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けっこう有名人だね



魔物がいるとは聞いていたが、まさかこれほどの状態だとは、思ってもみなかった。

ノノを肩に乗せた青年は、旅馴れた脚力を活かし、常人の2倍ほどの速度でローデンシアに到達していた。


むろん不法入国だが、まだ王族同士が政策でギクシャクするまでは何度か来ていたので、勝手知ったる町村を次々にぬけてゆく。

「おお! あんたもしかして、シアンさんじゃないか!?」

「ここん所どうしていたんだね!」


ドラッグで派手にキングを気取ってるって聞いてたけど、やっぱり地味勇者だよねえ!


まだ自国の魔王を倒したばかりの頃、凱旋騒ぎでここにまで招待されたことがあるので、顔見知りがちらほらいたりする。

引きつった笑いで手をふりながら、シアンは町外れをゆくことになっていた。


「・・・おっと。なんだなんだ・・・!? こんな田舎町なのに、王都直属の騎士がいるみたいだぞ・・・!」

ただの田舎兵士だと思って片手を上げたら、とんでもない勘違いだった。

それにこっちは、町の外側とはいえ人家のすぐそばなのに、キラー系の(ビースト)がいるみたいだし。

人を避け、しばらくは郊外で休んでいこうと思ったのだが、そうもいかないようだった。


「だから、魔物が増えてますよって、言ったじゃないですか・・・」

妖精は林をぬうようにして、街道を横目に進んでいく。

ちなみにモンスターは、特別なものをのぞいて、単に名前のみ、そのパワーアップ型のブル系、キラー系、デス系と格が上がっていく。


「ただ、不思議なことなんですが、彼らはけっして村落などに危害を加えようとはしていません。 驚くほど統制されたように、いろんな地区の郊外のみで活動しているのです」

「ふうん・・・」


指揮しているのが、よほど頭の良いやつなのか。 それとも、ただのビビりで、国軍や冒険者がなだれ込んでくるのを恐れているのか・・・


「しかし、おもに被害を受け持っているのが、お前の勇者である、ハウザー家の人間なんだろ?」

「そうなのです!」

小さな拳をぐっと握りしめて、ノノは空を見つめていた。

「世の中でいちばん豊かな往来者は、王侯貴族などではなく、商人なのです!

とくにハウザー家は、運輸でのしあがってきたと言われる豪商! モノを右から左に ーー あふれた地域から少ない地域へと運ぶだけでお金が得られる隊商キャラバンの基本は、『ゴールドエンド』だろうが、わが『ローデンシア』だろうが、変わりません!」

なぜかじゅるっとよだれをぬぐって、妖精は力説していた。

こいつ・・・絶対なにか美味い食いもんで釣られているんだな・・・。


とりあえず、民衆からの不満はそれほど出てはいないが、ハウザー家はすでに、1000万ゴルド()単位の損失を出しているーー

そうつけ加えて、ノノはまた前方を睨んだのだった。

やれやれ・・・。

ガテン系の職業ばかりやってきたので、思ったりより自分の体力は落ちていないようだ。

(しかし、これほど魔物が目につきながら、被害が一部だけってのは・・・)

むしろ不吉な兆候でしかないよな、とシアンは妖精に続いていった。






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