おまえたちの夜 #5
タイトル画面に戻り「続きから」を選択する。このゲームはオートセーブ対応タイトルだ。
そして・・・
ジリリリリリ!
部屋の目覚まし時計が朝を知らせる。背中にはべったりと汗をかいていた。
智「夢?それにしてはやけにリアルな・・・」
智のモノローグから物語が始まった。これを見た虚空さんは嬉しそうに声を上げる。
「王道ループ物の展開です!好きです!」
イッチ「俺も虚空さんのことが好きだぞ」
ステルス忍者「相思相愛('∀`)ノシ」
クソ汁「良かったなwww」
「ふふっ、ありがとうございます。でもこれでバッドエンドを回避できますね!」
だいだい「それはどうかな?」
たっちゃんパパ「普段ADVやってるならいけるんじゃない?」
そうしてゲームを続行する。
今日はガールフレンドの里奈の紹介でスキー旅行に行くことになっていた。
スキーを楽しみ、里奈の叔父さんが経営しているペンションに行くことにした。
ロビーにいた人たちと他愛ない会話を交わし交流を深めていった。
そんな中、田中は一人誰とも話さず、かと言って自室に行くわけでもなくロビーの隅のほうで読書をしていた。
智はそんな彼を心配する。無理になれ合う必要はないとは思うが、このままにしておくこともできない。智のほうから声をかけることにした。
智「あの、田中さんはどんな職業をされているんですか?」
田中「・・・ここに来たのはある目的があってね。もしかしたら君も・・・いや、なんでもない。忘れてくれ」
1周目とは違う田中の反応に驚きを隠せない様子で虚空さんがフォロワーに尋ねる。
「あれ、田中さんが意味深なことを言ってますよ?こんなの初めてです!」
ステルス忍者「まぁ、これがこのゲームの面白いところだから」
たっちゃんパパ「そうそう!毎回新鮮な気持ちでプレイできるんだよね」
マジレスくん「おまえたちの夜は繰り返しプレイすることによって展開が変わったり、新たな選択肢が出てきたりするよ」
「へぇー・・・これがレトロゲームなんですか?すごい技術じゃないですか?」
クソ汁「エロゲーが単純すぎるだけじゃね?」
並盛「エロゲーはもはやゲームじゃない」
鯵さんま「選択肢を4回選んで個別ルートに入って6時間くらいプレイしたらHシーンとか全然わかりません><」
病んでるとグレてる「詳しすぎるだろwww」
二階堂紅しょうが「プロエロゲーマーがここにもいるな」
マッソ「ほんとコメント面白いな」
「あはは・・・ものすごく理解できちゃいますね・・・」
アバターの虚空さんはしんみり顔になる。昔のエロゲーは今よりもっとゲーム性があったと思うが、2005年以降のエロゲーは流れ作業のようなゲームも多い。
刺身にタンポポを乗せる仕事くらい単純化されてしまっているのだ。
そうしてゲームを続行する。プレイヤーは後の展開を知っているというアドバンテージがある。これから起こることに目を向ければバッドエンドが回避できるかもしれない。
智「えーっと?」
智は田中の返答の意味が理解できず、里奈の元へ戻っていった。
里奈「ねえ、どうだった?」
智「うーん・・・悪い人ではないと思うけど・・・」
里奈「?なにそれ」
里奈は不思議そうに智を見ていた。
そのまま荷物を置いておくわけにもいかない。
部屋に戻って荷物を置いてくることにした。
そうして夕食の時間まで時間がある。手持ち無沙汰になった智は・・・
rア「そのまま部屋で時間を潰す」
「ディアノイアを探索してみる」
ここで1周目にはなかった選択肢が現れる。ここで何かヒントになることが見つかるかもしれない。そう思った虚空さんは迷わず「ディアノイアを探索してみる」を選択した。
智は部屋を出て1階に行ってみることにした。1階にはお客さんを迎え入れるロビーがあり、食堂、温浴施設、トイレ、倉庫、そして中里夫妻が寝泊りする部屋がある。その他にも空き部屋があるようだ。そして「非常口」が建物の東側にあり、緊急時はそこから脱出することも可能だ。
「非常口!入口のドアが開かなくてもここから脱出できるってことですよね・・・でもどうして入口のドアが開かなかったんでしょう?」
だいだい「まぁ、普通に考えれば犯人の仕業だと思うけど」
突剣階級「非常口を知っていてあらかじめここから外に出て、入口を封鎖した・・・とかかな」
戦慄の旋律「入口が木製のスライドドアってのがミソだね。棒かなにかを設置すれば簡単に封鎖することができるし」
†ガイア†「でも2周目の智は非常口の存在を知ることができた。バッドエンド回避につながるかもよ」
「はい!なんだかすごく面白いです!グラフィックとBGMが怖いけど引き込まれますね!」
ゲームの智は一つひとつ部屋を調べはじめた。そして倉庫に入る。
そこにはキャンプや登山に使うような道具が置いてあった。
ランタンの隣のパラフィンオイルを手に取ってみる。するとパラフィンオイルはほぼ満タンに入っていた。
そこで虚空さんの手が止まる。
「え?さっきは半分しか入ってなかったのに・・・?」
倉庫には他にもシースナイフや薪割りに使うナタなどの刃物も複数壁にかけてあった。ナイフの革のケースだけがあり、一本のナイフは無かった。
パラコード(キャンプなどで使うロープの総称)も束ねて置いてある。
その他にもレンチやスパナなどの道具が置いてあった。
智は一通り見て部屋を後にした。
空き部屋へ入ってみる。そこには鉄製のロッカーがある以外は特に物はない。ガラス窓から外の景色がよく見えるようになっていた。特に異常はないようだ。
次にトイレに入ってみる。綺麗に清掃されており小物などが置いてあって中里夫妻の性格が出ているようだ。
男女別に別れており、それぞれ換気のための小さな窓があるだけでここから出ることはできないだろう。
温浴施設にも入ってみる。ちょっとした旅館のような感じでここも綺麗に清掃されていた。シャワー室とバスタブがそれぞれ分かれている。
そうして部屋に戻ろうとした時だった。倉庫から人が出てきた。OL3人組の一人である雫だ。
雫「・・・っ!」
雫は見られたのが信じられないような顔をしながら智の脇をすり抜けていった。
何かを隠す様子で小脇に抱えながら。
そこで虚空さんがつぶやく。
「雫さんがあやしいです!」
並盛「何かを知っているのは間違いないな」
平「夕食前に倉庫に行く必要は普通ないよなぁ」
智は雫の様子が気になっていた。夕食時にでも声をかけてみようと思った。
そこで智は視線を感じて後ろを振り向いた。何者かが去っていくのが見えた。
智「?」
誰かが、智を見ていた。




