チート万歳
訂正日4/7
「それじゃあ一週間経ったし、神界に戻ることにするよ」
「おお、もうそんな経ったか神よ」
「………」
「うん、じゃあまたねネル」
「おう、達者でのぉ」
「……」
祝宴が終わってから、ネルの家でニートのごとき生活をしていた神は、そう言って神は一週間の旧友との再会を終えた。
それと同時に男の修行の一部も終わった。
「そろそろいいぞ弟子よ」
男は溶けたように倒れた。
「…し、死ぬ……」
「そんぐらいで死なん死なん」
神が休暇を満喫している間、男はネルに扱かれていた。最初は体をコントロールするための簡単な訓練。例えば、利き手と反対の手を使う事や、習う武術について学んでおり、簡単簡単と余裕綽々に過ごしていた。しかし、神が去る日に丁度筋トレが始まった。
「腕立て伏せが十回で楽だと思ったら、重りをつけるなんて聞いてないぞ!……ギヅイ!!」
「そうじゃのう、筋トレは回数を重ねるよりも短時間で効果的な方が他の修行の時間に回せるからのぅ、研究をしたんじゃよ」
「確かに、筋肉が滾ってくる気がする!!」
バシ!
「痛い!」
「そんな簡単に出るか!……と、言いたいが、お主のスキルが思ったよりも優秀で筋トレは一年程でいいかもなぁ」
男のスキルの『健康体』は「健康である」という効果を持っている。しかし、ネルが話しているのは、このスキルの副効果である、「その者の最盛期と呼ばれる状態を死ぬまで保ち続ける」という破格の効果である。
「どうだ師匠よ、羨ましかろう?え?うらやましいって?そりゃそうか!だって師匠はもうヨボヨ、ボフッ!」
「ワシがお前をヨボヨボにしてやろうか?」
「調子乗りました」
「……ちっ!まぁ、許してやる」
(なんか悔しがってんだけどこのジジイ)
閑話休題
その結果、筋トレを積めば積むほどその効果が積み重なる状況になっている。
簡単に言えば、最高の料理が食べ切るまで最適な状態になっていると同等である。
「じゃが、一日経つにつれてどんどんキツい筋トレをする事になるが、まぁ頑張れ!よかったな、どんどんワシと違ってムキムキになれるぞ?喜べ喜べw」
「妙にいい笑顔だな!」
「よく言うじゃないか、他人の不幸は酒の味、てな!!」
そう言って、老人は男に気色が悪いほどいい笑顔を向けた。
男とネルは皮肉を言い合いながらトレーニングを続けた。
老人と男の相性は思いの外良いとわかった。
一年後
「師匠、足の運び方が変わらない!」
「そうか?膝に余分な力を抜いた状態がその者にとって行動しやすい最適な状態じゃ、と言ったろ?それを意識して行動すると、足の運び方が変わるはずじゃ」
「おお!確かに何か変わったような気がする……かも」
神が去ってから約一年過ぎた。スキル『健康体』の効果もあり、男は老人の理想とする体型を一年で手に入れた。
男の主な修行内容は、最初の段階は自重トレーニングをしていたが、一ヶ月経つと倒立腕立てが片手でできるレベルになっており、その頃になると男もスキルの効果を実感してきた。
体力も課題となっていたので、老人の周辺は深い森林になっているので、老人が決めたコースを走っていた。
それは、森の獣道から木の枝を通る忍び走りをしたり、山の中をアスレチックの用にして走ったりと工夫を凝らしたランメニューをしていた。
一ヶ月で超人と呼ばれるレベルになっていたが、それから十一ヶ月も過ぎれば、アニメの世界と同等の動きができるようになった。
1トンの岩も片手で軽々上げたり、森の複雑なコースを新幹線の速さで走り、平地では戦闘機の速さを超えることも可能になっていた。
それに加えて、ネルと男の関係についても師弟関係がしっかりと築かれていた。
「しかし、この歩行術を手に入れたら更に速くなりそうだな」
「確実に早くなる。だが、他の歩行術も体に教え込まねばならぬ。瞬時に歩行を変えれなければ、戦闘では死を意味するぞ」
「うぃ〜」
「……終わったら酒盛りじゃ!」
「イエッサー!!」
もしかしたら、ネルが男のマイペースさに慣れただけかもしれない。
ちなみに、老人は近くの街から物資を調達しており、地球とは違う酒の味があったり、尚且つ、『健康体』のおかげと転生効果により、男ら酒を浴びるほど飲めるようになっていた。
何故か酒の酔いには『健康体』の効果が発揮しないのは、多分、神様からのプレゼントだろう。(毒には効果あり)