いくらひよこでもデカさには限度がある
ユース達はオーガの群れの片付けを終えた後、拠点としている場所に帰還していた。
そこは洞窟に手を加えたもので、入り口は土と石で固め木製の扉を付けており、草も覆い被せ隠蔽している。
これは秘密基地を思い出したユースがついつい拘った結果である。
「さて、保存しておいた肉でも食べようか」
『今日は固めの肉がいいです〜』
「それなら、鹿みたいな魔物の肉だな」
ユースは魔法により強制的に冷やした冷凍部屋に向かい、先週解体した凶悪な顔をした鹿の肉を取り出した。
この鹿は『悪魔の鹿』と呼ばれており、刺すことに特化した角に加えて、状態異常系の魔法を使う為、ユースの『健康体』の様に状態異常を防ぐ手段を持ち、尚且つ、軽トラ並みの巨体と速さで突進してくる敵を仕留める力がなければならない。
冒険者ギルドの魔物指定ランクはB級の上位である。
ユースが食事を終えて、睡眠の準備をしていると
「外で戦闘があってるな」
『そうですね〜、でも、魔物同士ではなさそうですね?』
「あぁ、久しぶりに聞いたが、人の戦闘音だな」
そう言って、ユースは森をやっと出れると思い、嬉しそうに出かける準備を始めた。
『ご主人以外は見た事ないですね〜』
毛玉はこれから会うだろう人に想いを馳せて、両腕?をあげてくるくるまわった。
【勇者視点】
オーガが虐殺された場所から離れたところで、デビルディアーの群れに遭遇していた。
「相手はB級ではあるが、気を抜いて怪我するなよ?」
そうメレルが一言言った後、すぐにデビルディアーの一体が突進を仕掛けてきた。
「なんだ、こんなんじゃ練習にもならないな」
そうチャラ男、ガンナが残念そうな顔をしながら、デビルディアーとすれ違う様に綺麗に首を刎ねた。
「そんな事言ってると高い相手が来るよ?」
クレルが油断しているガンナに揶揄う様に言うと、
「そんな不吉な事言わないで下さいよ、クレルの姐さん。姐さんが言うとよく本当に起きてしまうんだから」
ガンナは今までもクレルに言われた事が、正夢の様に起きて面倒ごとに巻き込まれた事を思い出し、気を引き締めた。
「と、言っても、これが相手じゃあすぐ終わっちゃった」
勇者パーティーはB級の群れで苦戦するほど弱くなく、3分程度で壊滅させ、既に解体作業にも移っていた。
「珍しく、姐さんの不吉な言葉通りになりませんでしたね」
「疫病神の様に言うな!」
「へぶっ?!!」
クレルはガンナの頬を叩き吹き飛ばした。ガンナは木々を十数本は薙ぎ倒してからやっと止まった
「いたぁあ〜、全く姐さんは手加減が出来ないんだから。普通の人ならあの世に行ってますよ……」
『大丈夫ですか〜?』
「大丈夫、大丈夫。いつも吹き飛ばされてるから。叩かれ過ぎて、無駄に丈夫になったから」
『人は不思議ですね〜、ご主人様の強さも不思議ですけど〜』
「けど、こんな大きなひよこが見る様になるなんて、後でレルに頭を癒して貰わない…と………な……………え?」
『夢じゃないよ』
ガンナは心配そうに顔を覗き込むペルを見て思考が停止した。
「あ……え…………ひよこ?」
『ペルって名前があるので、次からそう呼んでください〜』
「…………」
まるで話が通じてる様に鳴く巨大ヒナに、ガンナは静かに立ち上がり、仲間の元へと全力で走り出した。
そして、ペルも一緒に駆け出した。何故か飛ばずに。
設定公開
魔法の階級(効果により区別されている)
段階・・・第一界魔法〜第十界魔法
第六界以降を大規模魔法と呼ばれる。
第十界魔法は奇跡と呼ばれる。




