君と見た流れ星
――君と出会わなければよかった。
不意にそんな言葉が漏れた。自分の言葉にハッとして口を塞ぐ。隣で寝ている君はぐっすりと眠っているようで、僕の言葉に反応した気配はなかった。ホッとすると同時に哀しくて、僕は君の頭を撫でる。君は身動きをしてまた眠りに落ちた。
――何で起きてないの。
理不尽な怒りが湧いて消えた。どうしてそんなことを思ったのだろう。僕はこんなにも君が愛おしいのに。そっと君の体を抱きしめる。君の温かい体温が腕の中に感じられる。耳を澄ませばトクントクンと音がする。君はこうして生きている。
――もしここで…………
考えを振り払う。そんなことをしても哀しくなるだけなのに、どうして『いなくなればいい』なんて思うのだろう。君がいなくなれば僕は独りになってしまうのに。
――どうして出会ってしまったのだろうね。
君とこうしている時、君が僕を「好きだ」と言ってくれるのに、どうして僕は後悔しているのだろう。どうして出会わなければよかったのにと考えるのだろう。君と出会ったから変われたこと、いっぱいあるのに……
――ねぇ、起きてよ。
言葉にならない気持ちが溢れた。あまりに静かに流れるものだから、例え君が起きていても気付くことはないだろう。君は僕の笑顔が好きだから、こんな僕なんか嫌いだろう。好きではないだろう。だから、こんな姿なんて、君には見てほしくない。それなのに君に見てほしい。こんな姿の僕を、君に見てほしい。そして君に言ってほしい。
「 」
聞こえないよ。……わからないよ。
――起きろよ、バカ。
君は眠る。幸せそうに、僕を小さく掴んで。
――もう知らない。
言葉にならなかった想いが流れ落ちる。君が目を覚ました時にはもう、その軌跡は消えているのかな。






