表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私がヒロインだけど、その役は譲ります~番外編~  作者: 増田みりん
Sweetquest~甘味は世界を救う~
2/5

第2話 そして三人はそっくりさんに出会った

ご要望があったので、続きました。

前話の女神様の名前を変更しました。

 私たちは順調にレベルを上げ、魔王の居場所を探し続けている。

 しかし、魔王の居場所に関しての有力な情報は今のところなく、私たちは今日もレベル上げに勤しむ。


「神楽木!今だ!」

「わかりましたわ!『いちょう切り』!!」


 私は技名を叫びながら、目の前にいる狼のようなンスターを切りつけた。

 ちなみに私の持っている武器は普通の長剣ロングソードです包丁ではありませんのであしからず。

 狼のようなモンスターは私の華麗なる剣さばきにより絶命した。決して包丁さばきではないと主張する。


「今日も絶好調だな、神楽木」

「本当にね。キレキレだよね、その剣さば……包丁さばき」


 何故言い直した蓮見よ。

 ていうか、お前らも戦え!

 ここずっと私ばかり戦っているような気がするのは気のせいではないはず。

 しかしこの世界、私しか戦っていないのにも関わらず、蓮見も飛鳥も経験値は増えていく。

 パーティーを組んでいるからなのだろうが、理不尽だ。

 私ばかり戦わなきゃならないなんて不公平だ!


「飛鳥くんは、まあ、いいにしても。蓮見様も戦ってくださいな!」

CP(クッキングポイント)はとっとく方針でしょ?それにこの辺りのモンスターは君一人で十分だろうし」

「うぐっ」


 それにしたってこん棒で殴るとかしてくれてもいいじゃないか。武器なんだし。

 口の中でモゴモゴ反論するもはっきりとは言えない。

 最初の頃に蓮見の魔法を頼りすぎてピンチに陥ったことがあるからだ。

 蓮見の魔法は強力だが、その分使える回数も限られている。

 蓮見はこのパーティーの切り札(ジョーカー)なのだ。


 え?私?

 私はこのパーティーの切り込み隊長ですよ。

 ああ泣きたい。

 だって私、女の子なのに。

  女神様のばぁかぁ!!!



 そんなやり取りをしている間に私たちは街に入った。

 しかし入った瞬間にこの街が異常であることに気づく。

 人が、ひとりもいない。


「な、なんだこの街は……!?」

「人の気配が、ないなんて……どうして」

「なんか、変な気配がするな……」


 蓮見がそう言うと勝手に街の中を進んでいく。

 私と飛鳥は慌てて蓮見のあとを追う。

 そして蓮見は迷うことのない足取りで街の一番奥にあったお城に入っていく。


「蓮見!?」

「蓮見様、勝手に人の家に入ってはいけません!」

「いや、そこじゃないだろ!?」

「……ここから変な気配がするんだ」


 なんか会話が噛み合ってないぞ。

 折角私がボケたのに何故ツッコまない蓮見よ。

 飛鳥は相変わらずのクオリティである。さすが飛鳥。


 蓮見は私たちが止めるのも構わず、どんどん奥に進んでいく。

 そして蓮見がようやく足を止めたのは、玉座がある場所だ。

 そこは、異様な気配で満ちていた。

 ここだけ異様に空気が冷たく、寒いくらいだ。

 一見ただの空の玉座。だけど、空気が、気配がこれが普通じゃないと訴える。


「こ、これは……呪い、か?」


 飛鳥がぼそりと呟く。

 蓮見も肯定するように頷く。

 しかし残念ながら私にはさっぱりわからない。

 だって私、魔法使えないから!

 辛うじてここ変だなーとわかる程度だ。


「だれだ……?」


 不意に私たち以外の声が響く。

 そこにはなにやら見覚えのある人物が立っていた。



「朝斐さん!?」

「だれだ、貴様は?」


 え?朝斐さんでしょ?

 何回見ても朝斐さんだ。

 まさかの、そっくりさん?

 それもそうか。ここ異世界だもんね。


「ごめんなさい。あなたが知り合いにそっくりだっもので……私はリンカと申します。冒険者ですの」

「冒険者……?ただの冒険者がこの国に入れるわけがない。この国は魔王の配下によって強力な呪いがかけられている。その呪いのせいでまともな人間は近づくことすらできないというのに」

「魔王……!?」


 やっと魔王の手懸かりが!

 しかし、私が魔王というワードに反応したことにより朝斐さんのそっくりさんに警戒心を余計に芽生えさせてしまったようだ。

 やばい、どうしよう。


「貴様らは……魔王の配下なのか?これ以上この国に何をする気だ」

「私たちは魔王の配下ではありません」

「では何故ここにいられる?」

「さあ……?私たちが勇者だか…むぐっ」


 私は飛鳥と蓮見によって口を塞がれた。

 なにをする!


「馬鹿なの?勇者と言って信じるわけないでしょ」

「まったく君は……」

「むぐっむぐむぐむむむむぐっ」


 そんなの言ってみないとわからないじゃないですか!

 と言ってみたが言葉にはならない。

 だってここ異世界だよ?うちらの世界の常識とかあまり通用しないんだよ?



「君たちは……勇者なのか?」


 朝斐さんのそっくりさんは目を見開いて私たちを見つめる。

 そして顔を歪めて頭を下げた。



「頼む……君たちが本当に勇者なら、妹を魔王から救ってくれ……!」


 頭を下げた彼を蓮見と飛鳥は目を見開いて見つめた。

 私はドヤ顔である。

 ほら、ね?言ってみないとわからないでしょう?



 私たちは朝斐さんのそっくりさんから話を聞いた。

 彼の名はアサヒと言うらしい。

 そっくりさんの名前もアサヒとは、これなんかの陰謀?

 アサヒはこの国の王様で、妹がいるらしい。

 妹の名前はミク姫というらしい。


 アサヒ陛下にミク姫ね……なんかできすぎじゃない?

 まあ、今はそんなことどうでもいいか。


 アサヒ陛下が治めるライジング王国は小さな小国で、平和な国だったのだという。

 しかしそんな平和な国にある日魔王の配下がやってきて、国の人間をアサヒ陛下以外すべて消し去り、ミク姫を拐ったあと、強力な呪いをかけていった。

 その呪いとは、ヤル気がなくなる、生きる気力がなくなるといったものらしい。

 私にはよくわかんないけど。

 勇者だから呪いとかきかないのかな?

 チートだね!さすが勇者!


 しかしここで疑問。


「なんで陛下は平気なんですか?」

「あぁ。この国の王に代々伝わるブローチに呪いをはね除ける力があってな。これのおかげで俺は無事なんだ」


 そのブローチは国王の証なんだそうで。


「俺はこの国を放っては置けない。だけど拐われた妹も心配だ。そこで君たちに妹を救って貰いたい。どうか頼む、妹を救ってくれ!妹を救ってくれたあかつきには俺にできることならなんでもしよう」

「頭を上げてください、陛下。どうせ私たちは魔王を倒さなくてならないのですから、その時にミク姫様も救うと約束しますわ」

「ああ、任せてくれ」

「ついでだしね」


 私たちは口々に頷くとアサヒ陛下はとても感謝をした。

 そして私たちはアサヒ陛下から魔王の居場所についての有力な情報を得て、ライジング王国をあとにした。




 それにしても、やっぱりこの世界、なんか変。



 私たちの旅はまだ続く。




今回ギャク要素そんなになくてすみません。

次はギャク要素盛り沢山でいきますよ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