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刀工、三条宗近の転生物語  作者: 鳳凰寺未来
異世界編
9/55

第九話

「領主様の御子息だからな」


 其の言葉を聞いた瞬間、メルヴィンがムネチカを庇うように立つ。


「大丈夫だよ、メルヴィン。座って」

「…………」

「座って」


 渋々座るメルヴィン。


「店長をやってるんだから、其の位見抜いて貰わなきゃ困るよ。というか、本当はそう思ってないくせに。店長兼工房長さん?」


 笑顔のムネチカと男。

 良く見ると二人とも目が笑っていない。


「で? お願いっつーのは何だ?」

「……ムネチカ様は、ご自身の武器をお探しです」


 不機嫌そうな顔をして答えるビアンカ。


「俺に作れと?」

「まあ、そう思ってたんだけどね」

「え、違うのですか?」


 笑顔で頷き、男を見据える。


「……成る程な。んじゃ、こっからは鍛治師同士の話し合いだ。テメェ等は出て行け」

「は……?」

「わ、私達はムネチカ様の護衛です! 離れる訳には……」

「大丈夫だよ。さ、出て出て」


 二人の背中を押し、外へ出すムネチカ。


「んじゃ、話し合いと行きましょうや、ムネチカ様よぉ」

「止めんか。対等に話がしたいでのう」


 先の子供は何処へやら。

 其処に居るのは一人の鍛治師だ。


「それがアンタの本性か」

「まあ、そうだな。却説、話し合いを始めるか」


 にやり、と笑みを浮かべる二人。


「先ず始めに、刀を知って居るか?」

「……その年で何で、って質問はしねぇよ。色々あんだろ?」

「嗚呼。まあな。……俺は、刀鍛冶だった。己で打った刀で命を奪った事もある。俺に取って刀は、」

「「人生を彩る唯一無二の存在だ」」


 示し合わせたかのように重なる二人の言葉。

 其処で、二人は感じる。

 「同類だ」と。

 二人は握手をした。


「名は?」

「ダモンだ。これからよろしく頼むぜ、ムネチカ」

「嗚呼」


 座り直し、話を再開するダモン。


「しっかし、見てみたかったな。ムネチカが打った刀」

「ふむ……。見る事は敵わんだろうな」


 ふと、閃くムネチカ。


「ダモンや。お前、刀の拵えは出来るか?」

「一応、全工程は出来るぜ? ……まさか」

「嗚呼。もう一度、打ってみようと思うてな。まあ、全く同じ物は作れぬだろうが」

「マジか! んじゃ、詳細を教えてくれ!」


 急に張り切り始めたダモンに引き気味のムネチカ。


「そうだな……。ではあの子にするか」


 詳細をダモンに話すムネチカ。

 ダモンは一言も聞き逃すまいと集中し、そんなダモンを見てムネチカも真剣に話す。


「……このくらいか」

「じゃあ、俺は材料を集める。ムネチカは鍛えるんだろ?」

「嗚呼。俺の手で振るうてみたいからな」


 ふと、扉が三回叩かれる。


「時間切れの様だな」

「あぁ。材料は3日で集めてやんよ」

「では四日後だな。亦来る」

「待ってるぜ」


 お互いに一礼し、ムネチカは鍛冶屋を出た。


「お待たせ」

「大丈夫でしたか?」

「うん。有意義な時間だったよ。待たせて御免ね」


 手を繋いで帰る。

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