ロイトという少年
時は、2745年。人類に最大の天敵-モンスターが生息する時代である。
「では、気を付けて帰ってくださいねー」
「「「はーい」」」
日本にある小さな小さな村-緑黄村。
そこに、ある少年が住んでいた。
彼の名前はロイト。14歳。丁度、中学校三年生である。
ガタッ
ホームルームが終わり、家に帰ろうと席を立つロイト。
そんな彼の肩に、誰かの手が置かれる。
「あんだよ....?」
めんどくさそうに振り返ると、そこには生徒会長が居た。
しかし、彼は動じない。
なぜなら....
「あ、明日......暇?」
生徒会長のラブリは会員(No.1)だからだ。ロイトファンクラブの。
それゆえ、毎日といっていいほどアタックしまくっているのだ。
「はぁ.....あのよ、まだ分からないか?俺は、お前らと馴れ合うほど暇じゃねーんだよ.....ったく」
ロイトファンクラブの会員は、学校の女子だけでなく、村娘や他の村の娘.......
人数が半端なく多いのだ。
まぁ、結論をいうと........ロイトは凄くモテる。ということなのだが....
等の本人は、それがウザいらしい。
「そ....か。ごめん」
ロイトは、人見知りという訳では無いのだが、人と関わるのが好きじゃない。だが、先程も言った通り、凄くモテる。また性格は、冷静........というよりは、クールと言ったほうが良いかもしれない。
「あ、どうだった?」
ラブリがロイトと話し終わり、同じファンクラブの会員であろう女子が、帰ってきた彼女に頬を少しばかりピンクに染めて聞く。
しかし、ラブリの浮かない顔を見て、悟ったのだろう。
「やっぱり.......私たちは、つり合わないんだね」
暗い顔をした二人は、重たい足を引きずって教室を出る。
扉を開け、一歩踏み入れた廊下には、もう彼の姿は無かった。
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「ただいま」
ギィ
家に着き、扉を開けて中に入る。
部屋には電気が点いており、あいつが帰ってきてると確信した。
「兄さん、帰ってたのか?」
兄さん。
それは、ロイトの兄-カリヤのことである。
カリヤはロイトまでとはいかないが、そこそこイケメンで、ファンクラブもある。
しかし、ロイトとは違い、その事に満足しているのだ。
「あぁ」
「...........やっぱりさ、出ていくのか?ここ」
ロイトは、少し寂しげに言った。
俯き、拳が力強く握られる。
「まあな........ごめん。ロイト」
カリヤがロイトの頭の上に手を乗せる。
その手の大きさと暖かさに、ロイトは少し涙目になる。
「一人でも、やってけるだろ?なんせ......俺の弟なんだからよ!!」
ニカッと笑うカリヤ。その笑顔につられて笑うロイト。
「母さんや父さんはもう居ないし、俺も居なくなる。けど、お前なら心配無いぜ!!」
"母さんや父さんはもう居ない"
その言葉に少し反応したロイトだったが、すぐにまた笑った。
この、カリヤだけには気が緩むロイトに隠された闇。
それを知るのは、何時になるのだろうか.......?