表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼なじみが殺された後、女の子達と仲良くなったけど、この中に幼なじみを殺した犯人がいる!?  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/34

15.急転直下の出来事

 「杉下遥斗だな。話がある」


 黒いフードを被っている怪しい人から話しかけられた。突然の出来事に俺は何も返すことが出来ない。慌てて周囲を見渡すと狭い路地で周りには誰も通っていない。


 「……聞いているのか?」


 あたふたしていると黒フードの人から再び問いかけられる。


 「……俺に話って何でしょう?」


 「今まで起きたことではっきり分かっただろう。お前が誰かと近付けばそいつが不幸な目に合う」

 男は淡々と話す。様子をうかがっているが顔は相変わらずはっきり見えない。


 「だからどうだって言うんですか」


 正直早く逃げた方が良いとは分かっているが足が上手く動かず話を続けてしまっている。フードの男とは多少距離も空いているしもし襲われることになっても大通りまでは逃げきれるだろうとも考えている。


 「言葉通りだよ。他の連中と関わるのを止めろ」


 「他の連中って誰の事ですか?」


 俺は少しでも情報を聞き出そうと会話を続ける。緊張して足が動かない割には落ち着いて話せている自分に驚きながら話をする。


 「ふん、お前の身近にいる人間など限られているだろう。以前のように大人しくしておけばいいんだよ」


 このフードの人は俺の事をよく知っている様だ。そうなると俺と関わりのある人間なのかもしれない。


 「あんた、俺と同じ、関堂学園の人間か?」


 「ふっ、そんな事を教えるはずがないだろう」


 当然正直に答える訳はない。だが正直、俺の様子を知っているとすればほぼ学園の関係者だろう。何故なら学校以外の人間と関わる事が殆どない。


 「そうか、でもそんな誰か分からない人間の事なんて言うことを聞くと思っているのか?」


 「……ふん、必ず後悔することになるぞ……」


 黒フードの男はそういうと走って逃げてしまう。奥の路地を左に曲がっていく。


 「え?あ、おい、待て!!」


 俺は何秒か放心してしまったがすぐに後を追った。しかし、路地を曲がった先を見ても人影がなく見失ってしまった。その後も走って犯人の姿を追ったが怪しい人間を見つけることはとうとう出来なかった。

 

 

 その後、近くの交番に行くため、大通りを歩く。先ほどの事もあるので辺りに怪しい人がいないかキョロキョロしながら歩く。


 「おーい、杉下!!」


 後ろから声をかけられて、ぱっと振り向いても誰もいない。


 「いや、車道の方」


 また声をかけられて車道の方を向くと車から顔を出している担任の二条先生がいた。


 「あ、先生、もう帰りですか?」


 「あー、いや、近頃物騒だから先生たちもちょっとパトロールをしているんだよ。生徒を見つけたらこうやって声かけて早く帰れって言ってんの」


 なるほど、警察の人だけではなく先生たちもパトロールをしているのか感服する。


 「で、杉下は今帰りか?下校時間からはちょっとたってるだろ、早く帰れ」


 「あ、いや、丁度今交番に行こうと思ってて」


 「交番?なんかあったのか?」


 二条先生に先ほどの出来事を説明する。先生は神妙な顔で話を聞いてくれた。


 「……お前そんな事が、という事は今も危ないな。交番よりも少し遠いが警察署に相談した方が良いだろう。先生も一緒に話をするから車に乗れ」


 「いいんですか?」


 「アホか、不審者にあった生徒をそのままにするわけないだろ」


 という事で先生の車で警察署に向かう事になった。俺は取り合えず助手席に乗る。


 「こっから警察署だと10分くらいか」


 二条先生は慣れた手つきでカーナビを捜査して警察署までのルートを出している。その姿を見ていると大人の女性、カッコいいと感じる。二条先生の具体的な年齢は知らないが20台前半のお姉さんという感じで、整ったルックスも相まって男子生徒からの人気も高い。数多くの男子生徒が告白して玉砕しているそうだ。


 「で、杉下は怪我とかはないのか?」


 「あ、はい、何もせず話をしただけで逃げっていったので」


 「そうか、じゃあ病院行かなくても平気だな。じゃあ行くぞ」


 二条先生は車を発進させる。


 「そういえば疲れたろ、この水まだ飲んでないから飲んでいいぞ」


 そういうと先生の手元にあった飲料水のペットボトルをこちらに渡してくる。


 「あ、はい、ありがとうございます」


 正直、フードの人を捜す為に走り回ったので喉がカラカラだ。


 「そういえば、杉下、最近三波や高橋とかクラスの連中と仲良くなったよな」


 二条先生は気を使っているのかクラスでの俺の話を始めた。


 「そ、そうですね。クラスのみんなとあまり話をしてこなかったんですけどみんな優しくて」


 「それは良かった。以前のお前はクラスでも浮いているのかなと気にはなっていたんだ」


 流石担任の先生だ。生徒の事をよく見ているなと感心した。


 「そうなんですか、でもまだ暗い性格なんで上手く馴染み切れていないなとは感じているんですよね」


 「そんなものは慣れていけばいいんだよ」


 そんな風に先生とクラスの事など話をしているうちに車を走らせているが一行に警察署に着く様子がない。


 「あれ、先生?カーナビのルートから外れちゃってませんか?」


 カーナビを見ると警察署へ道からは外れてしまっている。それどころか山の方の道へ進んでいる気がする。というか何かさっきからなんか強烈な眠気に襲われている。走って疲れてしまったんだろうか。


 「ああ、いいんだよ。これから行くのは警察署じゃないから」


 二条先生の言葉を聞いた瞬間、俺は気絶してしまう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