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刀工、三条宗近の転生物語  作者: 鳳凰寺未来
異世界編
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第二話

「おぎゃあ! おぎゃああああ!」


 ふむ。

 無事転生したようだな。


「ムネチカ、お母さんよ」

「俺が父だ」


 む、母上と父上か。

 宜しく頼む。


 ムネチカは言葉の代わりに笑顔で応えた。


「あら、笑ったわ!」

「おぉ、本当だ」


 二人は暫くムネチカを愛でると使用人に任せて去った。


 却説、これからの事を決めるか。

 先ず第一に情報だな。

 此の世界の事を知らなければ何も出来ない。

 動ける様になる迄には大体の事を知っておかなければ。

 情報集めを主に、体を鍛えるのも遣っておこう。

 赤子故、本格的な鍛錬は出来ぬが、遣らぬよりは良いだろう。


 今後の方針を大まかに決めたムネチカは、眠気に抗う事無く眠りについた。






 あれから二年。

 大分動けるようになった。

 情報はまぁ、当然というか、あまり入ってこない。

 態々幼子の前で言う必要は無いし、あまり外にも出られていないからな。

 分かったのは、此処はペルセトリ王国のアーサー、基、父上が治めているスミス領という場所。

 貴族という奴だな。

 まあ、俺は三男故、使い道は無い。

 精々、婿入りするか冒険者になるかだ。

 俺は冒険者になるつもりだ。

 冒険者になれば、動き易いからな。


「ムネチカ、準備出来た?」


 部屋の扉から顔を見せるヴィオラ、基、母上。


「はい、ははうえ」

「じゃあ、行くわよ。ムネチカは初めての通園だから、ちゃんと挨拶するのよ?」

「はい!」


 俺は今日から幼稚園、という所に通うらしい。

 此の幼稚園というのは、貴族の子を幼子から教育し、より良い貴族に育て上げる為の場所らしい。

 見習い給仕で俺専属のビアンカと、見習い執事で此方も俺専属のメルヴィンが言っていた。

 洗脳、の様なものなのだろう。

 幼き頃から言い続け、その通りに成長させる……。

 全く、人とは分からぬものよのう。


 ムネチカ、ヴィオラ、ビアンカ、メルヴィンを乗せた馬車が走り出す。

 走って数分で其処に着いた。


「では、よろしくお願いしますね」

「は、はい!」


 手を振ってムネチカと別れるヴィオラと、その後を追うビアンカとメルヴィン。


「では、行きましょう。ムネチカ様」

「はい」


 手を引かれ、建物に入って行くムネチカと幼稚園の職員。


「皆さん、新しい仲間がやって来ましたよ〜」


 職員の声を聞き、集まってくる園児達。


「自己紹介をお願いします」

「はい。ムネチカです。よろしくおねがいします」


 頭を下げるムネチカ。


「へいみん?」

「なんでへいみんがここに?」


 嗚呼、そうか。

 名字は貴族の証であったな。


「せいはスミスです」


 その言葉で一気にざわつく園児達。


「りょうしゅさまのごしそくだったのか」

「すごい、かっこいい……」


 ふむ。

 幼い乍ら、領主の姓くらいは覚えているようだな。


「まあ、かいきゅうかんけいなしになかよくしてくれるとうれしいです」


 笑顔付きでそう言うと、子供等の緊張が解けたようだ。

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