ゾンビの後に盗賊、これテストに出ますよ
sideリオ
私は、こう見えて剣の道を志すものだった
だが、どんなに頑張っても全国では一回戦負けという、現実を見た
その時に、彼を、私は初めて見た
彼は、毎回全国大会に出ており、実力は最強と名高い、二刀流の剣士だった
いつも、決勝戦までは鬼人の様な戦いで、試合時間は一分以上長引くことはない、と言われたぐらいだった
しかし、決勝戦になると今までの勢いは何処に行ったのか・・・常に、全国二位の座に居座っていた
彼は最強だ・・・決勝戦では最弱だが、彼の武は、人の域を越えている・・・・
私は、彼に憧れ、恋をした・・・・・・・・・・
そして、彼の名前を
雨峰士郎・・・異世界っぽい何処かに放りこまれ、正義感を胸に、ダンジョン攻略をして、死にかけた私を助けてくれた恩人だ
さて、状況を整理しよう
私、白純里緒はこの世界では結構強いほうだと思っている・・・というもの、国を回り、旅をしているうちにスキルの修練度が上がったのも理由だが、この世界の兵士や一般兵は大体、スキル修練度が下級を制覇すれば強いほうらしい
隊長格は中級が使える人、その上はそうそう居ない・・・私は一応スキルは中級を修めているので隊長とタメを張れるぐらいの実力は持っていると自負をしている
そして、この世界でのレベルはそう関係ないことが、つい最近、気付いた。
レベルが上がると得するものは、体力と魔力が少々上がるだけだ。それならスキルを使いまくってスキル修練度を上げたほうがいいとの事だ・・・これはある村の村長から教えてもらったことだが。
そういえばさっきのダンジョンで少しレベルが上がった・・・宇宙の意志により、見てみることにしよう
ステータス
レベル12
攻撃 34
防御 34
敏捷 56
器用 40
精神力 39
スキル
大剣 B
調理 A+
体術 D
ステータスが高いのは現実での修練の賜物ではないかと思っている・・・そういえば士郎もステータスが高かった・・・
なにか関係があるのかは分からないけど、あのステータスの高さは異常だと思う
スキルも異常に高いし、かっこいいし・・・そういえば士郎の髪色は赤色だった気がする・・・私もそうだけど、現実と同じ顔つきだった・・・さて現実逃避はここまでにして・・・・
「おーい」
前を見なきゃ・・・そうだ。私は今
「盗賊に囲まれてぶつぶつと独り言を言って、ステータスを見る余裕があるとは・・・お前結構すごいんだな」
「現実から逃げていました。ではそろそろ片付けないとまずいですよね」
ここは森の少し拓けたところだ。少し歩いて、ご飯を食べて、また歩き出そうと思ったら、盗賊さんたちが出てきた
「お前がぶつぶつ言ってるから結構あぶないよな・・・っとおわ!遂に斬りかかってきたぞ!」
士郎は後ろからこっそり近づいていた盗賊の剣を軽く躱し、右手に片手剣を持つ
「なにいってんだ?こいつら・・・男はともかく、女は上玉の様だしな・・・男は殺せ!女は捕まえろ!」
親分らしき男が下劣な目で私を見てくる・・・・殺そう
「馬鹿言ってんじゃねえ。女一人残して死ねるかアホ」
士郎が斬りかかってきた相手の剣をいなし、そのまま首を切り落とす・・・・士郎は少し顔を顰めている。やっぱり人を殺すことに抵抗があるみたいです
「士郎!殺すことに躊躇いを持ってはいけません!やがてそれは仇となって返ってくる、獣です!」
士郎を鼓舞しながらも自分に言い聞かせる
「・・・だけど・・・・いやそれでもやらなきゃいけないわけなんだな・・・・・・・リオ!剣を一つ何でもいい!貸してくれ!!」
