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友達として

「彰人がおっぱい星人だとは思わなかった!」


空はプリプリして怒っていた。そしてスマホに対して叫ぶ。


「ヘイシリ!おっぱいがおっきくなる方法教えて!」




Siri「それは揉むことです」




揉む?そう思った空はそのままブラウザを起動し「おっぱい 大きく 揉む」で検索した。


その検索結果を見た空は顔を真っ赤にし・・・


「ななな、んなぁぁぁぁ?!」


と喚いた。




彰人は気まずい思いをしていた。おそらく検索結果の一番上に「胸を揉まれると大きくなる」ということが書いてあるからだろうと思ったのだ。自分で揉んでもいいのだが”好きな人”に揉んでもらうことにより、女性ホルモンの分泌が活発となり大きくなる、ということらしいのだ。




彰人は空を直視できない。空もまた揉んでくださいとも言えずうつむいていた。


そんな空気をどうにかしようと話題を変える。


「な、なぁ・・・パソコン見せてもらってもいいか?」


「あ、はい。もう起動してるから」


そしてピンク色のOAチェアに座る。どうやらショップメイドのBTOマシンのようだった。BTOとはBuild To Orderの略で注文時に料金を負担してパーツを好みのものに変えることのできるシステムだ。基本的には迷ったらそのまま購入して問題ない。




「このマシンのスペックは・・・」


システムから詳細設定を見てみるのだが・・・


「スペック高っ!ゲームも余裕じゃんこれ」




彰人のパソコンは実家から持ってきた自作パソコンだ。彰人はその時代で一番コスパの高いパーツで組んでいたので、せいぜいミドルレンジ帯(中間あたり)のスペックでしかない。ところが空のパソコンは明らかにハイエンドモデル(上位)だった。これはかなりうらやましい。


「いいなぁ。俺も欲しい・・・」




他に空のデスクトップを見て気になった点があった。不要なファイルなどが乱雑にデスクトップに置いてあるのだ。それを空に確認し、ゴミ箱へ入れていく。


そしてアバターを変更するため配信サイトにアクセスし、空にお願いする。




「空、パスワードを入力してくれないか?アバターをちょっと調整したくて」


「あ、はーい。えっと・・・So・・・」


どうやら空はパスワードを言葉にして入力する派らしかった。それを聞いて彰人は焦る。




「ちょ・・・待った待った!他人にパスワードを教えちゃダメだって!」


それを聞いた空は不思議そうに言った。


「彰人は他人じゃないです。彼氏候補ですけど?」


「あのなぁ・・・」




彰人はネットにつなぐことに関する危機意識が低すぎると思った。これではいつかアカウントを乗っ取られてしまうかもしれない。今日は厳しくいこう。


「とにかくダメなの。俺に知られないように入力して」


「・・・はーい」


そしてアバターの設定画面に移行する。”虚空”という名前で、前見た通り堕天使のような風貌に顔に眼帯をしている、ぶっちゃけ不気味なアバターだった。


「(どうするかな・・・)」


もうすでに現役JKなのは虚空たんスレで暴露されている。それに空の声は声優さんのようなかわいらしさなのだ。それを利用しない手はない。




「(もっと今時のJKっぽくしよう)」


そうしてアバターの詳細設定を行っていく。空はずっと後ろで見ていた。


各パーツを設定していく。やがて新しい”虚空”さんが生まれた。後ろで見ていた空が言う。




「かわいいやったー!」


「これでどうかな?今時の女の子っぽくしてみたんだけど・・・」


あくまでも虚空さんの中の人は空なのだ。空に最終判断を任せることにした。


「すごくかわいいです!・・・でもこれって・・・」


空は気づいた。この服装は初めてマグダナルダで会ったときに着ていた服装に似た衣装だった。自分のことをちゃんと見てくれていたことがわかって嬉しくなる。自然と顔が赤くなった。


そんな様子を見て彰人も嬉しく思っていた。


そんな時、下の階から声が聞こえる。みなもさんが呼んでいるようだ。


「ちょっと行ってくるね」


「ああ」




そして部屋に一人になる。アバターの変更を保存してからゴミ箱を空にして再起動しようと思った。その時である。


「ん?なんか起動したままのアプリがあるな」




画面の下のタスクバーのアイコンに最小化されていることを示すアイコンに変わっていた。そのアイコンは辞書のような分厚い本のようなものを示すアイコンだった。もしかしたら彰人が来るまでに何か作業をしていたのかもしれない。


