったが、これで私は自警団の一員となったわけだ。

 今後もサイボーグとなって異能力犯罪者を狩ることになるのだろう。


 そこに関して後悔はない。

 むしろ感謝している。

 立場を変えようと私が掲げるのは正義だ。

 人々のために信念を突き通すだけである。


 私は亡き家族のことを想いながら空を見つめた。

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