クロネコノト ~猫の日のいちにち~
私はノト。
黒猫。女子。超女子。そして魔女。
今日も街をパトロール。
誰だ徘徊とかぬかした失礼なヤツはっ
自宅を出発して神社に行って
たくさんお陽様を浴びて
商店街に行ってオヤツをもらう。
代わりにちっょとだけ撫でさせてやる。
やめてっお腹プニプニしないでっ
秘密の場所で
トラとミーと銀ちゃんと会議。
街に変わった事はないか
怪しいヤツを見かけなかったか
売人とかいないか
魔女は街に暮らし街を守る。
魚屋さんのお魚は勝手に食べたらだめだ。
自分ちのテーブルの上のはいいけど。
だから魚屋のおっさんの足元で座ってじっと見詰めてあげる。
上目遣いで見詰めてあげる。
もうイチコロよ。
チョロイぜ魚屋。
実は生魚そんなに好きくない。
切り身を軽く炙ってほしい。
魚屋気が利かないので次へ行こう。
床屋に行くとミーがいる。
ここのおばちゃんは美味しいオヤツをくれる。
花屋に行くとデカイ奴がいる。
いっつも口開けてベロ出して尻尾振っている。
臭いっ獣臭いっ
ええいっレディの臭いを嗅ぐなっ
ゴワゴワしているけどクリーム色の身体はキレイな奴だ。
ちょっと寝てみ。言葉判る?
チョット、ソコヘネテミ?
ゴロンと伏せてへっへっ言ってる。
おかしな奴だ。
ああ温かいなお前。少し私の枕にさせてやるから有難がるやうに。
どぅわっいきなり動くなっ
あ?そうか主人が呼んでいるのか。
偉いやつだ。呼ばれてすぐ行くのは偉い弟子だ。
それに引き換えうちのアレはまったくアレは。
何屋か判らないが売人みたいな格好のオヤジの店にトラがいる。
トラの弟子も実に忠実でよろしい。
デレデレな弟子。
私にも尽くしてくれる。
でもチョットしつこいからイヤ。
ハチの居た家にはもう誰もいない。
ハチは街を出ていった。
ハチのトモダチが大きな通りに行ったきり戻らなくて
ハチはずっと泣いていた。
私はハチにもトラにもミーにも銀ちゃんにも
大きな通りは危ないから行っちゃダメと言っていた。
ハチのトモダチはそれを知らなかったんだ。
ハチはきっと新しい場所できっと新しいトモダチを作るさ。
この道は上を歩くのが気持ちいい。
狭いけど魔女だから余裕。超余裕。超魔女。
弟子共を見下ろすのは気分良かですよ。
寒くなってきた。
もっとお陽様欲しいな。
早く帰ってコタツに入ろう。
お腹空いた。
梅の花がキレイだ。
鳥っ
待て鳥っ
おのれ鳥っ
違うよ?鳥なんて追ってないよ?
梅の花がキレイだなって。
さあ早く帰ろう。
誰だっ
何だ影か。
違うよ?自分の影に驚いてなんていないよ?
帰ってお水飲んで
ご飯食べて
弟子の膝の上で寝てやろう。
だから早く帰ろう。
ただいまー
お水ー
ごはんー
何それ何それっ
私にもちょうだいっそれちょうだいっ
ぐぬぬぬ
じゃあお前にはカリカリやらんっ
超美味いのにっ
まるでマグロの宝石箱の味のやつやー
こんな美味いけどお前にはやらんっ
おトイレキレイになっている。偉いぞ。
あぁ満足した。
ちょっと足どけてっ
私がそこで寝るのっ
噛むぞっ
一眠りするからそしたら遊んでやる。
何、何処行くの?
オフロ?仕方ないな私が見張っていてやる。
溺れないようにな。気を付けろよ。
お前は私がいないとダメだから。ホントダメだから。
はっ
寝てないよ?全然寝てない。
目を瞑って物思い。
女子だから。女子はいつも何かを憂うのよ。
いいから早くコタツに座って膝の上に乗らせろっ
ここが好き。
お前と一緒がいちばん好き。
夜中にお腹空いたら呼ぶからすぐ起きろよ?
遊んでやるからすぐ起きろよ?
今日も街をパトロール。
明日も街をパトロール。
それ行け黒猫パトロール。
お水は冷たい水がいい。
魚は炙った鮭がいい。
私は魔女。黒猫。女子。
名はノト。
これが猫の日とやらの一日。
黒猫の「ノト」
詳細は
「クロネコノト」
https://ncode.syosetu.com/n1364fe/
をご覧ください。