ファル・レリナ
これから前書きや後書きも書こうと思います。どうぞ今度ともこの作品を楽しんで頂けると幸いです。
ユースが戦場をめちゃくちゃにしていた頃、クルス王国最強と名高い第四騎士団が守護している南区では圧巻の戦いを繰り広げていた。
複数の部隊に分かれた騎士団が、乱れなく進軍し、魔物達を狩っていた。
その後方で現騎士団団長であり、世界有数の強者であるファル・レリナが控えていた。
「団長、現在味方の被害はほぼ無く、既に魔物の四分の一を殲滅しました」
「順調だな」
「はい」
ファル・レリナの名前の有名さで市民の間ではあまり知られていないが、第四騎士団はその精鋭さから他国の間でも恐れられている『二大騎士団』の一つである。
彼等は単独でB級の魔物を討伐でき、集団で当たればA級も無傷で討伐できる精鋭だ。
「しかし、順調なのはここまでのようです。奴が来ましたね」
魔物を押していた騎士団の中央の部隊が、突然隊列を崩し始めた。
「クルック、中心を開けさせろ」
「は!全軍!!中央を開けよ!」
副団長のクルックが号令すると、一瞬隊列が崩れていた騎士団は即座に隊列を変更した。
「流石、私の率いる部下達だな」
中央にいた魔物達は突然目の前が空き、深く考えずに街に向かってきていた。
結果、それが彼等の最期となった。
「何故通れると思ったのか?」
ファルが剣を振るっただけで中央を通った魔物達は上半身と下半身がお別れしていた。
彼女は剛剣流という流派の師範である。剛剣流は歴代の勇者が使う力の剣である。
この流派が力の剣と言われる理由は、使い手を徹底的に限定する事にある。
魔力、身体能力、センス、精神、どれか一つでも足りないだけで基礎ですら習得ができない鬼門の流派である。
しかし、その力は絶大で、世界の強者と呼ばれる存在の殆どがこの流派の剣技を使っている。
剣を振るだけで、雲を貫く山を斬り、闇深き渓谷を作り、何万の生物を一振りの元で切り裂く。
殆どの生物は一振りのみで全滅してしまう。
しかし、それは相手が弱い場合だけであるがーーー
「ーーーおやおや、こんな所で大物にお会い出来るとはなんと光栄な事でしょう!」
斬られた魔物の群れの中から、一人の男がファルに向かって歩いてきた。
「それはこちらの台詞だな、なんでこんな所に特級危険魔族であるヴァローガがいるんだ?」
「それは我らを魔王様が受け入れて下さったからですよ」
「………全く魔王は面倒な事をする!」
ファルは一歩でヴァローガに近づくと一瞬で切り裂いた。
「しかも、よりにもよってコイツまでいるとは魔王は狂っている」
「それは悲しい」
ヴァローガは体の中心を斬られているにも関わらず笑っていた。ヴァローガぎ口を開けた瞬間にファルは全力で距離をとった。
「全く、さっさと死ねばいいものを」
ファルが先程までいた周辺の魔物の遺体はいつの間にか消えていた。
すると、いつの間にか無傷で立っていたヴァローガは斬られた自身の下半身へと歩きだしていた。
「いやはや、私も剛剣流の技を受けれるとはなんたる光栄でしょう。体の震えが止まりませんよ!」
するとヴァローガは自身の下半身を味わうように食べ、うっとりとした顔に狩猟的な笑顔をファルへ向けた。
「嗚呼、貴女はどんなに美味しいのでしょうか?」
ここに、『瑚竜の騎士』と『暴食の紳士』との戦いが幕開けした。
この作品が面白い!もしくは少し改善したら面白い!と思った方はブックマークをどうぞよろしくお願いします。
改善点は作品の質を上げるために絶賛募集中です!(無い方が良いのに、絶賛募集中していいのか?)