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プリネコr

ハーヴェスタムーンのライブが終わり、当たり前だが学校がある。

風花に告白され、その想いには応えられなかった。それでも友達・・・親友でいてほしいと言われた。

恋愛するということがこれほどに辛いものだとは思わなかった。でも約束したんだ。


覚悟を決めて学校に向かった。


教室に入る。そこには悟と浅村がいて、悟はスマホを操作し、浅村はヨドダシで買ったタブレット端末を操作していた。


「おはよう」

「彰人、昨日はどうだったんだ?初めて姿を見せたって言ってたけどどんな子だった?」


「え、えっと・・・」


詩亜の正体は風花だ。だが、それをばらす訳にはいかないだろう。

そう思って言い淀んでいたところに、窓際の席から風花がやってきて言う。


「池上くん、詩亜はとっても素敵な人だったわ。ね?彰人」

「ほーん・・・って、お前ら昨日一緒だったのか?一条もそういうの好きなんだな」

「ええ、好きよ。とっても」


浅村はタブレット端末を持ったまま風花を見やる。昨日、ハーヴェスタムーンのライブで何かあったのだろう。そして風花自身もなんというか”柔らかく”なったように思う。


「ねね、彰人?詩亜が公式LINE始めたんだよ!友達登録してね!」

「そうなのか?じゃあ早速登録する。あと月の民にも教えないと」

「ふふっ、拡散よろしくね」


悟も風花の変化に気づいたようだ。浅村と顔を見合わせる。それに”彰人”って呼んでることにも今更ながら気が付いた。

その様子を柚は静かに見ていた。親友が”新しいこれから”を歩み始めたんだと、精一杯応援しようと思った。


彰人は風花の様子を見て「これから」を理解した。これからはもっとたくさん話そう、そう思ったのだった。


彰人はグループLINEである”月の使者”に向けて詩亜が公式LINEを始めたことを教えた。そしてタブレット端末を持っている浅村に気づく。


「浅村、学校に持ってきてるんだな」

「ああ、少しでも読んでおきたくてな。ただ傷がつかないか心配だ」

「あー、じゃあ浅村、明日もそれ持ってきてくれ。俺がなんとかするよ」

「?なんとかできるのか?これ大切にしたいんだ。天河に買ってもらったものだし」


浅村は嬉しそうに彰人に言う。こんな便利なものがあったなんて知らなかったと喜んでいた。


「タブレット端末でもソシャゲーできんのか?」


悟が聞いてくる。それに彰人は答えた。


「ゲームもやろうと思うと、それなりに投資が必要になるかなー。ゲームならePadとかになって相当高くなるよ」

「ePad高いからなー・・・。俺はいいわ。スマホで十分」


浅村はさっそくドラゴンズボールを読んでいるようだ。

彰人は帰りに100円ショップに寄って行こうと決めた。


そうして放課後になる。するとLINEのメッセージが届いた。クウカからだ。


クウカ「会って話したい。今日時間ある?」

彰人「大丈夫だけど、どうしたの?」

クウカ「詩亜が変わった。それは彰人に原因がある」


クウカは”あの呼び出しのこと”を言っているのだろう。おそらくクウカはすべて知っている。これは会って話をしたほうがいいと思った。


彰人「じゃあ駅前でご飯でも食べませんか?できれば個室で話せるところで」

クウカ「わかった。じゃあ19時くらいに駅前で待ってる」


家に帰って身支度をし、駅前に向かった。



駅前に行くとクウカがぶんぶんと手を振って知らせた。クウカの身長は155cm程度しかない。彰人が182cmだからだいぶ小さく感じる。


「今日は私にすべて説明してもらう。覚悟して」

「えっと・・・お手柔らかに・・・」


そうして二人は個室でご飯が食べれるところへと向かった。


「ここでいい」

「え?ここって・・・」


それは人気のある中華料理専門店だった。確かにここなら個室でゆっくり話せるだろう。

そうして二人は店内に入り、個室に案内される。メニュー表を見ながら何を食べようか思案する。そうして注文を済ませたところ、クウカが言う。


「詩亜になんて言われた?ちゃんと自分のことは言えた?」

「はい。自分には大切な人がいる、って言いました。詩亜にはこれからも親友でいてほしいと言われました」

「・・・そう、親友。そっか」


クウカはじーっと彰人を見つめる。クウカも可愛い女の子だ。彰人は照れる。


「えっと・・・?どこまで話せばいいんでしょうか・・・?」

「ん、もう済んだから。親友なんでしょ?」

「うん・・・」


正直、めちゃくちゃ踏み込んだことを言わなければならないのかと思っていたので肩透かしを食らった気分だった。


「私も親友?」

「えっと・・・クウカさんが望むなら」


そう言うと目を輝かせて「じゃあ親友ね!」と言った。

会ったときから思っていたが不思議な子だ。そして何歳だかわからない。


「彰人はプリネコやってる?」

「プリネコですか?しばらくログインしてないかも・・・」


プリネコとは、プリンセスネコぱらだいすraison d'etre(レゾンデートル:存在理由という意味)というソーシャルゲームだ。美味い娘と同じ運営が提供している。


