悪夢
更新が遅かったので長く書きました。
ユース達が寝坊をする前に遡る。
魔王軍との戦争が開始された頃、北区では異形の怪物のせいで被害が少なからず出ていた。
「くそ!なんだコイツら?!こんな魔物見たことないぞ!」
冒険者を率いるザクナらはその怪物に苦戦していた。
「なに?!ゴブリンと同じようにオーガが魔法を使うだと?!」
「くそ!なんでポイズンスパイダーとオークの上半身が繋がっているんだよ!」
そうそのキメラは、果てなき森に住んでいた魔物達が無理やり合成させられた姿である。ただくっついているだけなら問題はないが、キメラの厄介な特性は、
「ザクナさん!!!コイツら耐性持ちが潜んでます!」
「くそ!」
合成された生物の特性を引き継ぐ所にある。そのため、人類が手出しできない存在を生み出す可能性があり、世界で禁止されている。
(魔族の野郎……、キメラまで造りやがって!)
「ザクナさん!盾役の半分が既に怪我で後退しています!」
今回の侵攻で攻めてきたキメラは、高い破壊力を持つ、オーガ、オーク、機動力がある、スパイダー系の魔物がブレンドされており、まだC級の盾役しかいないこの戦場では荷が重い存在だった。
「全体後退しろ!城壁を主軸とした戦闘変更すーーー」
「ーーーそんなのさせるわけないじゃん♪」
「っな?!」
いつの間にか前衛の冒険者と城壁との間に一人の魔族がいた。
「それ♪追加だよ?」
すると、続々と前線にいたキメラ達と同じ魔物が現れた。それに加えて、劣化竜のキメラも数体紛れ込んでいた。
「くそ魔族め!!!」
後退しようとしていた冒険者達が吹き飛ばされる姿を見ると同時に、ザクナは後ろの魔物を対処し始めた。
しかし、たった一人でどうにか出来るわけもなく冒険者達は徐々に四方を囲まれた。
「全力で退路を作れ!!」
後方に控えていた魔法部隊のリーダーであるクナラは焦っていた。
(このままだと前線を維持する事も出来ずに街の侵入を許してしまう……!あのキメラの力だと城壁も簡単に破ってくるぞ!)
魔法部隊の攻撃自体は魔王軍に甚大な被害を出してはいた。
しかし、そもそもの母数が圧倒的に異なるため、たったの四分の一しか削れなかった。
更に、必死の魔法攻撃により魔法部隊の魔力が殆ど空になっていた。
すると、クルスは持参していた上位魔力ポーションを一気に飲むと、明らかに不慣れであろう飛行魔法を使い前線へと飛び出した。
一方、前線のリーダーであるザクナは一人離れた所で魔族と戦っていた。
「くたばれ!『振動』!!」
ザクナが剣を振るうと同時に付近を擬似地震を起こして野次馬の魔物達を足止めしていた。
「そんな僕の玩具ばかり見ていいの?ヘルフレア」
ザクナの死角にいつの間にかいた魔族は、第四界魔法をわざと簡易詠唱にして放った。
ザクナは即座にその場を離れた。次の瞬間、先程まで彼がいた場所は一部がガラス化していた。
(なんて威力の魔法を撃ちやがる!?支援に特化した魔族だと思ってたが、戦いに慣れてやがる!)
ザクナが魔族の方へ急加速して近づき、キメラを切り裂いた。
「なっ!?」
「残念〜、外れたね?罰として、ヘルフレア」
「くっ?!」
ザクナは回避をしたが、先程よりも近くで放たれたため足の一部が熱により服と癒着した。
(回避しても余波の熱だけでも怪我をする!だが、近づいたとしてもいつのまにかキメラと場所を交代しやがる……、くそ!相性が悪すぎる!!)
「さてさて、君はあとどれくらい踊ってーーーっ!」
「それはここまでですね!」
「クルス!」
クルスが持つ『表面』により回避が遅れた魔族は片足を取られ、そして一緒に放たれたファイアーランスに直撃した。
「ザクナもこの程度の相手に負けてたんですか」
「何言ってんだ、これから負ける相手に花を持たせたんだよ!」
「しかし、魔族はやはり厄介ですね」
「あぁ、あの攻撃でも無傷とは」
魔族は咄嗟に魔法壁を張ったため、被害は軽微で済んだ。
「………る……い…………許さないぞ!ニンゲン!」
しかし、人間をおもちゃと考えていたナーサはおもちゃが突然所有者に牙を剥き、激怒した。
「お前らはすぐに殺してやる」
ナーサの体から隠れていた膨大な魔力が溢れ出し、可視化出来るほどの濃密の魔力を纏っていた。
「……遅れるなよ?ザクナ」
「……そっちこそ、死ぬなよ?クルス」
二人の決死の戦いが始まろうとしていた。
その次の瞬間、空から人型の物体が勢いよく墜落した
「「「は?」」」




