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LINEトーク

彰人は自分の部屋に帰ってきた。今日は寝不足を我慢して授業を受けていたし、空のことをずっと考えていた。無事解決してほっとしたのか急激に疲れが襲ってくる。連続でレトルト食品を食べるのも不健康だと思ったが、料理をする気力もない。レトルトカレーとパックご飯という独身の人が食べるような食事で妥協することにした。


そして食事を終え、ソファに掛けてコーヒーを飲みながらスマホをいじっていたとき、空からLINEが来る。


「今、大丈夫ですか?」


「大丈夫だよ」


既読がついてすぐに返信する。


「電話してもいいですか」


うるうる涙目のスタンプが添えられていた。


彰人はそれを見て微笑みながら「いいよ」と返信した。


すぐにLINE通話の着信を知らせる画面になる。画面をタップして応答する。


「えへへ・・・」


「なんだよ?」


「学校で会えたのがうれしくて」


「俺も驚いたよ。まさか空が同じ学校だったなんて」


「あ、そういえばどこの学校か言ってませんでしたね」


「そうだな」


同じ都内に住んでいるのなら、同じ学校に通っている可能性も高い。でも、ネットで知り合った人がこんな近くに住んでいるとは思ってもみなかったのだ。


「・・・彰人、私は今幸せです。これもすべてあなたのおかげです」


彰人はまさか虚空さんとの出会いがこんなことになるなんて思ってもみなかった。


自分が彼女の役に立てたことをうれしく思った。


「空、頑張ったな。ちゃんと彩香にもお礼言うんだぞ?」


「はい!もう言いました!ちゃんと約束の写真も送ったし」


約束の写真とは?彰人はその約束が気になったが、自分が聞いてもいいのか迷う。すると・・・


「あ、約束って学校に行ったら黒板の日付と日直が書いてあるところで自撮りして送るっていうやつです!」


彰人は苦笑した。そんな約束してたんだな。彩香との仲も良好なようだ。


「五所川原とも仲直りしたんだろ?友達もできてよかったな」


「はい!朱里ちゃんともいっぱいLINEしてます!」


「そうか・・・」


ここで教頭先生の言葉を思い出す。空は目に見えて明るくなった。教頭先生にもきちんと伝えないといけないなと思った。そして空のお母さんのこと・・・


「なぁ、空のお母さんにご挨拶に行きたいと思うんだけど、いいかな?」


そう発言したところ、空が無言になりやがて・・・


「え”っ?!」


と奇妙な声を発した。


どうしたんだろうか。俺変なこと言ったかな・・・。そのまま空の言葉を待つ。


「お母さんにごご、ご挨拶って・・・け、結婚・・・!」


彰人は飲んでいたコーヒーを盛大に噴き出す。


「ばっ・・・違うよ!その、なんだ・・・いろいろと心配かけたと思うし・・・」


「そそそ、そうですよね~あはは・・・」


思いがけずプロポーズしてしまったと思い顔が熱くなる。それはスマホ越しの空も同じようだった。


「・・・」


「・・・」


二人の間に沈黙が訪れる。その均衡を破ったのは空だった。


「彰人っ!あの!私の部屋に来てください!」


空が覚悟を決めたように言う。彰人もその思いに応えたいと思った。


「・・・じゃあ、今度の日曜でいいかな?虚空さんのアバターの設定もしたいし」


「はい!ちゃんとお掃除しておきますね!」


彰人は女の子の部屋に行くのは初めての経験だったが、好奇心に駆られ行ってみることにした。そして空の部屋で二人でゲーム配信すればいいかなと思った。


それまでに必要な機材を用意しよう。そう思いながらLINE通話を終えたのだった。

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