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【第37話:月なきよるの攻勢】

ユア達が戻った夜に、オフィスの女性職員がホテルに手紙を持ち込んでくれた。

業務外のサービスに、お礼とともに銀貨を握らせ帰すマルタス。

「ユア、お前宛だ‥‥読めるのか?」

ぽっと頬をそめるユア。

「よ‥‥よめる‥部分もあるもん‥‥」

そういって受け取ると、宛名裏書きを確認。

「レヴァントゥス!!」

周りに皆がいるのに声に出してしまうユア。

「ユア!」

アミュアは責めるように言い、手紙を奪い取る。

「あ‥‥ごめんねちょっと読んでくるね」

皆は意味が判らず、解ったのは全て話したマルタスだけであったろう。

二人は直ぐとなりの倉庫にした部屋で手紙を読み、戻った。

「‥‥進展になる情報でした」

アミュアの宣言に皆が机に集まり、地図で説明するアミュア。

整理と指示用に色の違うピンをいくつも用意していて、今は青とか緑のピンがいくつか刺して有る。

アミュアは赤いピンを準備し、手紙を見ながらいくつか刺した。

一つはスリックデンで先日襲撃した施設だった。

マルタスの眉がぴくりと動いたのは、先日の企業本社にピンがたったからだ。

先輩ハンターとマルタスがちらと目配せ。

黙っていろのサインだ。

「以上の4ヶ所が、有力な潜伏先として情報をもらいました‥‥信用できる情報です」

アミュアの宣言の後に、ユア。

「一つづつ行く?手分けする?」

鼻息も荒く、もう今夜の内に襲撃する気まんまんだ。

「‥‥戦力を分けるなら2つまでだな。俺達ルメリナ組みはAと思ってくれ」

マルタスバディがAでユアがB、ラウマがCとすれば、侍女組をCと見積もっても分け方が決まる。

「三つ子とユアでスリックデンだ。俺と侍女組みで王都の企業‥‥そうなるな」

企業の話はユア達にだけ話してある。

うなずいたユアは早速と、装備の確認に行く。

方針に異論は無いようで、各人が動き出した。

ここから反撃開始だと、気合が入る各人であった。




色々と考えた末に、ノアとラウマには今夜の汽車でスリックデンに向かってもらう。

既に時間がギリギリで出発した。

ユアとアミュアは夜霧で追うので、今夜の王都での襲撃にも参加することとした。

夜霧なら明日の午後にでても追いつける予定だ。

先日と同じ様に夜半に襲うと決めた6人は、食事をきちんと済ませ装備を固めてロビーに集まった。

まだ出発に少し時間が有る。

マルタスは今回足りない前衛を埋めるため重装備。

盾は無いが、全身に金属鎧をまとう重戦士の装備だ。

「マルタスさん重そうです」

鎧よりかるそうなアミュアが驚きの目線。

セレナも金属鎧で盾と長剣装備だが、マルタスの鎧は関節もカバーされる重装だ。

実は先日のルメリナで当たり負けたのを反省してセレクトしている。

前衛をこなすなら避けたり下がったり出来ない事もある。

マルタスは実はオールラウンダーではなく、全ての専門職をこなせる万能職なのだった。

もちろん一番力を発揮するのは中衛でオールラウンダーだが、特定のポジションも一人前以上にこなす。

ユアも興味をもった。

「これ‥‥動きを邪魔しない工夫があるね」

「そうだな‥‥このレベルだとオーダーメイドで詰めないと使えるものにならんぞ」

それは関節部分に特に工夫が多く、様々なギミックで織りなされた複雑な動きをする。

細かな板が重なり合うラメールの横にその弱い部分をカバーするガードが入り、動きに連動する魔法で浮いているのだ。

肩や肘、膝と腰にも同様の仕様で、重力魔法の応用を組んである魔法の鎧(マジックメイル)だ。

全体に燻した銀の深い艶と黒々とした質感。

もちろん強度を上げたり、魔力タンクとして使える魔石バッテリーも積まれ、重力魔法は重さにも工夫される。

セットで準備される頭装備には、最新のディテクト魔法表示のマップ機能まで盛り込まれる。

バッテリーは最新の王都仕様で、エーラ設計の試作品を侍女から入手している。

同様にバッテリーを積んだセレナが言う。

セレナのは部分鎧に見えるが、背中側にランドセルの様にでっぱりが有り各種武装が付く。

「エーラとミーナが試作で完成させた最新型で、従来の3倍は容量があります。作動は私が繰り返しテストに付き合っているので確かです」

そういって自分の鎧の腰に装備されるバッテリーにそっと触れるセレナ。

表情には苦痛を混じらせたが、そっとフィオナが手をそえ頷いてセレナの心を支える。

テストと実験の日々は彼女たちの絆を深くしていた。

「連れて行ってあげよう‥‥エーラも」

そっと告げるフィオナにセレナも引き締まった顔でうなずいた。

今は遠いポルト・フィラントにいる、天才技師にして魔法士そしてミーナ達の親友だ。

アミュアはマルタスの鎧をぽかぽかして試している。

「怪我するからやめとけアミュア」

そういったマルタスの鎧をいじりながらアミュアは言う。

「ユアもこうゆうの着て欲しいな‥‥かっこいいよ?」

じーっとみるユア。

ちょっと頬を染め、てれるマルタス。

「色がちょっと‥‥」

『気にするとこそこ!?』

複数のツッコミが揃った。




先日と少し違うアプローチで6人が潜む。

(今日は視線は無しか‥‥イーリスといったか?あの娘はどうしたかな‥‥)

マルタスの心情は複雑だ。

エルヴァニスへの恨みと、イーリス達コピーへの同情とやるせなさだ。

気温はどんどん下がっているが、野外活動が辛いほどではない。

風も穏やかで、静かな夜である。

今夜も月はなく、晴天だが星明かりだけの夜となる。

襲撃日和だった。




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