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【第41話:人数が絶対的な戦力】

ラウマとノア二人がヴァルディア家にて合流する。

二人の持ち込んだ荷物は一旦ヴァルディア家に置かせてもらうこととした。

ユアとアミュアは空いていた午前の時間で、以前馬車を作った仲の良いスリックデンの工房で、装備の相談をしてきた。

二人共いくつか防具などを増やしていた。

ユアの革軽鎧には重力魔法の応用装甲がいくつか足された。

左右の肩に大きめのガードと腰回りにスカートのように装甲が付いた。

これは自重を消し、重力魔法で革鎧に接続しており、ほんの少し浮いているので動きを阻害しにくい。

稼働用の魔石バッテリーは腰の後ろに短剣と共に付いた。

アミュアにも同様の装甲が付けられ、両肩と腰の他に胸部にも胸の前面を守るように付いている。

今回は塗装まで間に合わず全てミスリル銀の地色である青白い銀だ。

ノアがアミュアの装甲をつんつんする。

「いいなあ‥‥わたしも欲しいな」

「今度仕上げに行くから、一緒にくるといいです」

えっへんと胸をはるアミュア。

ふっくらと胸の形に打たれた装甲は女性らしいラインを描く。

「‥‥これ少しふくらみが大きくなぁい?隙間があるんじゃないですかぁ?」

にこにこラウマが自分の胸部を両手で確かめ、アミュアの装甲と比べる。

多少大げさにふくらんでいるとも言えた。

「そ‥‥そんなことないです、みっちりつまっています!」

真っ赤になり否定するアミュアは過去のトラウマが蘇っていた。




ユア達はやはり夜半に襲おうと話し合い、ヴァルディア家で時間調整した。

「ユアさん‥‥もしも危ないことをする気ならやめて欲しいの」

そっとユアをハグするエリセラがささやく。

「あなた達までいなくなったら‥‥私達夫婦は生きていけませんよ‥‥」

今は応接で二人きりだった。

「エリセラさん‥‥大丈夫!ユア達はハンターで強いんですよ!」

見つめ合い肩に置かれたエリセラの手にそっと手を重ねるユア。

「ユアさん‥‥無理はしないでね?」

「はい‥‥きっとカーニャ達を連れ帰ります」

ユアの瞳には強い決意の光り。

エリセラもため息をもらし手を離した。

「‥‥あの子達をよろしくね‥‥ユアさんとアミュアさんも、私はもう自分の娘と思っていますよ」

そっと背を向けたエリセラは囁くようにそう告げた。

「ありがとう‥‥必ずアミュアと無事にもどるよ!」

力強い宣言にエリセラもやっと微笑んだ。

そうしてユアはエリセラに自分たちの無事も誓うのであった。




裏側から先日の工場に潜入した4人を、あっという間に敵が取り囲んだ。

どこから湧いてくるのか次々と襲い来るセルミアコピー達。

戦闘は短時間のうちに混戦と化した。

ノアとラウマ、ユアとアミュアではぐれ無いよう立ち回るのだが、2つのバディが少しづつ離されていく。

それだけの圧が有るのだ。

セルミアコピーは軽装の鎧だが防御が高く、上級魔法ですら一撃で倒れない。

ユアの雷神も回避の動きがよく、当たってもピンポイントに影獣の力を出し防いでしまう。

前衛としての火力も高く、魔法も織り交ぜ攻めてくる。

また部隊としての運用も上手く、なかなかラウマもアミュアも射線を確保できず大技の隙もないのだった。

全体で20名ほど居るセルミアコピーは、ついに2つのバディを視界が通らないところまで追い込んだ。

工場の壁際に追い込まれたユアとアミュア。

アミュアもすでに近接で、ロッドと体術で戦っている。

無詠唱の魔法を合間に撃つのだが、威力が足らず倒しきれない。

ユアが4人受け持ち、牽制しつつ戦う後ろで、裏から回り込む二人とアミュアが戦う。

「ユア!上にあがろう」

「了解!」

隙をついてレビテーションで上がるアミュアに魔法を打ち込もうと6人のセルミアコピーが腕をあげるが、4人まではユアが邪魔して防いだ。

二本の射線はアミュアを捕らえるが、結界でそらし壁の上に降りるアミュア。

すでに魔力を放ち詠唱に入っている。

ユアは今度は6人相手にして、上に行かせまいと奮闘する。

右手の短剣だけではなく、左手のバックラーにも黄金の粒子がまとわれ、セルミアコピーを一人仕留めた所で上空から溢れる魔力。

左右のフェイントを織り交ぜ左手の倉庫に逃げるユアを4人のコピーが追い、1人はアミュアを狙って飛び上がる。

ユアを追った4人には高機動の誘導が入った身長ほどの氷の柱が貫き地面に縫い留める。

即座に倉庫の壁を蹴り壊しながらユアが戻り極大の雷で切り払い4人を塵に変えた。

結果を確認せず、その勢いのまま飛び上がりアミュアの援護に向かうユア。

「アミュア!!」

アミュアを組み敷いたセルミアコピーには左半身がない。

ちゃんとアミュアのアイスピラーが命中していたのだ。

片手で喉を押さえられて、足で蹴り返そうと抵抗しているアミュア。

そこに上空まで飛んだユアの雷が落ち最後のコピーも仕留めて塵に変える。

「アミュア‥‥無事?」

まだ戦闘モードのユアは言葉少なく鋭い視線だが、アミュアには労る心が伝わる。

引かれた手を自分でも引いてユアの胸に抱き付くアミュア。

「うん‥‥ちょっと洋服がこわれたくらいだよ」

アミュアのスカートとカットシャツが胸装甲の下から縦に裂けて、白いお腹と足がむき出していた。

コピーの攻撃を浮いている腰の装甲でかろうじて守り、下着もうまいこと隠している。

ユアの目元が緩む。

「くすっ、アミュアずいぶん色っぽいよ?防具足しておいてよかったね!」

「うむ‥‥やくにたったのです」

あわててローブの合わせで隠すアミュアは、ちょっと赤くなる。

アミュアを背にかばい、キッとユアが下を見る。

倉庫の影からまた一人セルミアコピーが歩いて来る。

「セシリア‥‥」

それは赤い目のコピーではなく、青い瞳のセシリアだった。

「ユア‥‥」

心配そうにユアの服をつまむアミュア。

そっと手を添え離させるユア。

「大丈夫‥‥一旦任せて」

言うが早いか、前に倒れ落ちつつ外壁を蹴ったユアが弾丸の速度でセリシアに迫った。

セリシアも杖をかざし無詠唱で風の弾丸を放ってくる。

バックラーにまとった黄金のキラメキで弾きつつユアが降り立つ。

セリシアの杖と、両肩の防具の上に浮いた水筒ほどの大きさの円錐形が緑色の魔力を纏っている。

「はなしは‥‥できないの?セリシア」

ユアの瞳にはまだ逡巡がある。

セリシアの瞳にハイライトは無く、まるで調整後のイーリス達のようだった。









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