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神へと至る道


 ネルと男は再び沈黙が流れた。外では小鳥が囀っていたがいつの間にか止んでおり、真っ赤な大鳥がいた。


「……神?それは進化ではならないのか?」


 男はこの世界にある『進化』の存在を思い出し、ネルへと質問した。


「あぁ、確かにワシも()()()じゃが駄目だった」


 ネルは既に人間の最上位種が『亜神』だと確信していた。もし成れるなら、()()()()()()()()時に至ってる筈だからだ。


「それで神に至る方法をあの神に聞いたのか…?」


「そうだ、勿論お前に話した事以外にもする事はある。しかし、それは何年も前に済んでいる」


「それで、残るはさっきの話か……」


「しかし、せめて武芸者として……」


 男は今までの空気などお構い無しに


「いいよ」


 許諾の返事をした




 


「俺が師匠を()()()






 男とネルは話し合い一週間後に死闘をする事にした。正確に言えば、戦闘式葬式とも言える。ネルは弟子を殺さないのだから。


 しかし、それはネルと男の間には雲泥の差があるからだ。


 未だネルに撃ち合いをやっと出来てきた男が初めての死闘に勝てる筈がないからだ。


 その晩、ネルは家を離れた所にある川のほとりにある大岩に腰掛けた。


 その石の上で酒瓶をいつものようにラッパ飲みして。


「……これで…………終わりなのか」


 ネルは田園の上に被さる満点の星空へ、独白をするように語り掛けた。


「数万年、この世界に生まれ落ち、生きてきた。この世界がいかに残酷で、無慈悲で、醜いものかは見てきた。しかし、それこそが美しいものだと気付いたのは、一体いつの日だっただろう」


 彼の周りでは川の清涼が広がり、神秘的な雰囲気を醸し出していた。


「だが、それも一週間後には見れなくなる。………元から望んでいた事で後悔はなかった。死に方も選び、最高の気持ちで逝けると思っていたが………」


 そう言い止まると、酔いが足りないと酒を一気に半分ほど飲み干した。


 そうすると自然と口が開いた。


「……弟子とはこんなにも師の心を捕らえるものなのだな」


 彼は昔を思い出し何かに納得するように頷くと、酒瓶の中身を飲み干し、晴れやかな顔で帰路へと足を運び出した。


 




 

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