いざ戦線へ
「………疲れた」
『………全くです』
一人と一匹は、門限ギリギリに駆け込み入場した。先程まで、特級危険魔族と鬼ごっこをしており、全力で逃げていたために全身がボロボロになっていた、ペルだけが。
『ご主人何もしてないでしょ!!』
「あ、バレた?」
『何がバレた?ですか!!私は死に物狂いで逃げてたんですよ!ご主人がこのまま帰ったら駄目だから巻け、とか言って森の中で立体軌道の様に駆け回ったり、空中戦もどきもしたりで大変だったのに!!ご主人は何ですか!助けもせずに私の背中に乗って寝てたでしょ!?』
「まぁまぁ、宿の飯俺の分半分あげるから」
『なら許しても……はっ!?そんなに手には私は引っ掛かりませんよ!』
「ちっ、無駄に賢くなったか……」
『私は怒っているんですから!!』
プリプリしたペルを宥めながら、ユースが宿に戻ると一階のレストランに勇者と、見知らぬ美麗の女性がいた。
「彼らが君達の話していた人かね?」
「はい」
『………ご主人、凄く綺麗な人がこっち見てますよ。私の美貌に気付いたんですかね?』
「………なんでそんな発想になるんだよ。お前の美味しさに気付いたのかもしれないぞ?」
『………それは困ります!私は全ての雄を奴隷同然に従えて、豪華食事を献上させるという夢が……』
2人がコソコソ話しをしていると、勇者と謎の女性は苦笑いをしながら2人を呼んだ。
「ーーーと、いう訳です」
「つまり、戦力の一つとしてこの戦争に参加して欲しい、と?」
「ああ、結論から言えばそうなる」
謎の女性こと、ファル・レリナは勇者達から力が比類するもしくはそれ以上の力がある人物を知っていると聞き、この宿で待っていた。
「ですが、冒険者となり一年経っていない内は、緊急依頼は免除ですよね?」
冒険者ギルドの規則には、経験が浅い冒険者に関して緊急依頼を強制させて、新米が邪魔をしたり、命を簡単に散らさない為に、登録してから一年間は緊急依頼を受ける必要はないと定められている。
「だからこそ、直接話しをして指名依頼を受理して貰おうとここまできた訳だ」
「私からも、ユースさんには是非受けて貰いたい」
二人からお願いという形で話をされたが、ユースは懸念点を話した。
「私としては、依頼に関して条件次第で受けてもいいと考えています」
「条件?」
ユースは指を2本立てて話した。
「一つ目は、報酬についてですね。勇者達の代わりに近しい役割を求められているのに、安い報酬では受けたくありませんからね」
「それは了解している。だが、高すぎる金額は揃えるにしても、貴方に渡すとしても国が払う可能性は低い」
「それに関しては、前払いで私のランク帯の冒険者が貰う金額を払って貰い、依頼の内容で後払いの報酬金額をそちらの誠意で決めて下さい」
「ははは!わかった、その提案に乗ろう」
「それはよかったです。あと一つは、美味しい食べ物でも奢って下さい」
「ふふっ、私との会食は本来は高いぞ?」
「いえいえ、勇者の代わりに戦うとしては適正ですよ」
含みが多い会話をしている二人をメレルとペルは、目を逸らしていた。
「あの二人はなんだか怖いですね」
『ご主人様はああいう会話が好きですからね』
「そうなんですか、て何故か話が分かるようになってる?!」
『そういう日もありますよ』
「えっ!」
不思議な力を手に入れさせられたメレルであった。




