第十四話
『そ、そうですよ……。兄様方、お、落ち着いて下さい……』
四番目に出て来た玉より少し小さな玉が来る。
『そうだぜ! それより、次は誰か決めようぜ!』
五番目に出て来た玉より更に少し小さな玉が来た。
と思ったら、其れより更に少し小さい玉がすっ飛んで来る。
『馬鹿ですわね。父上の保有している魔力とやらの供給が無いと私達は実体を保てないのですよ? 全員打って顕現したら、父上の魔力が枯渇してしまいますわ。今決めるべきは、何振り、誰が打ってもらうかです』
『『『『『おお〜』』』』』
『感心しないで下さいまし! って今剣姉様まで……。兎に角、決めますわよ!』
見事に纏めてみせた最後の玉。
「うん? 実体、とな?」
『嗚呼、其の説明もしなくてはね。私達が付喪神っていうのは、先に言った通りなのだけれどね。付喪神に成った事で、霊力とか、魔力とかを大量に吸収して実体を持てるのよ。詰まりは人間の体が手に入る』
「ほお! では実際にあの世界で話せる、ということか!」
『ええ。じゃあ、先ずは父上の魔力保有量から、顕現出来るのが何振りかを計算しなければね。じゃあ、一番霊力の扱いが上手な……、蝶丸、行ってみましょう!』
!
蝶丸……?
『当たり前ですわ! では、父上。手を出して下さいまし』
「う、うむ」
言われた通り、手を出す宗近。
其の指先に触れる、最後に出て来た玉。
『ふむ……。ふむふむ。……分かりましたわ。父上の魔力保有量は一般人が百とすると、百四十万。父上が使う分を半分残すとすると、使えるのは七十万。私達を顕現するのに必要な魔力は個人差は有れど、大体五万で、維持するのに必要なのも五万程。で、父上の回復量と計算すると、七振り顕現出来ますわ』
七振り、か……。
『なら、丁度良いじゃん!』
『丁度良い! 丁度良い!』
遠くに居た小さな玉達がわっ、と寄って来る。
丁度良い、というのは、今迄居た光りの玉が七個。
詰まり、此の七人で丁度良い、という訳か。
『貴方達……』
『良いの! 良いの!』
『亦こうして父上と会えたから!』
『姉様達と兄様達と蝶丸が行って良いよ!』
そう元気に言う小さな玉達。
だが、少しの悲しみが声と共に伝わる。
「亦、会えるのか?」
『……いいえ。もう父上は此処に来れないの。私達付喪神が父上を無理矢理連れて来ている状態だから……』
「そう、か……」
もう、会えないのか……。
…………。
「今剣、時間は未だ有るか?」
『……残念乍ら、もうそろそろ戻ってしまうわ』
「…………。分かった」
俯く宗近。
ふと、小さな光りの玉達が自身の周りに集まるのに気付く宗近。
「お前達……」
蝶丸の口調を変更致しました。話の流れは変わりません。(18/05/15)