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5:VSスパイスツリー(1)

 

「ホレハーブティーだ。うめぇぞ?」


「─あ、旨いな。コレ何のハーブだ?」


「『エメラルドハーブ』と『ハイグリーンポップ』、隠し味に『エンジェルハーブ』のミックスさ。……それで、スパイスツリーがなんだ?」


 長い話になると言われたので茶を入れ、椅子に腰を下ろし本格的に話を始めた二人。リョクバはまずスパイスツリーと言う生物について話し始める。


「あぁ。俺の村にもいるだろ?スパツリが。アレは緑色の葉っぱをしてる奴でクラヌもたまにスパイスを取って行った程だ」


「あぁやけに薫り高いアレか……。そんな危険じゃないんだろ?」


「あぁ。─『グリーン』はな。スパツリには種類がある。グリーンは俺らでも飼える程弱くて飼育が楽な奴だ。だが『イエロー』から危険度が跳ね上がる。捕獲ランク……。だったか?アレがグリーンの奴がE-。ならイエローはC+だ」


 ちなみに捕獲ランクは『強さ』『厄介さ』『その他』によって上がる。例えばミートドラゴン。アレは『まぁまぁ強くて』『基本的に群れで行動して』『数さえあれば街一つ磨り潰せる』『が基本臆病なんで人前に出ない』為C-ランクを付けられている。


「C+……。って事はあのミートドラゴンより強い……って事?」


「あぁ。そのミートドラゴンってのが何かは知らんがそうだ。それと同じ危険度だと思ってくれ。だが……聞いた話によれば『レッドツリー』が観測されたそうだ」


「どのくらい強い?」


「……捕獲ランクは分からん。だが以前まで沢山あったハイバオバブの木はな……。レッドツリーによって根こそぎ栄養を奪い取られて枯れたんだ」


「……やべぇって事?」


 明日になれば皆でスパツリを総出で撃退しに行くのだと言う。だがその前にリョクバはリシャルに頼みたい事があると話を続ける。


「もし俺が戻らなかったらよ……。お前の親父のところに二人を頼む」


「おいおい!冗談は止めてくれよ!お前の好きなグリーンカレーでも作って待ってるから帰って来いよな!」


「……あぁ。出来るだけそうするさ」


 その内三人が帰って来たので代わりにリシャルらが風呂に入りに行く。風呂には緑髪のエルフが集合していた。恐らく明日本気でスパツリを殺しに行くつもりらしい。後さっさと入ってちゃっちゃと寝るだけ。


「お前ら寝ろ!消すぞ魔法!」


「分かったー!」


 そうやってわちゃわちゃしながら寝て翌朝。リョクバ率いる戦士たちがスパツリに狩りに向かった。太陽も顔を出さない内に行き寝込みを襲う。少なくともレッドツリー以外はそれで簡単に倒せる。レッドツリー以外は。


「─行くぞ!」


 と、それから一時間後。アズマはアサとガオに連れられるまま秘密基地とやらに遊びに行っていた。リシャルにはちゃんと『秘密基地に行ってくる』と説明している。


「あーあ。兄ちゃんどっか行っちゃって暇だよ~!だから秘密基地行こ秘密基地!」「ボクらが頑張って作ったんだ!すっごい大きいんだよ!」


「そうなんだ。それで秘密基地ってどこにあるの?」


「森の奥!でっけぇ~赤い樹の近く!」「凄い紅いんだよ!しかも実がなってる!でも美味しくないよ」


「そうなんだ」


 しばらく歩いていると本当にびっくりするくらい紅い樹が見えた。秘密基地に行く前にとりあえず実を取ってみるがクソ渋い実だった。ビーツみたいな見た目の果実である。少なくとも生で食べるものではない。


「……ん。不味い」


「コレ名前『ビーツリー』って言うんだ!美味しくない実を付けるよ!」「でも漬物にすると美味しいよ!」


 とりあえず秘密基地の中に入るアズマ。ぶっちゃけ素人建築なのでまあアレだが少なくとも雨風をしのげる程度である。自分も昔に秘密基地作ったなぁ~とか感慨深げに頷いているとお茶を出されるアズマ。


