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そして俺は宰相になる  作者: ふーげん
第三章 黄金の主編
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第二十六話 新たな仲間達

 オルディア王国で最も忙しい場所はどこかと聞かれれば、それは王宮と言って間違いないだろう。

 その中でも特に忙しいのは政務官だ。彼らは日々、国の安寧と発展の為に命を削って働いている。


「ルークフェルト様、エーゴン様より港の再開発の見積書が届いております」


「ルークフェルト様、ノノノ村より役人の態度に関する陳情書が......」


「あぁ分かった、全部そこに置いといてくれ。後で目を通す」


 ルークフェルト・ローズロック、17歳。

 ガナン地方の領主であり、王の最側近の軍師である。軍事から(まつりごと)まで多岐に渡って活躍し、「獅子の頭脳」の異名を持つ。


「ルークフェルト様、陛下がお呼びです。書斎まで来るようにと」


「分かった......あれ? 君は新しい人、だよね? これからよろしくね」


「はい! ソラ・ハルノと申します! よろしくお願いします!」


 完全実力主義の王宮では、一年出仕出来れば優秀と言われており、必然的にエリートのみが集まっていた。


(頭の良さそうな人が増えた......会社にいた頃と変わらなくなってきたな)


「ルークフェルト、只今参上いたしました」


「来たなルーク、近々領土を広げようと思ってな。戦力も増えた事だし近々会議でも――」


 瞼が重い、全身の疲労が消えない......最近は特にそうだ、あまりにも疲れすぎている。

 駄目だ聞かなきゃ......ちゃんと話を、でも眠い......もう意識が......。


「おい、ちゃんと聞いてるのか?」


「ひゃい!?」


「......寝てたろ?」


「寝てないですね」


「嘘つけ! そんな返事して寝てないはないだろ!?」


 多くの者にとって、国王レオは畏怖の対象だった。

 ガウト高原での奇襲戦、ガナン地方での2千人撫で斬りなど苛烈な戦術が多く、一部の者からは魔王とまで恐れられるようになった。しかし、ルークと二人でいる時はただの青年のような明るさを見せていた。


「最近はそこまで仕事を振ってないと思うが、一体どうした? 領地で問題が起きたという報告も聞いていないが」


「実は......その......嫁が逃がしてくれないというか......張り切りすぎたと言うか......」


 レオは口をあんぐりとさせて硬直する。どんな言い訳を並べ立てるかと思えば想像以上に想像以下の答えが返ってきたのだ。


(女にかまけて腑抜けたんじゃないだろうな......?)


「お前もいずれローズロックを継ぐ身だ。跡継ぎを作る事は大いに結構だが、目の前の仕事にも精を出してもらわなければ困る」


「すいません......」


「まぁ、それはともかくだ。お前がガナンで忙しくしてる間に、こちらの方でも人材の拡充がある程度済んだ。そろそろ挨拶に来るだろうからお前も同席しろ。今年から始めるぞ、諸侯会議を」


 ***


 かつての連合盟主フォントル・アランドゥの屋敷として使われていたこの宮殿は、王の居城として大改修を行い、その規模は一国の主に相応しいものとなっていた。

 増築された王の間は、諸侯が王に謁見する際や、重要なイベントの時にのみ使われる場所であった。


「陛下、新年あけましておめでとうございます。

 今年も陛下にとって良き年となりますよう、臣下一同、粉骨砕身で励んでまいる所存でございます」


「去年は其方らの忠勤に助けられた。今年も期待しているぞ」


 アーネントの挨拶から諸侯会議が始まる。

 3ヶ月に一度行われるこの会議によって、その後のオルディア王国の方針を決める事になるのだ。


「記念すべき一回目の諸侯会議を始める前に、其方らと共に王国に尽くす臣下を紹介したい。4人とも前へ出よ」


 レオの呼びかけにより、新人たちが諸将の前へ並ぶ。年齢も性別も様々であり、レオの気質の合った実力者が並んでいる事が分かる。


「僕はソラ・ハルノと言います! 14歳です! 皆さんのお役に立てるように頑張ります!」


「......クロウだ。よろしく」


「モミジ・シラヌイと申します。これからよろしゅう頼んますえ」


「ユリウス・クランジヌスでございます。何人かは戦場で顔見知りでしたな。これよりは共に、陛下の御為にこの老骨も力を尽くしましょう」


 諸将から拍手が起こる。これからこの国は更に強くなる、それを支える人材は多いほどいい。


(皆クセが強そうな人たちだな......俺も置いていかれないようにしないと)


 僅かな味方しかいなかったレオも、既に2万を超える軍勢を率いる国王となり、優秀な人間が数多くサポートするようになった。

 ここで後れを取っては自分の立場が危うい、何よりも自分には守るべき者がいる。ルークはアリア達の事を思い浮かべながら気を引き締めていた。


「さて、早速始めようか。我らの次の標的について」


 この諸侯会議が全ての始まりだった。

 この場にいる全員が、未だかつて経験していなかった未曾有の大戦争へと足を踏み入れる事となる。

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