14.ウキウキな席替え
九月十三日、吹本さんが失踪してからも学校は普通に続いている。当然以前よりパトロールの数は増えたし、学校の周りには警察の人が巡回をしているようだ。
教室に着くとざわざわしていた教室がしんと静まり返る。吹本さんが失踪したのは俺達と遊んでいる時の事だというのはクラスの連中には知れ渡っているのだろう。
「あ、遥斗おはよ~」
そんな中でも高橋さんは以前と変わらず、挨拶をしてくれる。そんな中で桂木君は俺の方を睨んでいる。俺は目をそらして席に着く。そうしている間に朝のホームルームの時間になる。
「おーい、みんな席に着け~」
担任の二条先生が教卓を叩いて席に着くように促した。
「正直、みんな話を聞いているかもしれないが他クラスではあるが吹本野乃花さんが行方不明にな
っている。目撃情報があったら先生などに話して欲しい」
先生が言うとクラスのみんながざわざわしている。
「はい、静かに~、勿論みんなも不安だとは思うんだが以前より学校から駅までのルートはパトロールを強化している。みんなも真っ直ぐ帰るように」
そうはいうがクラスのみんなは不安な表情をのままだ。
「まあ、嫌な話ばかりであれだと思うから今日は席替えをしようと思う!!」
そういうとクラスからわっーと歓声が上がった。
「ふっふっふ、もうくじは作ってきた左前が一番で、その後ろが二番、三番、四番と番号で割り振っている。で次に左から二列目の先頭が八番になる。大体分かったら出席番号順でくじを引きに来い」
ということで教卓の前に出席番号順で並んで自分がくじを引くのを待つ。しばらく待っていると自分の番になった。
「ほら、杉下、さっさと引く」
「は、はい」
二条先生に促されてくじを引くと二十一番、真ん中の一番後ろの席だ。中々悪くないのではないだろうか。俺は自分の席を運んで新しい席の場所まで持って行く。
「どうも、隣よろしくね」
声をかけられて方を見ると立花さんが左横でニヤニヤしながら俺を見ている。
「た、立花さん?まさか隣なの?」
「そうみたいね。しばらくよろしくね」
普通に話しかけてきている立花さんに疑問を覚えた。
「あれ、普通に話しかけてきて大丈夫なの?」
「隣の席なら話かけてもおかしくないでしょ」
立花さんはニヤニヤしながら俺を見ている。なんとなく楽しそうに見える。そんな事を考えていたら急に立花さんがこちらに近付いて来て俺の顔に顔を寄せた。
「た、立花さん?」
「事件の事などは学校で話さないようにしてね」
俺の耳元でそう囁いた。
「わ、分かったよ……」
放課後、一人で帰っている。前は三波さんや高橋さんと帰る事もあったが偶には一人で帰るのも良いものだ。もともと内気な性格で人と話すのが得意なわけではないのでこうやって一人でのんびり帰るのは落ち着く。
そんな事を考えながら歩いていると前からこちらへ来る人影を見る。黒いフードを被った少し怪しい人だなと考えていると、その人がこちらに向かって話しかけてきた。
「杉下遥斗だな。話がある」




