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計画

東京ウェイクミーアップランドに7人が到着した。彩香との電話した次の日に柚と風花に声をかけたところ、二つ返事でOKしてくれた。柚がかなりのウェイクミー通なのは間違いないようだ。風花も普段あまり柚以外の生徒と出かけることはないらしく、それに彰人が行くということで了承したようだった。




彩香と身長185cmくらいある大柄な男、そしてお嬢様のような雰囲気の女性の3人がパーク内の入り口で話をしていた。




「おい、こんなに来るなんて聞いてないぞ」


「いいじゃん別に。たかが数人増えただけでしょ」




空と彰人と彩香がいれば十分だったはずだ。それがいつの間にか8人という大所帯となっていた。男は苦い顔をした。




「人の金だと思って・・・」


「あのさ瀬良?ケチな男は嫌われるよ?」


「彩ちゃん、またあとでね」


「じゃあれんもまたあとで。連絡するから」




そう言って彩香を送り出す。瀬良と呼ばれた男はため息をついた。本来ならこんなところに来たくはない。目立つのは嫌いだった。


入口のところで8人が談笑しているのが見える。瀬良は彰人、悟、浅村を見る。




「おい恋、あの男がお前の彼氏なんだろう?声をかけなくていいのか?」


「えっ?いいのかな・・・私が行っても・・・」




恋と呼ばれた女性は悟を見る。愛ゆえにたくさんLINEや電話をするのだが、たまに電源が切られていたりする。それに滅多に会ってくれないのだ。




「会って話がしたいんだろ?適当に理由をつけて連れ出せばいい」


「そっか・・・!じゃあちょっと行ってくるね!」




そう言って悟に向かって走り出した。瀬良は一人になる。やることもないし、そもそもこんなところに興味はない。すると瀬良の元に修学旅行生の集団が集まってくる。




「あの!芸能人の方ですか?!」


「・・・いや、俺は・・・」




こうなるのを防ぐために恋を連れてきたのだが、自分で恋に吹っ掛けたわけだし、仕方ない。心の中ではめんどくさいと思いながらも笑顔で対応した。


瀬良はイケメンであり、誰もが目を惹く容姿をしていた。芸能人だとかボーイズグループのメンバーだとか勘違いして知らない人が声をかけてくる。




「俺には連れがいるんだ。だから・・・」




瀬良がしゃべると女子たちが沸いた。瀬良は大変イケボであり、容姿もさることながら”声”の部分でも相手を魅了できる男性だった。


恋にはああいったものの、早く戻ってきてくれと思いつつ目の前の女子たちの対応をしていた。




入口のゲート前で待機していた7人のところに彩香が駆け寄ってくる。手にはチケットを持っていた。そして声をかける。




「みんないるねー?えっと・・・こっちの二人が悟くんと浅村くん?あとは柚と風花と朱里ね」


「彩香っ!今日はありがとね!」




空は嬉しそうに彩香に声をかける。それぞれが彩香に挨拶をした。


いきなりファーストネームで呼び捨てだが、これは彩香の成せる技だろう。その時浅村がじっと彩香を見る。なんだか浅村の様子がおかしい、彰人は不思議そうな面持ちで浅村を見ていた。




