ゆっくりと……
「で、何で早いタイミングで軍を退いたの?」
果てなき森の中にて、三人の魔族が集まり話していた。
「あれ以上戦っていては悪戯に戦力を減らしてしまう。それに、魔物の力を活かすには不定期に攻めた方が効果的だ」
魔王軍の幹部である片眼鏡をした男は、口裂け男と、先程から不気味な生物を作っている幼女に話した。
「ファル・レリナの力はどうだった?」
片眼鏡の男は、口裂け男、ヴァローガに最大危険人物の一人について尋ねた。
「ははは!いやいや、中々怖いお人でしたよ。遠くにいると思いきや、真っ直ぐに全ての魔物を切り刻んで、ついでに私の腕を斬ったんですよ!いやはや、彼女の肉を食べるのが楽しみで楽しみで、つい魔物を食べ過ぎました」
「はぁ、ほどほどにな」
(普通は一日で腕が生えないだろうに……)
上位魔族でも、四肢の再生には最低三日掛かるがヴァローガの場合は即座に回復するのだ)
「こっちはとても楽しかったよ!強そうな人がいなかったお陰で沢山の素材が集まったんだよ!魔王様には感謝しかないよ!」
そう言って、悲痛な顔をした人間の男に色々な部位を取り付けて、生命への冒涜とも言えるモノを作っていた。
(まったく、魔王様もお人が悪い。魔族の中でも危険過ぎて捕まっていた罪人達を人間の国に解き放すなんて!しかし、私にこの者たちのリードを繋がせるなんて………頭が痛くなってきた……)
魔族でも管理職の者は苦労してそうだ。
喧騒とした冒険者ギルドにて、
「あの〜、き、聞き間違いでなければもう一度お聞きしても?」
「冒険者登録をしに来ました」
「………いま?」
「はい」
冒険者ギルドの受付嬢をして七年も務めているナンシーは、今、一種の地獄と化しているこの街にて、平然とした顔で登録をしようとする酔狂な男?を見つめていた。
その男はギルドに入った時から注目されていた。奇抜なファッションをする者が溢れる中で目立つなんて想像を超える姿をしていない限りされない。
ナンシーも気になって、入り口を覗いたのが間違いだった。
その男は魔人と間違えられる可能性がある、魔物の被り物をしていた。魔人は即討伐が義務付けられるため、コスプレでも殺される可能性がある魔人なんて誰もしない。
したとしても、「ヤバい奴」と認定されて孤立するだけになる。
ナンシーもその事に気付いて、視線を外して関わりたくないと思ったが、残念ながら遅かった。
その男は真っ直ぐにナンシーを見ていた。
「あ、やっちゃった」
そして、現在に至る。
追加して話すと、冒険者はランクが何であろうとも、滞在している町にて、緊急依頼がある場合は全員がそれに協力しなければならない。
ナンシーが「……今?」と言ったのは、初心者が突然上位レイド戦に放り込まれる可能性がある中、わざわざ守られるだけの住民の立場を捨てて、緊急依頼が終わる前に入会する理由が分からなかったからである。
尚、ユースはそんな事知らないが。
(ペル連れて来てたらもっと、色々問題起きてただろうなぁ)
自分の異常性を少しは理解していたユースであった。
「え〜と、まず得意な戦闘は何ですか?」
ナンシーは、「そういう人なんだ」と考えていつも通りに対応した。
(得意な戦闘……、やっぱり近距離戦闘かな?魔法については、ロゼッタが使っている姿を森を抜ける時に少し見たが、本職には負けそうだしな)
「近距離戦闘ですね」
「はい……ん?得意な武器は何ですか?」
「全部です」
「………」
色々言いたいことはあるが、早く終わらせたい為無視したナンシーであった。
「はい、これがギルドカードです。紛失した場合は、千ペスかかりますのでお気を付けて下さい」
そう言われて、鉄の板に情報が書き込まれたカードをユースは受け取り、そのままカウンターに残った。
「あ、あの〜、もう終わりましたが?」
無言で立つユースは、表情が分からないため、彼女は戸惑いながら尋ねると、
「薬草の依頼を受けたいのですが?」
「はぁ?」
聞いても戸惑った。
ペスは円と同じ設定です。
あと、やっぱり、最初の依頼は薬草摘みですよね?