確認のためアイコンをクリックした、その時だった。




夏美「もうっ・・・ダメっ!我慢できないのぉぉぉ!」


「んほぉぉぉ?!?!」




そこには図書館の司書をイメージしたようなファンタジーな衣装を着ている女性が四つん這いになって尻をこちらに向けていた。


画面が最大化され、スピーカーから声が漏れる。音量は低めにはなっていたが、それでも確認するには十分な音量だった。画面の7割が肌色で埋まっていた。




突然の出来事に驚いて、そのまま後ろにのけぞる。そしてバランスを崩しOAチェアに座ったままの状態でセルフバックドロップが決まってしまう。パソコンはハイエンドだがOAチェアは安価なもので、背もたれに思いっきり身体を預けるとそのままひっくり返ってしまうような椅子だった。




「かはっ!」


思いっきり背中を打ち息ができなくなる。その瞬間にドアが開き空が驚いたような声を上げた。




「彰人!どうしたの?!・・・」


パソコンのモニタと地面にひっくり返ったカブトムシみたいになっている彰人を交互に見る。そして空は気まずそうに目を逸らした。




やがて時間が経ち、先ほどみなもから託された紅茶とクッキーをいただきながら向き合う。この紅茶の香りに覚えがあった。


「・・・こういうのは個人の趣味だと思うけどね?」


彰人は諭すように言う。それを聞いた空は恥ずかしそうにうつむいた。




「私、こういうの好きで・・・やっぱり変ですよね?!」


”こういうの”というのはアダルトサイトにつないだりエロゲーしたりする辺りエッチなことなんだろうなと彰人は思った。彰人だってそういう性欲がないわけではない。人並みにこういうことをしたいという欲はあった。




「・・・俺だって男だし、そういう気分になることもあるよ」


それを聞いた空は興奮しながら言った。


「えっ?じゃあ今日はどうですか?!」


「えっ」


”今日はどうか”の意味がわからず一瞬思考が止まる。そして気づく・・・




「いやいやいや!みなもさんもいるのに!」


「いなければいいんですか?!」


「そういうことじゃねぇ!」




どうやらLINEで空が告白して以来、どうにかして既成事実を作ろうと必死になっているようだ。どうしてそんなに焦っているのか。


「・・・彩香は抱いてもらえて喜んでいました。私も抱かれたいです」


「いや、あれは事故みたいなもんだし・・・」


そもそも太り気味の歩きスマホの男がぶつからなければああはならなかったのだ。空はあきらめきれないという感じで言う。




「友達としてのハグ・・・ダメでしょうか?」


「欧米か」




確かに欧米なら挨拶の代わりに抱き合ったりすることもある。日本が極端に引き気味な文化圏という感じもなくはない。それでも・・・


「一度許してしまったらズルズルといっちゃいそうなんだ。自分を抑えられる自信がない」


それは空がかわいい女の子だからだ。一度一線を超えてしまったら、そのまま依存してしまうかもしれない。彰人はそれが怖かった。


「それは・・・私が魅力的だということですか・・・?」


空が恐る恐る尋ねる。


「ああ。空はとっても魅力的な女の子だよ。それは俺が保証する」


それを聞いた空は覚悟を決めた。




「じゃあ一度だけ・・・今日だけ私を抱きしめてください。そしたらあとは我慢します」


空の”一度だけ”に誘われてここまで来ちゃったんだよな、と出会いを思い出す。それでもまた彰人は許してしまう。どこかでこういうことをしたいと思っている自分がいた。


「じゃあ、一度だけ」


空の顔が幸せで溢れる。そしてゆっくりと彰人のほうに近づいていった。


二人は部屋の真ん中で静かに抱き合った。空は時間が止まればいいのにと本気で思った。




一方の彰人はまたしてもいけない感情に駆られていた。女の子の匂いというのはここまで強力なのか。このままではいろんな意味で盛り上がってしまう。彰人は危機を感じていた。


そこにドアがノックされる音が響く。まずいと彰人は思ったが空が離そうとせず、やがてドアが開かれる。




「あら?あらあらあら!お邪魔だったかしら」


みなもはとても嬉しそうに言った。彰人は空に抱かれたまま叫ぶ。




「ちがっ・・・違うんです!これはその!友達としてのハグであって・・・!」


我ながら言い訳がへたくそだなと思った。だがこれが事実でもある。


「素敵な友達を持ったわね、空ちゃん。でも、ちょっと彰人くんに用があるから」


そう言って1階へ降りて行った。抱きついたままの空を引きはがす。


「1回は1回なので!」


無料券でスーパー銭湯に入る人みたいに言う。長ければいいってもんじゃないと思う。


まだお互い顔が赤い。それを冷ましてから彰人は1階へと降りて行った。

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