酒の入手先
「弟子よ、村に買い出しに行くからついて来い」
「え、いいんですか?」
「うむ、ワシ以外の人とも会話をしないと、社会に馴染めなくなるじゃろう」
男が修行を開始して50年が経過した。ネルとの打ち合いでも10分は保つようになり、魔法についても攻撃魔法、回復魔法、補助魔法、防御魔法をそれぞれ一つずつ習得していた。
ネルは男に話をすると、森の中を2人並び走りき始めた。
「師匠、今から行く村はどんな感じですか?」
「なに、普通の村じゃよ…、と言っても弟子には分からないか。村人は数十人ほどでのぉ、綺麗な花がある長閑な場所じゃ」
「いつも食べてる物は全てそこからですか?」
「そうじゃ、まぁ、魔物の肉はワシが狩りに行っているがな」
「魔物どんな生き物ですか?」
「それはお主の目で見た方がいいじゃろう。もう少ししたら、魔物を使った鍛錬もするつもりじゃ。それまでは秘密だな」
「それまで楽しみにしたますよ」
2人が話を続けていると
「お!あれが村ですか」
2人が山の頂上に辿り着くと、そこから小麦畑が広がり、一面の金の川が流れていた。家が建つところから離れた場所を眺めると、前世と似た牛や豚のような家畜も草を食べている。
「このまま降りて、最初に村長の家に行くぞ」
「了解」
そう話すと、2人は一気に山を駆け降りた。
「遠くからよく来られましたね」
2人が村に着くと、この村の村長の自宅を訪ねた。優しそうな村長夫妻で、隙があればすぐにイチャイチャしている。
「本日も魔物の素材と交換ですか?」
「あぁ、それとわしの弟子を見せにな」
「どうも、弟子です」
「私はこの村の村長をしているマルクといいます」
三人はネルが持ってきた魔物の素材を交換していった。皮は毛織物へ、魔物の心臓である魔核は食糧へ、魔物のを間引く報酬として酒を樽3つとなった。
「そうそう、今度からわしの代わりにこの弟子を使いに出すから、覚えておいてくれ」
「このお弟子さんがですか?」
「そう見たいですね」
男は驚いた様子もなく、酒ばかり眺めていた。
「わかりました、次回からお願いします」
そう村長が話を締めると、二人は荷物を持って家へと帰っていった。