17.予想外の来訪者
二条先生が部屋からいなくなった後、自分の状況を確認した。自分の両腕はベッドの近くにあった鉄柱に手錠とチェーンで繋がれている。そしてどうやら廃病院の病室のような場所にいる。窓を見るとすっかり夜になっている。さっきまで聞こえていた二条先生の足音は聞こえなくなった代わりに外からカエルや鳥、虫の鳴き声しかしない。
「さて、ここからどうするか」
二条先生の目的は分からないがここから出れるのであれば脱出した方が良いだろう。しかしこのような状況になっても不自然なほど、落ち着いている自分がいることに驚く。なんだ、今までにもこんな出来事があったわけでもあるまいし。
音が全くしないとはいえ、二条先生はこの廃病院にいるのは確かだろう。しかし明日はどうなるのだろうか。先生は学校へ行くのか、いや俺を誘拐しているのだからそんな事はしないか。しかし絶対脱出出来るチャンスはあるはずだ。そのチャンスを伺うとこから始めよう。おそらく俺が帰って来ない事を家族も不思議に思っているはずだ。
油断する訳にはいかないが精神的疲労からだろうかかなり疲れた。寝ている間に襲われる可能性はあるが流石に寝ないといざという時もたないと自分を納得させて眠りにつくことにした。
ブオオオオン、窓の外から大きな音がして目が覚めた。
「な、なんだ!?」
よく音を聞くとどうやら車のエンジン音に似ている気がする。エンジン音がしたと思ったら車の排気音のような音がしてどんどん音が遠くなっていく。近くにいた車は何処か遠くへ行ったようだ。
「もしかして、二条先生か?」
この車の音が二条先生のものであるならば、今が脱出するチャンスだ。もし仲間がいたり、二条先生の車でないなどのリスクを考えてしまう。嫌な事を考えてしまう頭をブンブンと振り脱出する事を第一に考える。
まずは両手に繋がった手錠が問題だ。当然だが鍵がかかっており腕を動かすだけではびくともしない。チェーンも壁にぶつけたりして切り傷のような跡は出来るがまるで切れる気がしない。後は繋がっている鉄柱を見る。
鉄柱を拳で軽く叩くとコンコンと軽い音がした。
「ん?これ鉄柱じゃない!?」
よく見ると鉄柱だと思っていたものは銀色に塗られた木の柱のようだ。
「何でこんな所に木の柱なんかあるんだ?」
廃病院といえどもせいぜい数十年前に作られたであろう病院に似つかわしくないがデザインの用途であるのだろうか。だが鉄柱でないと分かればチャンスはある。その柱をよーく見ると柱のところどころに切れ目のようなものまで見えた。もしかしてこの柱ボロボロなのだろうか。だとすれば折れる可能性は十分にある。
「これもしかしてマジで行けるかもしれない」
柱の切れ目に手錠のチェーンをはめて、おもいきり引っ張る。するとミシッミシッと木が割れる音がする。これは本当にいけるんじゃないか。そんな時になって外から歩く音がする。まずい、先生が戻ってきたか。先生が戻ってきている時に音をたてるのはまずい。
柱を壊すのはひとまず隠してやり過ごすしかない。ひとまず大人しくして音を出さないようにやり過ごす。すると歩く音はどんどん近くなり、病院の中の入ってきたようだ。ピタピタッとスリッパの音がして自分がいる部屋の近くまで来たようだ。俺は寝てるふりをしてその時を待つ。
「杉下君!!」
扉が開かれて現れたのは二条先生ではなく目の前に現れたのは立花さんだった。
展開をその場その場で考えているため、色々不備がありまして一回全体的に文章直させていただきます。