「げっ?!」


「え?どうしたんだ悟?」




悟が何かに気づき声を上げた。彰人が様子をうかがう。なんだか会ってはいけないものに遭遇したような顔をしていた。




「お、俺ちょっとトイレ行きたいかな!みんなは先に行ってていいから!」




そういって焦りながらゲートをくぐり、チケットを提示してやがて見えなくなる。


みんな「突然どうしたんだ?」という表情でそれを見送った。その後にとてもきれいなフォームで走り、ゲートに向かっていく女性が目に入った。




「先に言ってくれればよかったのに。なぁ浅村?」


「ん?ああ、そうだな・・・」




彰人は隣にいた浅村に声をかけるが、なんだかはっきりしない。彩香は走り去る女性を見てため息をついた。




「まぁ、後で合流すればいいでしょ。それじゃ行くよー」




それぞれがゲートにいるスタッフにチケットを提示してパーク内に入っていく。


今日は休日ということもあり、パーク内は混雑していた。


入ってすぐの広場で人だかりができていた。空が声を上げる。




「あれ!ウェイクミーマウスじゃない?!」


「あ、ほんとだ。滅多に会えないのに珍しいね」




柚がウェイクミーマウスを見ながら言う。パーク内にはキャラクターたちが登場し、握手やハグをしたり、一緒に写真撮影するなどのサービスをしているようだった。


子供たちはもちろんだが、大きな女性たちもウェイクミーマウスに向かい突撃していた。




「すごいな・・・襲われているみたいだ・・・」




彰人は率直な感想を述べた。ものすごい勢いでみんな突撃していく。人気者になるってことはとても大変なことなのだと彰人は思った。


そんな様子に他のメンバーは呆れていた。




「天河くん・・・」


「天河、あんたねぇ・・・」




柚、朱里それぞれが彰人に言う。浅村は苦笑していた。ウェイクミーランドはまさに”日常の中の非日常”という表現がぴったりな場所だった。ここが日本ではないようなそんな錯覚すら覚える。パーク内は広い。悟がいないこともあり、とりあえずゆっくりと歩いていた。




「ねぇ、北見さん。おすすめとかある?」


「うーん・・・休日だし主要なアトラクションはみんな混んでるかも。それに池上くん抜きで遊ぶのは気が引けるし」




とりあえずみんなで話しながら目的もなく歩く。今日タダで遊べるのも彩香のおかげだ。女子たちは早速仲良くなっていた。ただ朱里だけは彩香と少し距離を置いていた。


”タダでいい”という部分で彩香を訝しげに見ていたし、彩香は空の恋敵なのだ。


空はそんな朱里を見てどうにかしたいと思案していた。


そんな中、浅村が彩香に声をかける。




「彩香さんは趣味とかあるの?」


「趣味・・・マンガとか読むよ。ドラゴンズボールとか」




ドラゴンズボールとは、週間少年飛翔に連載されていたマンガであり、未だに根強い人気がある作品だ。最初は冒険をメインに描かれていたが、成長した主人公たちが未知との脅威から地球を守るという、バトルマンガへと転身していった。原作の連載は終了しているが今でも劇場版アニメなどが作られており、ファンの人気に応えている。




「へぇ、ドラゴンズボールかぁ。女子が好きっていうのは意外だな」


「知っているのか天河?!どうすれば読めるんだ?!」




浅村のテンションがおかしい。彩香を見る目に熱を帯びている感じもするし・・・。


浅村はあまりマンガなど読んだりしない。こんな反応は初めてだった。




「古本で買ってもいいけど、今なら電子書籍でそろえるのがいいんじゃないかな」


「スマホで見れるか?」


「あー・・・ドラゴンズボールは昔の作品だから8インチタブレットとか大きな画面でみたほうがいいかもしれない」




そう。昔の作品は紙に印刷するのを前提で描かれているため、スマホの画面などだとセリフが見づらい場合がある。指を使い拡大することも可能だが、いちいち拡大するのも面倒だ。そういうときは大きな画面、さらに解像度の高いタブレット端末で見ることで解決する。マンガ用にタブレット端末を購入するのがいいかもしれない。




「わかった!天河、明日そのタブレット端末を買いに行くぞ!ついでにマンガの買い方も教えてくれ!」


「え、いいけど・・・明日はバイトがあって21時くらいまでかかるぞ?別な日はダメなのか?」


「ダメだ。俺は今すぐドラゴンズボールが読みたいんだ。駅前の本屋だろう?適当に時間をつぶしてるから心配するな。それにヨドダシも22時までやってる」


「お、おう・・・別に浅村がいいなら構わないけど」




彰人は浅村の圧を感じ、了承した。そんな浅村を彩香はじっと見つめていた。


彰人は浅村にタブレット端末の予算と電子書籍サイトでの購入の仕方を簡単に説明した。


その時に彰人のスマホに悟からLINEのメッセージが届いた。




悟「小さい世界の前にいる」




それを見てみんなに伝える。そこで悟と合流することになった。



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