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わたしの手が届いたとき  作者: Dizzy
第1章
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【第4話:いろいろなおどろき】

「えええ!?マルタスさんってハンターだったの?」

ユアが最大限の驚きを全身であらわした。

これは馬鹿にされているのでは?とマルタスが疑い出した頃、がばっともどってくるユア。

「たたかってたの‥‥?」

ふるえながらユアが指をつきつける。

「なんでそこまで意外なんだよ!?これでも元Aクラス前衛職だからな!」

『えええええ!?』

今度はユアの後に並んでいた三つ子まで驚きの声がそろう。

よく見ればいつもの出来る女性職員も口に手を当てて固まっていた。

うそ‥‥とか呟いたりして、マルタスに睨まれる。

「この鍛えられた体でわかんだろうが‥‥ふしあなか?そのめんたまは」

いつまでもぷるぷるしている後の三人を置いてユアがカウンターまで来る。

「マルタスさん‥‥わかったよ信じるから‥‥もういいんだよ?」

「何がもういいだ?!優しい目でみるんじゃねえ!うそじゃねえぞ!見ろハンター証だってある。失効マーク入ってるけど本物だぞ?!」

マルタスが金色のカードを出して見せてくる。

「すごい!カーニャと一緒のきんきらきんだ!」

「すごいです!優秀だったのですね?マルタスさん爪をかくしていたのですね??」

素直に感動するユアと、いつにない長文で煽るアミュア。

ノアとラウマもうんうんと言いながら自分の青いカードと見比べていた。

Cクラスになりカードは緑から青に更新されたのだ。

Bは銀、Aが金でEはオレンジだった。

現在王国では空位で誰もいないが、かつていたSランクはパールプラチナだったらしい。

ランクごとの色は社会的にも通じるステータスだ。

宿泊予約などでも優遇される。

ハンターオフィスは世界中のハンターが所属する互助組合。

ハンター証は世界一信用できる身分証明にもなるのだ。

「だから、2名以上のAランクって条件はカーニャがくればクリアなんだよ。俺がAクラス扱いの試験官だから」

ユアとアミュアの脳裏に過去の試験官姿のマルタスが蘇った。

「試験官のマルタスさんを思い出すとほっこりするね」

「のの字のイメージです」

「ぐはぁ、やめて!思い出さないで!!」

顔をおおったマルタスの耳は赤くなっていた。




いつものすみれ館。

今は家に帰って寝るので宿泊しないが、食事ではちょくちょくくるユア達。

アミュアとラウマが魔法具を見に行ったので別行動。

珍しいノア・ユアの前衛天然コンビである。

「セリナさぁ~ん!決まったよオーダー」

ユアがテラス席から元気に店員を呼ぶ。

「はいはーい、ちっとまってね!」

声だけ先に届いた。

「ねーねーユアの頼んだそのピアシングヘェアの煮込みって美味しいの?少し味見させてよ」

ノアはメニューを見ながら色々検討していた。

「いいよーウサギ肉だね。トマトソースの煮込みで香草が効いてうまいよ!」

「くぅおいしそうだ。じゃあはんぶんこする前提でわたしはね~」

「まてまて!はんぶんことは言ってないぞ!」

勝手にシェアが決まったノアは迷っていたメニューを決める。

「じゃあハンバーグのにする!チーズの方!ユアにも少しあげるよ!」

「こらこら収支があわんのだが?!」

眉をさげて人差し指をかむノア。

「だめ?」

「ぐはあ!効くなそのあざとさをアミュアと同じ顔でとかww」

今日のノアはツインテールにしたウエーブ銀髪が揺れて破壊力抜群。

小顔度10%アップ(当社比)であった。

こてんと倒れたユアの髪に興味がいったノア。

いじいじとユアの髪をさわる。

ん?っと顔をあげるユア。

「ユアの髪はわたしのより柔らかいね。さわるときもちい」

「え!?そっかな?」

突然右側の髪を触りだすユア。

「色もあかるくて好き」

「もう、わかったよ!好きなだけ食べていいからね!」

「やったぁ!」

ユアの扱いが上達したノアであった。




そんなユアたちを監視するものが居た。

セリシアだった。

監視目的ではなく、女性専用が気に入ってすみれ館に泊まっていたのだ。

店内のテラス寄りに座って食事をしていた所、ユア達が後から偶然きたのだ。

(な‥なんでこの店にくるのよ?!こころの準備がぁ)

あせあせになって顔をそらす不審者になっていた。

そもそもユア達はセリシアの顔も立場も知らないのだ。

ユアの目線がこちらに来る度に隠れるので、普通に怪しまれていた。

服装もゴスロリはルメリナでは珍しい。

「ノア、セリナさんがきたらオーダーしておいてね。ちょっといってくる」

ノアは背中側にセリシアがいるので、ユアの行動が解らず、トイレかな?と思っていた。

「いてらー」

ノアは少しより目になって、真剣にメニューをまた最初から読んでいた。

見てませんよアピールをやめたセリシアが視線を戻すとユアがおらず、ノアの背中だけが見えた。

(あれ?あのひまわりどこいった?)

ポンっと肩が叩かれる。

「おじょうさんちょっといいかな?」

耳元に少し低いアルトな囁き。

「ひぃ!」

いつの間にか背後にきていたユアだ。

「ごめんね?おどろいちゃったかな?なんか視線かんじたからさ?」

くるりと回り込んでテーブルの前に座るユア。

目線には疑いの色。

「べべ、別にみていないわ!」

ツーンと視線をそらした。

「そっか?じゃあ勘違いかな?最近時々視線を感じるのよね」

とんとんと指でテーブルをたたくユア。

(なんてカンの良さ!レヴァントスの言ってた通りバケモノなの?)

エンシェント影獣に、バケモノよばわりされるユアであった。

怯えを見せるセリシアに興味を失うユア。

「ごめんね?あたしユア。ハンターしてるの。お名前聞いてもいいかな?」

おずおず上目遣いにセリシアが見ると、少し柔らかくなったユアが眉をさげた。

「セ、セリシアよ」

声は震えたが名乗ることは出来たセリシア。

「そう、かわいい服ね!おじゃました」

ニコっと最後に笑ってユアが立ち去る。

(あーなんで本名いっちゃうのかな?!私)

こそこそと部屋にもどるセリシアは、かるく涙目であった。

産まれて初めての恐怖にさらされた日であった。



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