「コレ粗茶!美味しくはないけど飲める!」「その辺の草で作ったよ!」


「─粗茶?」


 臭いだけで拒否感を覚えるレベルの物質だが飲み込むアズマ。なんだかんだ子供に優しい奴である。


 そんな彼らをよそにスパツリVSリョクバ隊の戦いは激しさを増していた。スパイスツリーは動く樹木である。スパツリの攻撃方法は根っこや枝などを伸ばしての攻撃、または実を催涙弾のように使う爆撃行為。特に枝の攻撃は強力で少し刺されば肉ごと抉り取られる程の威力を有している。


「怯むなお前ら!回復魔法はまだ使える!」


「レッドツリーは!?」


「見えた!距離300、もうすぐ……射程圏内だ!」


 そう誰かが叫んだが早いか、大量の根っこによる攻撃が彼らに襲い掛かる。それに刺さった動物がミイラになり干からびていく。恐ろしい事に掠っただけでも掠った部位が渇いていく。枯れ木よりも干からびていく。


「ウガァッ……!」


「─回復魔法を使え!それとそいつを連れて逃げろ!」


 回復魔法。それは怪我人に対し魔力を注ぐことで肉体を回復する魔法。だが今の一回で回復担当のエルフの魔力がすっからかんになる。それはつまり完全に刺さったら全魔力を注いでも直らないと言う事。


「各自散開!奴は見えてる範囲にしか攻撃しない!今見えた!」「魔法は駄目だ!コイツ魔法弾きやがる!」「インチキじゃねぇかよ!クソッたれ!」


 阿鼻叫喚とはこの事だろう。だがリョクバはその中でも相当冷静だった。

 第一に『枝攻撃は見えてる範囲だけ』『根っこ攻撃は下に面した場所にだけ』と言うのを見抜き。

 第二に『魔力を吸収する性質があり』『弓矢などに魔力を込めると自ら刺さりに行く』と言う性質があるのを把握した。


「……なんだ?」


 分かったからこそ疑問に思った。このレッドツリーと言う存在は完封出来る生き物だと。

 もし仮に今ここに刃物がありそこに魔力を流せばこいつは自ら切られに来るだろう。最もその枝より切れ味が良い刃物があればの話だが。

 それはともかく変なのだ。コレが強いなどとは口が裂けても言えない。アレよりヤバイ生き物はぶっちゃけ沢山いる。シャバリェがいただろう。アレより強い訳が無い。アレは腐っても龍。


「─なんだこの違和感」


(まるで『魔力を集めるだけの存在』『中身のない空っぽな生物』。と言うよりまるで機械……)


「……い!おいリョクバ!あいつ逃げていくぞ!」


 そう考えたところでレッドツリーが逃走を開始する。この時点で彼らの勝利である。……だと言うのにリョクバは一人そのレッドツリーを追いかけていた。深追いする理由などないはずだが、リョクバはただ気になったから全力で追い始めていた。


「リョクバ!?」


「悪いお前ら!俺はコイツを追う!なんだか知らんが……怖いんだ!」


 追って行きしばらくした時、リョクバの目には最悪な光景が映った。正直薄々感じてはいたし、嫌な予感はずっとしていた。だが事実だと認めたくはない。無いから現実逃避しかけた。


「─なんだこの数は……?!」


 先ほどまでハイバオバブがあった場所、彼らのいる村から少し離れた樹全てが……レッドツリーへと変貌していた。だがヤバいのはそこではない。これだけの数がいるのに先ほどのように襲ってこない。まるで命令を待つ機械のように。


「……いる。こいつらを従えてる女王様って奴が……!」


 エルフ達があのレッドツリーに負けたのではない。この近くにいる存在……、言わばこのレッドツリーの女王がハイバオバブからエネルギーを根こそぎ奪い取り枯らしてきたのだろう。もし仮にこの軍勢が攻め込んできたのなら勝ち目は一切ない。


「……村を捨てるしか……!」


 未だ動かないレッドツリーを尻目に、リョクバは一人村へ急いで戻るのであった。


スパイスツリー:葉の色によって捕獲ランクが変動する。下から順にE-<C+<A+。

エルフ種:この世界のエルフ達は別に菜食主義とかじゃない。野菜類が好きなだけで肉は普通に食う。人間との関係はやや悪め。メイン武器は弓と魔法で本気で戦争する場合攻撃が届かない場所から魔法と弓をひたすらぶっ放してくる面倒くさい奴。魔法の使い手の種族の中で二番目に凄い。

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