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わたしの手が届いたとき  作者: Dizzy
第1章
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【第5話:やりかたに問題があるようです】

「ごめんなさい‥」

しょんぼりのセリシアが眉を下げる。

腰に手をあてて困り顔はレヴァントス。

「これはあきらめて王都にかえろうよセリシア。復讐なんて無理だってわかったろ?」

先日ユアにみつかったところをレヴァントゥスも見ていたのだ。

少し離れた建物に部屋を借りているレヴァントゥスは、セリシアの宿を警備していた。

「そもそもあの宿はまずいって言ったよね?聞かなかったよね?僕の警告」

さらにしょんぼりのセリシア。

「ごめんねさい‥でも!あそこのごはん美味しいって評判なの!雑誌にも記事が!」

さらに困り顔にこめかみをもむレヴァントゥス。

「観光に来ているんならいいよ?いや、もう観光だったことにして帰ろう王都に」

「まってよぉ!お姉様のかたきがそこにいるのに?!」

じっとセリシアを見つめるレヴァントゥス。

黙考してから提案。

「わかった、一度やってダメだったらあきらめるんだよ?」

「うん‥」

ため息でこたえるレヴァントゥス。

「作戦は僕が立てる。したがってくれるね?」

ぱあっと明るくなるセリシア。

「わかったわ!頑張る」

レヴァントゥスもにっこりになる。

(これはまた命がけになるかな?見逃してくれないかなあ)

にこにこしているセリシアを危ぶむレヴァントゥス。

「準備ができるまでは外出禁止だよ?」

「えええ!?」

「めっ!」

しゅんとするセリシア。

(さてさて、どうしたものかな)

レヴァントゥスの苦労は絶えないのであった。




「くっくっく、実力をみせてもらおうか?」

わるい顔になったユアが訓練場に立っている。

訓練用木剣を隙無く片手でかまえている。

くるくる先をまわして挑発する。

「あのなあ、どうしてもって言うから付き合うんだ。真面目にやらねえならヤメだ」

ぶらりと木剣をもち、自然体で立っているのはマルタス。

「だってウチのノア達と討伐一緒にいくなら実力見ておきたいじゃん?あたしは着いていっちゃダメなんでしょ?」

生意気な顔でユアが鼻をならす。

なめまくって負ける気は毛ほどもないようだ。

「一本とれたら鼻からジュースのんでやるわっw」

「よし聞いたぞ?」

すっとマルタスが間合いを詰めていく。

何の気もない普通の歩き方だ。

一瞬ゾクリと嫌なよかんのユアが真面目な構えになった。

あと半歩でユアの間合いだ。

踏み越えた瞬間の出鼻に当てようとユアの剣がほんの一筋下がった。

瞬間に土煙を上げてマルタスが右前に移動する。

一瞬だけ遅れて反応したユアが防御姿勢を取ろうとする。

コン!

ユアの剣に当たること無く、頭頂に痛みがあった。

「あいた!」

「ユア!!」

一瞬で横で見ていたアミュアが飛び出して、ころんとうしろに尻もちのユアを見に行く。

「えええ?!なんで?!」

頭を両手でおさえて涙目になっているユア。

「左右をスイッチしたんだよ」

と答え合わせのマルタス。

心配そうに髪の毛の間までチェックするアミュア。

すっと表情をけしてアミュアが振り返る。

「よくもユアを‥ゆるさん」

ごごごとアミュアから魔力があふれる。

白銀の魔力は氷属性か。

「ちょ、ちょっとまて!アミュアとはやると言ってないぞ!」

ごうごうと魔力を流すアミュアはすでに少し浮き上がり頭上に氷の槍が作られようとする。

こりゃ聞こえてないと判断したマルタスが瞬歩で移動。

動いた瞬間が誰にも分からないくらい起こりがなかった。

トン!

一瞬で背後に回ったマルタスがアミュアの延髄に木剣をあてた。

打っては居ないのだが、ここを打たれると一瞬意識が絶たれるので、魔法が途切れる。

シュバッ!

音をたてて魔力が霧散する。

「いたいです‥」

「だいじょうぶ?!アミュア!」

互いをかばいあうバディが、涙目でマルタスを見る。

「あたしがアミュアを守る!」「わたしの命でユアを守る」

マルタスはがくっとなり告げた。

「負けたのはわかったな?もういいからおわりだ」

むぐぐとなった二人は言い返せない。

ぱちぱちぱちぱちとノアとラウマが拍手。

「すごいマルおじさん」

「よくみえなかったです」

ノアは見えていたのか素直な称賛。

ラウマはそもそも見ていなかったのかよく解らず拍手していた。




そもそも何が有ったかと言うと。

どうもラウマとノアの昇級に横槍が入ったようでケチがついた。

判定をしたマルタスにケチがついたのだ。

審査能力のテストとして、複数回対象のバディとクエストをこなしレポートを出せと。

いわゆる難癖である。

ポルト・フィラントから王都の頭越しに圧力があったのが気に入らなかったらしい。

それならポルト・フィラントに文句いえよとマルタスあたりは思ったのだが、思った所で何も出来ないので、ユア達に相談した。

その結果がアレである。

「まあ心配はわかるが、別に怪我をして動けなくなったとか、能力的に無理で辞めたんじゃないんだハンター」

こてんとなる4人。

「当時世話になってた人の遺言でな。このオフィスを頼まれたんだよ」

肩を竦めるマルタス。

「この難癖はこっちが苦労しないと納得してくれないんだよ。腕はなまっていないつもりだ」

きっ!と、ユアが意見する。

「ひどい!まるで難癖じゃないか!」

「いやだから最初にそういったろ!きいとけよ‥‥」

やれやれと立ち去るマルタス。

「ノアとラウマに同行するってことでしょ?」

「そうだねあたし達は着いて行っちゃダメなんだって」

うーんと悩む4人。

そこに出来る系女子職員の子が手紙です、と封書を置いていった。

「あたしのと‥‥アミュアのだね、はい」

アミュアに一通手渡したユアが自分のを見る。

「あ、カーニャからだ」

「あたしのはミーナからだ」

ふむふむとユアが破った封書から手紙を出し読んでいる。

「ミーナがアウシェラ湖まで来て欲しいって。ユアのほうは?」

「うん、読める所すくない。よんでアミュア」

受け取り読み出すアミュア。

「最近さぼってるけど、ちゃんと読み書きべんきょうしましょうねユア」

いいながら読み終わるアミュア。

「カーニャにしては難しいのかいてきたね、いつもひらがなおおいのに」

「そうなのよ」

最後まで読んだアミュア。

「なんか東の街に来て欲しいって。ユアに手伝って欲しいみたい討伐」

ふーんと4人はなんとなく不思議。

「なんだかバラバラになっちゃうね?」

そうユアが告げた。




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