士郎は、すこし苦々しい顔をしながら、盗賊を斬り殺し、本来のスタイルで、盗賊を殺す準備をし始めた
私は相手を蹴り飛ばし、そのまま一気に胴を斬り飛ばすと、ドロップで手に入れた黒色の剣を投げる
「えい!」←剣を士郎目がけて投げる掛け声
ヒュンヒュンヒュン←回転しながら一直線に飛んでいく片手剣
ブスッ←士郎はそれを見て、慌てて回避したら後ろに居た盗賊の眉間に刺さった音
「あぶねええええええええええええええええ!殺す気か!」
士郎が怒りながら死体から剣を抜く
「すいません。手が滑ったもので」
ピロリロリーン。スキル、投擲術を身につけた
ってこんな場合じゃない、四方から迫ってくる盗賊を大剣のスキル、風車で薙ぎ払うと士郎の姿が見えた
両手に剣を持ち、一振りで敵を蹴散らし、相手の攻撃は彼に掠ることもなく、ただ盗賊の数を減らすだけであった
「なんだあいつ!強いぞ!逃げろ!逃げろ!!」
ようやく親玉が声をかけた頃には盗賊の数は残り数人となっており、慌てて逃げ出す盗賊たちを士郎は容赦なく追撃していた
「うおおおおおおおお!!おらぁ!」
私は、立ち止まって、その勇姿を見ていた・・・・・・・・後ろから敵が迫ってる事に気付いたのは、その一瞬後だった
「そこの男!それ以上仲間を殺したらこいつの命はねえと思えよ?」
ピタリと、士郎の動きが止まり、こちらを振り向く
「・・・・・・・・そいつを殺したらお前はもう逃げられないぐらい分かるだろ・・・そいつを離せ」
低い声で、地の底から湧いてくる声で話しかける
「じゃあこいつが死んでもいいのか?薄情な奴だな!」
盗賊がけらけらと笑う
「・・・・・・・くっ!」
士郎が顔を歪ませる・・・・・なんて私は情け無いんだろう・・・・士郎の戦いぶりを見て、呆然と立ち尽くすなんて
戦場じゃ殺してくださいと言ってるようなものじゃないか
「よーし。じゃあお前剣を置け!その後ここから去れ・・・・そうすればこいつは死ななくて済むぞ?」
盗賊が首に当てた剣をひたひたと繰り返し当ててくる
士郎は剣を地面に置こうと膝を付いた瞬間
近くの物陰から、何かが出てきた
sideシロウ
盗賊の言葉に従わなくては、リオが死んでしまう
それだけは駄目だ・・・なんとしてでも奴を殺し、リオを助けなくては
そう決心し、剣を置こうと膝を付く・・・その時が勝負だ。奴は剣を置いた俺には勝てると油断するだろう。そこを狙う
ゆっくりと膝を下ろす・・・・・ ガサッ
!物音がした場所をちらりと見ると
物音のした物陰から一筋の閃光が飛び出てくる・・・・否、短刀だ
狙い違わず、油断しきっていた盗賊の首に突き刺さる・・・短刀には毒が塗ってあったのか、ステータス異常を示す体の変色と、腕などの痙攣がでていた
此処しかない!
膝をつけた状態から一気に走りだす。そのまま痺れている盗賊に掌底を鳩尾に食らわせる、勢いに乗り足を掛け、腕を取り背負い投げをしてそのまま瓦割りの要領で内蔵を突き破るかのように拳を体に埋め込んであげる
盗賊は血を吐いて・・・・死んだ・・・殺した・・・今はそんな事を考えている場合じゃない!
俺はリオを抱えると短刀の出てきた物陰をじっと見る・・・右手は膝の裏に仕込んである小型のナイフの柄を持って、
いつでも戦闘は出来る体制にしておく
「・・・・まぁまて・・・雨峰士郎、俺だ・・・麟瞳奨だよ」
右手に持った短剣をひらひらと弄び、ニヒルな笑顔で俺の友人が、黒のマントに黒の衣装を着て出てきた
「「奨(麟瞳さん)!?」」
リオと俺の声が声がハモり、空に響いた
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