第八章【きっかけ】
そんな空気を読んでか読まずか、シチュアーノが勢いよく良く出てきた。
「やほおー料理出来たわよ~」
そう言うと、次々とテーブルの上に料理が並べられていった。
「うわーうまそー」
そう言って料理を眺めているレオンからシチュアーノは嬉しそうに視線を外しゆっくりと、少女の方に目をやった。すると先ほどの表情とは打って変わって、興味津々な顔をしている。
その目線の先にはキラキラと輝いた白色のスープが置いてありその中にはジャガイモやハーブなどの様々な食材が豊富に使われている、お腹の空いた今の二人には喉から手がでてきそうな程我慢出来ないものだろう。
「こっこれは、なんという食べ物ですか?凄く美味しそうです」
確かにシチュアーノの作る料理はとても美味しそうである、しかしそれにも関わらず決して豪勢という言葉が似合わないのがいい所だ。
「これはね、シチューっていうのおいしそうでしょ!でもアナタのお口に合うかしら?」
自分の口元に人差し指を置きながら、シチュアーノはそう呟いた。
「それじゃ~食べましょう!」
ニコニコとした笑顔で皆に食べる事を促したリリーはスプーンを少女に手渡した。
「あっありがとうございます」
皆一斉にスープを食べ始めた。
「うまっ」
レオンはボソリと呟くと思うと直ぐに無言になり夢中で食べ始めた。
シチュアーノは嬉しそうにレオンを見て、その後まだシチューに口を付けてない少女の方を向いてニコと笑顔を向けた。
すると、少女はスプーンで小さくシチューをすくい、ようやく飲み始めた。
「おっおいしいです、とってもおいしいです!!」
そういうと、少女は小さな口でスープを急ぎ目に食べ始めた。
「凄くお腹減ってたのね。良かった気に入って貰えて、アナタには辛そうな顔は似合わないもの、折角のキレイな顔が台無しになっちゃうわ」
そう言うと、シチュアーノはまた少女に優しい笑顔を贈った。
すると、少女はスプーンを持った手をピタリと止めた。
「わっ私なんかきっキレイじゃないです」
そう言った少女の顔は、まるでサラダの上に乗っている、トマトの様だ。
続けざまに今度はレオンに向かって冗談交じりに喋りかけた。
「レオンーこの子可愛いわね~お嫁さんに貰っちゃいなさいよー」
「なっ!!」
今度はレオンまで頬を真っ赤に染めてしまった。
シチュアーノが冗談を連発していると、ここでリリーが止めに入った。恐らくこのままでは、埒があかないと思ったのであろう。
「もーシチュアーノさん、お二人をあんまりからかわないで下さいよ、さっきからお二人とも手が止まってるから、せっかく作ったシチューが冷めちゃいますよ」
「うふふ、そうねなんか二人とも反応が面白くて……」
そう言って、シチュアーノは楽しそうにまたシチューを食べるのを再開し始めた。
その様子を見ていた二人も安心した様子と少しムスッとした様子が混じった様な表情でまたシチューを食べ始めた。
おお~
ようやく次話投稿です。
まあ~見てくださる方もいないと思うんですけど、これからも頑張っていきたいです。