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団欒

お昼前。3人はテーブルに向かい合って座っていた。


「天河・・・ほんっとうにごめんなさい!私てっきり・・・」


朱里が頭を下げる。それに続いて空も頭を下げた。




「まぁ・・・誤解が解けたならいいよ。それに五所川原は空を心配して来てくれたんだろ?でも、もうドアは蹴らないでね」


彰人は諭すように言う。朱里は恥ずかしそうにうつむいた。




「彰人!私、今日ご飯を作りに来たんです!お台所借りてもいいですか?」


手に下げていたのは食材だったのかと納得する。


「ああ。調理器具とかはその辺にあるから自由に使って」


「空、あたしも手伝うわね」


そうして二人で調理が始まった。仲がいいなと微笑みつつ、何ができるのか待つことにした。




その間にベッドを直したり、千晶が使ったタオルケットなどを洗濯し始める。


そうしているうちにスパイスのいい香りが漂ってきた。


「(カレーかぁ。そういえば最近食べてなかったな)」


そんなことを思う。自分で作るのも好きだが、人に作ってもらうというのも嬉しいものだ。それが異性なら尚更だ。




ご飯も炊けて、カレーもよく煮込まれたタイミングでお昼にすることにした。


空が盛り付けて朱里がテーブルへと運んでくる。おいしそうな香りが漂っていた。


3人そろってご飯にする。なんだか女子に囲まれて食事を取るなんて不思議な感覚だった。




「ねぇ・・・私も食べる感じになっちゃったけど、いいのかな」


朱里が不安そうにつぶやく。彰人はそれを見て言った。


「当然だろ。こういうのはみんなで食べたほうがおいしいし。五所川原と空の合作だしさ」


「親友の彼氏にご飯を作るっていうのは・・・ねぇ?」


朱里はバツが悪そうに言う。それを聞いて空が答える。


「彰人は彼氏じゃないです。彼氏候補ですから」


「えっ?あんたら付き合ってないの?!」


朱里は心底意外そうに言った。


「まぁ・・・今のところは・・・」


彰人も友達以上ではあるが恋人ではないので”今のところ付き合ってない”という表現を使った。




「!!・・・今のところってことはいずれ付き合ってくれるんですね!」


空がその言葉に喜びを隠さず言う。彰人は困った。


「あ・・・いや、言葉のあやというか・・・」


「てーんーかーわー?そういうところはっきりさせたほうがいいんじゃないの?」




朱里は中途半端なことが嫌いだった。それにここまで仲がいいのに付き合ってないというのもおかしい。学校では”公認カップル”のような扱いだし、空が振られるところも見たくなかった。




「ま、まぁとりあえずいただこうよ!」


そういって3人で食べ始める。コクがあっておいしい。彰人は気づく。


「何か隠し味入れてる?普段作るのとは違う感じがしてさ」


「気づきました?実はこれを入れてるんです!」


そういってビニール袋からナーガチョコレートを取り出す。なるほどチョコレートか、と彰人は思った。




「ちょ、言わないから隠し味なんじゃないの?!」


朱里は細かいところに厳しかった。空はそれを見て笑う。


「こういうのは共有したほうがいいんです!今度作るとき試してみてください!」


「ああ、参考にしてみるよ」


そうして3人で食事を終えた。




そうして最近の学校での出来事など話し合った。そうしているうちに空のスマホが鳴った。


「ん?・・・あ、彩香からだ!どうしたの?」


そうして彩香と話始める。


「あ、空。今度さーみんなでウェイクミーランド行かない?」


「え!ウェイクミーランド行きたい!」


”ウェイクミーランド”という単語を聞いて彰人と朱里は顔を見合わせる。




ウェイクミーランド(本来は東京ウェイクミーアップランドという)はどう見ても千葉県浦安市にあるのに”東京”を名乗る不思議で国内最大級のテーマパークだ。熱狂的なファンも多く、毎日のように通う人も少なくない。みんな夢を渇望しているのだ。