あらすじは、ヒトとヒト型をした”ネコ”の物語で、ヒトとネコの間には埋められない溝があった。人間と変わりがないネコ達を”飼育”するという根強い意識があり、ネコ達はそれに納得がいってなかった。次第にネコによってヒトが殺害されるという事件も起こるようになる。ヒトとネコの対立は深まるばかりだった。このままではどちらかが滅ぶまで戦い続けることになる。

きたるべき未来に起こる惨劇を未然に防ごうと、一人のネコが現れる。

生まれた意味を知るRPGだ。


ソシャゲーレビューでプラチナを取るくらいの有名なソシャゲーで、


ロビンソン剛田「すべてのソシャゲーを過去にする」

ストロング良子「ネコを愛でる権利をやろう」

チョコボール五月雨「これは君にとって・・・”明日の出来事”だ」

地獄のサワダ「目が離れすぎている」


あのソシャゲーに厳しいロビンソン剛田が10点満点をつけたのだった。


「えー・・・毎日ちゃんとやらないとダメ。早くレベルカンストして」

「ええ・・・俺まだ120ですよ・・・。パーティーはどんな感じですか?」

「ん、これ。全部ネコリーヌにした。これでネコレンジャイできる」

「・・・これ強いんですか・・・?」


ネコリーヌ(ノーマル)

ネコリーヌ(プリンセス)

ネコリーヌ(オーバーロード)

ネコリーヌ(ニューイヤー)

ネコリーヌ(サマー)

の5種類だ。


「・・・ってネコレンジャイ?」


そうするとクウカはスマホのメモアプリを起動した。何やら書き込んである。


ネコレンジャイ


ハマタ「おらおら大人しくしろや」

女性「キャー助けてぇー!」

「やめたまえ!」

ハマタ「なんだお前ら?!」


「「ネコレンジャイ!!!」」


ハマタ「お前は?」

新春「ネコリーヌです!」

ハマタ「お前は?」

限界「ネコリーヌでっす!」

ハマタ「同じやん」

水着「いえ、性能が違います」

ハマタ「性能って・・・ちびっ子にはわからんやろ」

姫「俺ら見た目やなくて、それぞれの個性とか見てもらいたいから・・・」


「・・・」


彰人は黙ってしまう。これは90年代にやっていたお化けバラエティー番組の「ゴレンジャイ」のコーナーのパロディだ。彰人は昔のYourTubeにアップされていたのを見たことがある。だが数年前からテレビ番組をアップするとアカBAN(アカウントはく奪)されてしまうため、ほとんどアップされなくなったのだ。

クウカは一体何歳なんだろうか。女性に年齢を聞くのも勇気がいる。


「あの・・・クウカさんってどの年代の方ですか?」


”どの年代”という問いにしてだいたい何歳かを予想することにした。


「んー、ジャカジャカジャンケンしてた時代。またやりたい」

「(あっ・・・絶対30超えてる・・・)」


しかし、どう見ても彰人より年下に見える。合法ロリという言葉があるが、実際にそれに該当する女性を見たことはなかった。


昔の迷惑メールで「私、うるう年生まれだから10歳のロリです」といったぶっ飛んだ内容のメールを受けとったことがある。うるう年で10歳だと言うのなら正確には40歳だ。それをロリというのは無理がある。

そのほかにも「主人がオオアリクイに殺されてから1年が経ちました・・・」という迷惑メールが来たこともある。もはやギャグでしかないし、それは未だにネット上にあり、検索すれば出てくる状態である。


「む・・・何か失礼なことを考えてる」

「えっ・・・いやその・・・」

「はっきり言え」

「あー・・・合法ロリって実在するんだなって・・・ははは」

「合法ロリ?」


そう言って視線を彷徨わせる。やがてボッと火がついたように顔を赤くして両手で身体を抱きしめた。


「彰人が変態だったなんて・・・」

「ちがっ・・・何もしませんよ!だって、どう見ても16歳以下じゃないですか!」

「それは褒めてる?」

「ある意味褒めてます」


そうしているうちに料理が運ばれてきた。その後クウカは機嫌を良くしたのか他愛のない話をしながら一緒に食事をした。


「じゃあね彰人。また」

「はい。今日は楽しかったです。また食事しましょう!」


そう言って別れた。彰人は家に帰る前に100円ショップに寄って買い物をして家路についた。

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