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心配

彰人は焦っていた。「おまえをみているぞ」というメッセージもそうだが、添付されていた2枚の写真。確かにスマホを向けられていたのは知ってたが、まさかこの瞬間が来るとは思っていなかった。それでもこの”朧月”に向き合わなければならない。


そう思い「お前は誰だ?」というメッセージを送った。


そこに空が戻ってくる。彰人は急いで画面を伏せた。


「?・・・お夕飯の準備できました!一緒に行きましょう!」


「・・・ああ」


空とみなもさんを不安にさせてはいけない。ここは平静を装って切り抜けようと決意した。




空は彰人がおびえた様子でスマホを伏せたのが気になっていた。


「(LINEの画面だったような・・・?何かあったのかな・・・)」


仮に何かあったとしても、その時は自分に相談してほしかった。自分にだけは隠し事をしてほしくない。空は寂しさを感じていた。




そして3人で夕飯を食べる。今日のご飯はお手製のハンバーグだった。


「男の子だからハンバーグが好きって思ったんだけど・・・」


みなもはいろいろと考えた結果、安牌なハンバーグにした。ハンバーグが嫌いな男の子はいないだろうという結論から作ったものだ。


「ハンバーグは大好物です!いただきます!」


それはお店で出されるような完成度だった。正直あまり食欲はなかったが、それでもおいしいと思った。


「すごくおいしいです!今度作り方教えてくれませんか?」


市販の材料でここまでできるなんて、何か特別な作り方があるんだろうと思った。


「ふふっ、今度教えるわね。喜んでくれてるみたいでよかった。ご飯もおかわりできるから言ってね」


みなもは優しく微笑みながら言う。でも、彰人の顔に影があることを見逃さなかった。それに空も元気がない。どうにかしたいと思っていたところ、みなものスマホが鳴った。


「あら?彰人くんって電車で来たのよね?」


それはWahoo!乗換案内という電車の交通情報を通知してくれるアプリからだった。


空が電車で通っているのもあり、常に把握できるようにと携帯ショップの店員にお願いして入れてもらったものだ。


「ええ、そうですけど・・・」


「今、電車が動いてないみたい。どうする?」


そう言われて彰人は自分のスマホで確認する。確かに自分の乗る電車が”終日運転見合わせ”となっていた。


電車で来たと言っても3駅くらいしか離れていない。時間はかかるが歩いて帰れなくもない。そう言おうとしたところに空が口を開く。


「今日泊まっていけばいいよ!ねぇいいでしょ、お母さん?」


空はみなもをじっと見つめる。何か考えがあるんだなとみなもは思った。


「え、いや、さすがにそれは・・・」


初めて来た女の子の家に泊まるというのは流石にまずいと思い断ろうとする。


「私は構わないけど・・・彰人くんが嫌なら無理にとは言わないわ」


ここは強引に泊っていきなさいと言うよりは、あくまで彰人の自由意志に任せたほうがいいと思った。


「彰人っ・・・泊っていってよ!もっとお話ししたいし!」


空が力強く言う。彰人は明日の朝早く自宅に帰り、制服に着替えてから学校に行けばいいかなと思った。


「・・・じゃあ、お言葉に甘えて。すみませんがお世話になります」


「着替えは用意するから心配しないで。お風呂はいつもの時間でいい?」


みなもは泊っていくと言ってくれて嬉しそうに言う。


「うん!じゃあそれまでお話ししよ!」


空が彰人を連れていこうとする。そこにみなもが呼び止める。


「空ちゃん、ちょっといい?」


「うん?彰人は先に行ってて」


「ああ」


彰人は一人空の部屋に向かった。




彰人が2階に上がったことを確認してから、みなもが口を開く。


「空ちゃん、彰人くんみたいな素敵な人、そうそう出会えるものじゃないわ。この出会いを大事にして。そして力になってあげてほしいの。彰人くんが空ちゃんにそうしてくれたように」


彰人が空を救ってくれた。だから今度は空が彰人を救う番だ。みなもの言葉にうなずきながら答える。


「うんっ!私が彰人の力になるよ!」


そう言って2階へ駆けて行った。




空の部屋で初めて配信で会ったことやマグダナルダに行ったこと、彩香が友達になったことなど話し合う。ここ数日の出来事とは思えない、充実した毎日だった。


空は落ち込んでいる彰人を励まそうと自分から話を続けていた。彰人にはそれがありがたかった。


やがてお風呂の時間になる。1番最初に彰人が入ることになっていた。流石に女の子が入った後に入るのはまずいだろうと思い、自ら名乗り出たのだ。


「じゃあお風呂お借りするね」


「はーい。ごゆっくり~」


そうして部屋のドアが閉じたのを確認し、床に置いてあった彰人のスマホに手を伸ばす。だがその時、降りて行ったはずの彰人が戻ってきた。


「えっ?」


四つん這いになりながら彰人のスマホを手に取ろうとする寸前だった。彰人は自分のスマホを取ろうとしている空を目撃する。


「俺のスマホ、着信でもあった?」


空はとっさに言い訳を考える。


「えっと・・・そう!充電!私のと一緒に充電しようと思って!」


今日は朝から充電していないし、先ほどずっと動画配信を見ていてバッテリー残量が20%前後になっていたのを思い出す。彰人は空に感謝していた。


「ありがとう。じゃあお願いしていい?それと・・・」


「う、うん」


彰人が話すまで待った。そして・・・


「なんか空に心配かけてるみたいでごめん。話せる時が来たらちゃんと話すから」


そう言って彰人は1階に降りて行った。


「(ちゃんと話すって言ってくれたけど・・・私は今すぐ力になりたい!)」


そう言って彰人のスマホの電源を入れる。彰人は右手の親指で指紋認証でロック解除しているようだった。画面にはパターンロックの表示が出る。


「・・・」


無言でロック解除しようと試みる。”L”、”N”、”Z”など試してみるが”パターンが違います”といってスマホが震えるだけだった。


彰人はこういったセキュリティには厳しい。今日パスワードについても厳しく注意されたのを思い出していた。


「(どうにかして彰人の親指に触れば・・・)」


空はある作戦を考えていた。失敗は許されないと覚悟を決めた。







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