飼育をしてみよう
今日はラディッシュの収穫。エミリアさんは大興奮だ。
「ほら、まん丸で真っ赤でしょう?」
「うん!」
「一個引っこ抜いてみて下さい」
おお、美味しそうだ。
「おお…」
「水で洗えばそのまま食べられますよ」
すると、水で洗って食べた。
「いただきます。はむっ」
「おいしいですか?」
「おいしい!」
「じゃ、全部収穫してサラダにでもしますか!」
「イツキ、私、生き物、育てる!」
エミリアさん、ラディッシュを育てたのが楽しかったからか、今度は動物を飼ってみたいようだ。
「難しい、出来ない。おすすめ、ある?」
「じゃあ、捕まえに行きますか?」
田舎は生き物の宝庫だ。探せばいくらでもいるだろう。まぁ、田んぼや畑がある訳ではないが。
「…外?」
「一緒に行くので大丈夫ですよ」
「大丈夫…。」
エミリアさんはちょっと怯え気味だが、外には出た。
エミリアさんに肩掛けの虫かごと伸縮タイプの虫取り網を持たせた。
昨日は雨だった。ミミズやカタツムリもいるだろうか?
「エミリアさん、ここ見てください」
「ん?」
「ショウリョウバッタですよ」
ショウリョウバッタがいた。背中にもう一匹乗っているこいつは、「おんぶバッタ」と呼ばれる事もある。
「この子、どれ、食べる?」
「草です。この長い草をよく食べますよ。ほら、触ってみますか?」
つかんでエミリアさんの手に乗せた。
「お…」
キラキラと目を輝かせながら見つめている。
すると、背中の一匹がエミリアさんの顔めがけて飛び上がった。
「うあっ!」
「ハハハっ」
つかんでいた方が黒い液体を出した。
このショウリョウバッタの別名は「しょうゆバッタ」。由来はこのしょうゆのような液体から。
よく血と勘違いされるが消化物である。
「し、しょうゆ?」
「こいつは別名しょうゆバッタっていうんです。」
そしてモンシロチョウを見つけた。
「お、モンシロチョウですね」
「あ、逃げた」
モンシロチョウも飼うことができる。
エサははちみつを水で薄めたものか、アブラナ等の花を採ってきてあげる。
「イツキ、これ」
「ニョロニョロしてますね」
「にょろにょろ。」
「ミミズって言うんです」
「みみず。」
ミミズだ。
虫かごに腐葉土を深めに入れ、野菜くずをエサにあげるだけで飼える。
「何、食べる?」
「野菜くずや、余った食べ物なんかを食べるんです」
「野菜、くず?余った?」
「料理した時に出るごみが野菜くず、食べきれなかった物が余った食べ物です」
「これ、便利!飼う!」
ミミズを飼うとは。意外だったな。
早速捕まえて帰った。
「この大きい虫かごに、腐葉土を入れる。」
「ふようど。」
「確か昨日のカレー作った時のごみがあったかな?」
ニンジン、じゃがいもの皮があったはず。
「えーと、これか」
「エサ?」
「うん、これを入れておけば勝手に食べてくれます」
「ミミ子、喜ぶ?」
「ミミ子?」
「日本人、名前」
「あぁ、この子の名前ですか。きっと喜ぶと思いますよ!」
~子って付けるのが日本人だと思われてるのか…
こうして、エミリアさんとミミズのミミ子の生活が始まった。