第八話
彼から特に何事も無く五歳に成った。
六歳からは初等部に行くらしい。
そして、武器の所持を勧められた。
三男では有るが、領主の息子だからな。
今は武器庫に案内して貰うて居る。
今迄縁が無かったからな。
「此処が武器庫です」
ビアンカがムネチカにそう言い、メルヴィンが扉を開ける。
ほう……。
中々の物が有るな。
ビアンカが生活魔法の【光明】を発動し、部屋を明るくする。
ムネチカはじっくりと武器を見定める。
ふむ……。
中々だ。
中々なのだが……。
矢張り、量産品故か、品質が悪い。
それに、刀が良いなあ……。
思わず溜め息を吐くムネチカ。
「ムネチカ様、良い品はありませんか?」
此処で刀は無いか、と言うと……。
有るとしても何故知っているのか、という質問を返される。
ふむ……。
ふと、ムネチカが閃く。
「無ければ、作るか……」
「へ?」
「あ、ううん。……ねえ、ビアンカ。鍛冶屋って、ある?」
「鍛冶屋、ですか? うーん……。あ! ありますよ!」
ぽん、と手を叩き、微笑むビアンカ。
「あー。でもあそこって頭の固いドワーフがやってるとこだろ? 大丈夫か?」
「でも、あそこの鍛冶屋は結構有名ですよ? 後敬語!」
「あーはいはい。んで、どうします? ムネチカ様」
頭が固いのに、有名、か……。
期待出来るな。
「行ってみよう! 僕、外出の許可貰って来るね!」
「は、はい!」
「はーい」
早歩きでヴィオラの部屋へ行くムネチカ。
「母上、ムネチカです」
扉を三回叩き、往訪を知らせる。
「あらムネチカ。どうしたの?」
扉を開け、問うヴィオラ。
「外出の許可を頂きたくて来ました」
「理由を聞いても良いかしら?」
「鍛冶屋に行きたいのです」
「あぁ……。良いわよ。変装して……まぁ、ムネチカはそのままで良いわ。ビアンカとメルヴィンを連れて行ってね」
頷き、礼を言って去るムネチカ。
ムネチカが外へ出る頃には、ビアンカとメルヴィンが変装して待っていた。
「じゃあ、案内宜しくね」
「はい。お任せ下さい!」
ビアンカ、ムネチカ、メルヴィンの順に並んで歩く三人。
お忍びでは、三人兄弟という事に成っている。
「此処ですよ。気を付けて下さいね」
「はーい」
メルヴィンが扉を開ける。
中から熱気と、かんかん、という音が漏れ出て来る。
「失礼致します。店長さんはいらっしゃいますか?」
反応が無い、が。
大きな声を出そうとしたビアンカをムネチカが止める。
「ビアンカ。彼方は気付いてる。待って居よう」
「へ? は、はい」
ビアンカの手を引き、近くに有った椅子に座る。
もう仕上げに入っている。
少し待てば来るだろう。
「ムネチカ様、何故気付いていると?」
「勘」
「へっ?」
「だから勘だよ。此の音は違う。そう思っただけ」
頸を傾げる二人。
「良く分かったな」
「分かるさ」
一拍置いて驚くビアンカとメルヴィン。
「いいいいいいつの間に?!」
「おいおい、気配を感じなかったぞ……」
「というかムネチカ様、普通に会話してる……!」
はっはっは。
此の程度で驚くとは、未熟よのう。
驚いている二人を放置し、見つめ合うムネチカと男。
「え、えっと……? と、取り敢えず、店長さんですか?」
「あ? あぁ。俺が店長だ」
「今日は、お願いがあって来たんです」
「お願い、ねぇ……」
ビアンカ、メルヴィン、ムネチカと見ていく男。
「良いぜ、聞くだけ聞いてやる」
近くの椅子を引き寄せ、座る男。
「領主様の御子息だからな」