第四章【メモリー】
さあー第4章到達です。
まだまだ、続きますよ~
いつか、2人で旅をさせる予定です
19時22分、少女がこのコラベール家に着いて、7時間以上たった。未だに少女は目を覚まさない。
『ぐうぅぅぅぅぅ』
少女の様子を伺っていたレオンの腹部から重低音の叫び声が聞こえた。
朝から何も食べず、少女を担いで山を降り、更に夜ご飯に差し掛かろうとしているのである、お腹が空腹を訴えるのも無理がないだろう。
「坊ちゃん、この子の様子は私が見ておきますので、ご飯を食べられてはいかがですか…」
リリーはレオンにそう勧めたが、レオンは断固として動こうとしなかった。
レオンはしばらくぼんやりとしていると、リリーが調べた少女のポケットの中身がまだ出たままだったのに気がついた。
とはいっても、ポケットの中にはヒビの入ったネックレスが一つだけだったのだが、そのネックレスを手に取ったレオンはある事に気がついた。なんといつもレオンが持ちあるいているネックレスと全く同じネックレスをその少女も持っていたのだ。
『こんなに珍しい形のネックレスをもじもじも…』そんな事を考えていると玄関の方から扉が開く音がした。
「たっだいまーー!!」
ニコニコとした上機嫌な笑顔で帰ってきたのは、レオンの母コラベール・シチュアーノである。
レオンの母親は、貴族でありながらルーズレイトの宣伝活動の仕事に携わっている。
元々村の人もあまり好まない様な街であったが、様々な企画やルーズレイトの伝統の祭りをだいだい的にアピールすることによって、街の活性化に一役かった人物である。
何を言っても、元々排他的思考が嫌いだった母の一番の功績は、貴族が権力を有するこの国で貴族と農民が手を取り合い助け合う事が出来る街を作る事ができたのはレオンの母シチュアーノのおかげであろう。
なのでこの街はシチュアーノのようなも排他的な思考が嫌いな優しい貴族達が集まり、更に憧れの貴族と親しく出来る街として農民からも絶大な支持を受けているのだ。
シチュアーノのこの表情を見るに次の企画が具体化を増してきたのだろう。
レオンのいる部屋まで走ってきたシチュアーノは続けてこう言った。
「コラベールちゃーん、今年は『星空の人々』っていう祭りが出来そうなのー。楽しみにしててね。」
嬉しそうな笑みでコラベール・レオンに対してそう言い放った、コラベール・シチュアーノである。
シチュアーノはそう喋った後に、レオンの後ろにいる少女に気がついた。
「あらっレオンまさか、こんな大きなお人形で遊ぶなんていくら年頃でもお母さんがっかりだわ」
部屋に来て早々、早とちりするシチュアーノである。
「違う、コイツは人間だ!!」
指を指して必死に訴えるレオンである。
「まさか、人形を人だと思い込むまで、切羽詰まっていたのね。お母さんがっかりです!!」
正直もうシチュアーノは駄目である。
こんな母を見て諦めたレオンは、ゆっくりと少女の方に向き直りため息をついた。
すると、気のせいかわずかに少女の眉間は動いた。そしてそれは次第に確かな動きに変わりゆっくりと目を開けたのだ。
レオンは、目を擦ると、夢ではないと分かったのだろう。少女に声をかけた。
「おっおい大丈夫か!」
しかしレオンの言葉に少女から返事はない。まだ、頭を整理しているようだ。
少しだけ時間が経ち、少女は突然泣き出しそうな表情になった。
「おいっどうした。」
レオンがそう聞くと、少女はゆっくりと口を開いた.
「アッアア…なんで…私は誰なの…此処は何処なの…」
自問自答をくりかえしてはこわばった表情をする少女。『私は誰なの?』確かに、先ほどまで会話していたレオンでさえまだ少女の名前を知らない、しかし本人が自分の名前を人に問うのは普通ありえない。
「おいっしっかりしろ。お前の名前は…?」
レオンは焦った表情で違う答えを催促するように、問い詰めた。
「思い出せない…分からない。本当に分からないんです…」
少し引け腰で、不安げな表情を浮べる少女、
レオンの言葉は記憶の無い少女の大きな瞳には、相当怖い物に映ったことだろう。
「でっでもっっ!!」
「坊ちゃん!彼女は記憶が無いんです…。明日大きな病院に詳しく見てもらいましょう」
レオンが言葉を喋ろうとした瞬間、少女の体調を考えたリリーが間を割ってはいるように、口を挟んだのだ。
レオンもある程度の予想はついていたものの記憶が無いとハッキリ言われては、言いい返す言葉がなかった。
「あらっ本当に人間だったんだ」
状況を理解出来ていないシチュアーノの一言が小さくこだました。
章ごとに行間が違うのは正直どの書き方がみやすいのかわからないのです!