29.接触する方法
「先生に近付いて情報を引き出す!?」
立花さんは突拍子もない事を言い出している。一生徒である俺と教師である二条先生と仲良くなるという事だろうか?あまり現実味がない提案なのではないだろうか。俺がうーんと唸りながら立花さんの方を見ると彼女もうーんと唸っている。彼女も案を捻り出しているのだろう。
「あと、私が気になるのは他のクラスの吹本野乃花さんでしたっけ?彼女が失踪したのも何なのかしらね」
「さあ、結局その謎は前回分からなかったからなあ」
「まあ……いいわ、杉下君の話面白かったわ」
「あ、うん」
まあ当然ではあるのだが、立花さんから完全に信じられているわけではないな。ただ俺が妄想で語るには途方のない話だから半信半疑という感じだろうか。
「まあ、取り合えず俺は先生に接触してみるよ」
「あなたが本当の事を言っているなら疑うべきは先生なのだろうけど、他のクラスメイトからの情報収集はした方が良いと思う」
「まあ、そうだろうね……。ただ俺と関わる女の子は事件に巻き込むんじゃないかと思うと中々ね」
「気持ちは分かるけど、犯人を捜したいなら色々な視点から探るべきだと思う」
「肝に銘じておくよ。じゃあ立花さんと連絡とる時は基本チャットアプリで行うよ」
「フフッ、家でなら電話くらいしてもいいけど」
立花さんは笑いながら鞄を持ち上げた。どうやらもう帰るようだ。俺も準備するか。前回と一緒で先に立花さんを帰らせて時間をずらして俺も帰る事にした。
そうして次の日、学校に着いた俺は机で頭を悩ませていた。生徒同士で話しかけるようにはなったと思うが、一生徒と教師ってどうやって近付くんだ。まあ、前回の記憶通りなら先生は俺に興味があると言っていたしきっかけがあれば何とかなりそうな気がしなくもないがそのきっかけが全く浮かばん。う~んと唸っていると前から女子生徒が近づいて来た。
「あ、杉下君、おはよう」
「あ、加藤さん、おはよう」
話しかけて来たのは文学少女の加藤さんだ。そういえば、本を貸してもらう約束していたな。朱里の事件があって休校になった為有耶無耶になってしまっていた。よく見ると加藤さんの右手に本が見えた。
「あんな事があった後で……、どうしようかと思ったんですけどこの本面白いから気分転換になればと思って…」
「ああ、気を使わせちゃってごめんね。本読ませてもらうよ、ありがとう」
加藤さんは朱里の事件で俺の事を気遣ってくれているみたいだ。俺はその気持ちに素直に感謝した。
「いえ、読んだら感想聞かせてくださいね」
そういうと加藤さんは自分の席に戻っていった。しばらくすると二条先生が来て朝礼が始まった。俺はその姿を見てどうしたもんかとまた悩んでいた。朝礼が終わった後、加藤さんが二条先生の元に近付いていくのが見えた。何の話をするんだろう。俺は耳をたてて二人の話を聞いていた。
「先生、今日の部活ってどうします?」
「ああ~、今日か、一応やる予定だ。他の奴らにも伝えておいてくれ」
どうやら今日の部活の予定を話し合っているようだ。ん、部活か……。俺はひとつの考えを思い浮かべ加藤さんに話しをすることを決めた。
「加藤さん!!」
「あっ、す、杉下君、どうしたの?」
「加藤さんってなんの部活に入ってるの?」
「え、ぶ、文芸部ですけど、小説や俳句とか色々な話を執筆したりしているんです」
なるほど、文芸部、運動部のように初心者が入って迷惑をかけるようなことも少ないはずだ。それに顧問が二条先生という事は接触する機会が多くなる。俺は自分の考えを加藤さんに尋ねてみた。
「あのさ、文芸部って体験入部とか出来るの?」




