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【第13話:報告会と警告の手紙】

一旦報告会ということで、すみれ館に打ち上げ?に来ているユア達。

一番戻りが遅かったのはもちろんユアで、カーニャを伴ってスリックデン経由で戻った。

馬車はスリックデンの実家に置いてきて、「みんなを待てせているの」と引き止めるヴァルディア夫妻を振り切って汽車で戻ったのだ。

ラウマとノアはマルタスの再検定を無事3日ほどで終わらせ、今はちょこちょこCランクの討伐をしていたのだった。

ラウマは食材以外の買い物を殆どしないし、食費は4人で等分と決めているので、報酬を殆ど貯金してしまっている。

唯一の趣味は裁縫なのだが、これは先日ポルト・フィラントから持たされた生地がまだまだストックされていて、消費とはならないようだ。

一方ノアはもらうと全部使うタイプの消費家で、自分スペースに物が増えていっていた。

先日の夏休みでレティシア達に洗脳?されて今では立派なぬいぐるみフリークなので、ベッドにはぬいぐるみが溢れていた。

密かにカルヴィリスにもらった収納パウチにもぬいぐるみが隠されているようだ。

「ノアも少し貯金しないとダメです。無駄使いはいけません!」

とアミュアに怒られるところまでがワンセットだ。

ユアの前に帰ったアミュアは、王都の病院経由、王都のハンターオフィスで事情徴収という取り調べで一日拘束され、戻ったのはユア達の直前だった。

「影獣の襲撃‥‥アミュアが一人で戦ったのね?」

ユアの表情がこわい。

事情を聞いたユアはしばらくアミュアを抱っこして離さなくなるのだった。

それぞれ単独行動中の報告を一通り終えて、話し合いに至る頃には、食事も終わりお茶の時間となっていた。

思いがけず重い話題が多かったので、ノンアルコールでユア達もお茶だった。

「ミーナもレティシアも無事でよかったね。セレナ達は大変だったろうけど」

椅子に座ってアミュアを足の上に乗せたユアである。

アミュアは最初恥ずかしいから下ろしてといったが、ユアがうるうる涙目になるので大人しく座っている。

「ミーナもレティも絆創膏で済みましたが、セレナさんとフィオナは全治1ヶ月です」

アミュアの報告でカーニャは胸を撫で下ろしていた。

「ノア達も3回影獣に襲われたよ」

「そうですね、ノアが一匹、わたくしが2匹滅ぼしました」

ノアとラウマの報告。

ここで言う滅ぼすは奇跡の手で吸収したと言うこと。

「ちなみに、Bクラスバディの話しは、パーティでって事になったの?結局」

カーニャの質問だ。

当初王都から打診があったのはユア・アミュアのバディを上げるとの話だったが、ノアとラウマもCクラスが確定したので、パーティでもいいかと再打診している。

「昨日オフィスでマルおじさんに会ったけど、特に話がなかったからまだ返事来てないんだと思う」

ノアはマルタスを「マルおじ」呼びする。

ラウマとバディでそこそこ討伐・納品を繰り返したので、仲良くなっているようだ。

「まあ、できれば何回も審査は面倒だよね。パーティで上がれたらいいな」

アミュアの背中にぐりぐり頬ずりしながらユアがいう。

「ユア、もぞもぞしないでください。下りますよ」

アミュアからクレームがあったので、すぐやめて大人しくだっこに戻る。

いまは室内のボックスを借りて食べたので、あまり他の席からは見えない。

「カーニャはウチに泊まってくれることになったのですか?」

これはチーフシェフとなりつつあるラウマだ。

「とりあえず、今夜はおじゃまするわ。明日からはここに泊まろうかと思ってる。予約はとれているの」

とカーニャの返答。

そこへ店員のセリナさんが、首を捻りながら来た。

「ユアちゃんこれー、お手紙みたい」

と封書を持ってきてくれた。

「イケメンだったわよ!!」

とセリナさんの鼻息はあらい。

こてんとなったユアが封を切り、手紙を出した。

数葉あるようで、ぺらぺらとめくる。

「うん、読めない所おおい」

そういってアミュアにわたす。

「ほんとに勉強時間増やさないとですね、ユア」

いいながらすらすらと読む。

結構な文量なようで、時間がかかった。

「レヴァントゥスからですね、前半はセリシアの件のおれいです。後半はちょっと厄介なので、帰宅してからにしましょう。いそぎではないようです」

「ありがと」そういって畳んだ封書を胸の隠しにしまった。

ちなみに以前そこにいつも入れていた母の手紙は、自宅にしまってあった。

じゃあ一回帰ろうか。

となってすみれ館をでる一行は、ルメリナの街に繰り出していくのだった。




「なかなかいい雰囲気ね!素敵だわユア」

郊外の自宅にカーニャを招待した4人。

「すごーいロフトだ」

カーニャは興味津々見て回る。

「ひまわりもかわいいわね!」

「でしょ!あたし見つけてきたのよ!」

ユアがはい!と手を挙げる。

「今日はあたしとアミュアのベッドをくっつけて大きいベッドにしたの。一緒に寝ようねカーニャ」

「一緒です」

ユアもアミュアもカーニャとは長い旅をしているので、遠慮はない。

「うん、真ん中がユアね」とクスクスするカーニャ。

「でも夜ふかしはダメですよ、ふたりとも。寝坊したらおしおしの刑です」

とはアミュアの警告。

大きくなったアミュアのおしおしはなかなか遠慮がない。


あちこち見せてから、暖炉であつまってお話となった。

「この吊り下げ暖炉も趣味いいわ。ソファも落ち着くね」

最近はユアと二人だけの時だけでなく、アミュアやノアがいても素のカーニャが見れる事が多い。

ソファは左右に暖炉を囲む半円の白い皮ソファを向かい合わせ。

玄関側とダイニング側が切れた円形に配置してある。

サイドテーブルはソファの後ろ側に何個か小さいものを置いていた。

暖炉を含めたソファゾーンは靴を脱ぐ一段上がる仕様である。

毛足の長い絨毯が今は敷かれていた。

「さて、先程の手紙ですが。後半の内容は二つ」

そういってアミュアがユアを見る。

「影獣系のお話なので、共有してもいいですか?ユア」

「もちろんだよ。お願い」

即答のユアに、うなずくアミュア。

「一つはセリシアが行方不明とのこと」

言葉はなかったが、全員が息をのんだ。

「もう一つはルメリナに何か企みがあると。七星賢者会という敵のようです」

名前を知っているカーニャと、知らない4人では情報の重みが違った。

それは表情で見分けがつく、なんのことやらと困り眉の4人。

カーニャは倒れそうなくらい青ざめていた。





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