「彰人にも話しといてくれる?」


「今私、彰人と一緒にいます!」


むふー!という感じでドヤ顔を決める空。電話越しの彩香は無言になる。


「・・・じゃあスピーカー通話にしてくれる?彰人にも聞こえるように」


そう言われ通話モードをスピーカー通話に切り替える。3人に彩香の声が聞こえる。




「とりあえず、チケット代は負担するから他にも来たい人がきたら呼んでいいよ」


「朱里ちゃんも行こう?タダだって!」


「えっ・・・みんなタダで行けるなんて、なんか罠があるんじゃ・・・」


「・・・」


彩香は無言になった。空はそれを気にせず言う。




「そうだ!北見さんすごいウェイクミー通みたいだし、色々と案内してもらおうよ!いいよね?彩香?」


「ああもうなんでもいいよ。どんどん呼んじゃっていいから」


彩香はなんだかめんどくさそうに言った。


「北見さんを呼ぶなら一条さんも呼ぼう。二人は親友だし。あと悟と浅村を呼んでもいいかな?」




彰人はこんなに大勢の女子がいるのに男一人だった嫉妬の目を向けられてタダじゃ済まないと思っていた。男手が欲しい。ただでさえウェイクミーランドはリア充とか家族連れでごった返す。これ以上嫉妬されるのは簡便だった。




「えー・・・彰人だけでいいんだけど・・・」




彩香は不服そうだったが、彰人は「頼む!この通り!」と言いながらスマホの前で手を合わせ懇願した。


「はいはい・・・どうせあたしの金じゃないからいいよ。で、結局何人来るわけ?」




空、彩香、朱里、風花、柚・・・それと男子3人の合計8人で行くことになった。空は彩香を足して8人だよ、と伝えた。




「オッケー。じゃあ来週の日曜日に現地集合ってことで。細かいことはあとでLINEするから」


「はーい。ありがとね彩香」


空はみんなでウェイクミーランドに行けることになり嬉しそうに言った。




「・・・空、あんたばっかりずるいからね?あたしだって彰人と一緒にいたいのに」


彩香はむっとした感じで言った。空は遠慮がちに笑う。




「えへへ・・・勝負は私のほうがちょっと有利かも?」


「今に見てなさいよ空、これから巻き返すんだから」


彰人は二人が何の勝負をしているのかわからないが、あまり険悪にならないように祈った。


そうして通話を終え、部屋には静寂が訪れる。




「朱里ちゃんと一緒にお出かけなんて嬉しい!」


「・・・なんつーか、空と天河以外に興味がなかったような感じが・・・」


朱里は空の恋敵がここにもいるのかと呆れていた。




「まぁまぁ、みんなで楽しもうよ。そういや俺、ウェイクミーランドに行ったことないや」


それを聞いて二人は驚愕の声を上げる。




「えっ・・・天河、嘘でしょ?夢見たくないの?」


「そうなんですか?!じゃあ一緒に回りましょうね!」




彰人は二人の圧に少々引いていた。興味がなかったわけではないが、男一人で行けるところじゃないし、カップルや夫婦が無双しているイメージしかなかったからだ。


だけどこれも何かの縁だ。これから連絡を取ってみるけど悟と浅村がくればきっと楽しいだろうなと思いながら二人にLINEを送った。




「それじゃあ・・・あたしはおいとまさせてもらうわね」


そう言って五所川原が席を立つ。それを見て空が言った。


「朱里ちゃん!これから時間あるかな?ウェイクミーランドに行くのにお洋服を買いに行きたいんだけど・・・」


「えっ?別にいいけど・・・天河はいいわけ?」


どうやら二人に気を使って帰ろうとしていたようだ。そんな朱里に彰人は微笑みながら言った。




「あのさ五所川原、俺にそんなに気を使わなくてもいいって。二人で一緒に買い物に行ってきなよ」


「そうだよ朱里ちゃん!一緒に行って欲しいな」


そう言われて朱里は照れる。


「そ、そう?じゃあ一緒に行こっか」




朱里はとても嬉しそうだった。親友と買い物に行く。それは単純なことかもしれないが、とても重要なことなんじゃないかなと彰人は思った。




そうして空は食べ終わった食器を洗い、二人は買い物に出かけて行った。


その後に悟、浅村からOKをもらい、安堵する。


彰人は食材や生活必需品などを買いに行こうと自分もでかけることにした。




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