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【第12話:カーニャのこだわり】

「ここに装備を置いていくわ、破損しちゃうから」

そういって剣や上着を外しだすカーニャ。

「一緒に結界張っておくからユアのも置いていって。魔法のカバンとかだめよすぐ溶けちゃう」

「ひゃあ、これ高かったんだから!こまるよ」

どんどん脱いでいくカーニャは、最終的に寝巻きのような状態。

「そ‥‥そこまで脱ぐのね」

じいっとユアを見るカーニャ。

「たいした攻撃力じゃないって言ったでしょ?身体強化があれば無視できるレベル。そのスカートなくなってもいいの?とけるわよ」

「えええ?!なんかいやな予感がするんだけど‥‥」

「大丈夫、私も最初やられてね、いろいろ装備食べられたわ」

涙目になるカーニャ。

「下着もお気に入りのを穴だらけにされたの。なんか腹たってきた‥入口から上級火炎魔法打ち込むかな」

「だめだめ~坑道ごと壊れちゃうよ?!」

ユアもあきらめて装備を脱いでいく。

ユアは結局下着だけになり、松明を持った。

「ヴェールグラーダ!!」

魔法名を叫ぶのは気合が入ったカーニャの癖。

輝く真紅の上級結界が二人の装備をしっかり守る。

「これで装備はこの山が噴火しても無事よ」

「う‥‥うん」

もじもじ落ち着かないユア。

「だれもこないかな??」

「大丈夫。男は来たら燃やすって言ってあるから」

「お、おう」

こうして武器防具に指輪からピアスなどの貴重なものまで、すべて外した二人が坑道に入る。

ユアのもつ松明はハンター専用のもので、落としても消えない特別仕様。

これをもち内股になったユアは下着姿。

「ヴェールグラーダ!!」

魔法名を叫ぶのは気合が入ったカーニャの癖。

輝く真紅の上級結界が今度は坑道の入口も塞ぐ。

カーニャは触媒やロッドなど無しでも上級魔法までつかえるのだ。

「すごいねカーニャその格好でも普通に魔法使えるんだ?」

腰に手を当てたカーニャは得意げ。

「もちろん、ちょっと効率下がるけど殆どの魔法使えるわよ」

「ねえ‥もしかして、そのキャミとか下着は穴が開く前提なの?」

ピクっとカーニャが反応する。

「た、たまたまちょっと古くなってきて捨てようと思ってたのを今日着ていたのよ?」

じーっとユア。

「ここだれも入ってこれないよね?結界はったし」

「それはもう、ドラゴンでも入れないわよ」

うんうんするカーニャのまえで、おもむろに脱ぎ始めるユア。

「どしたの?」

ぬぎぬぎっと上下とも外し、入口の結界のそばに丸めて置く。

「だってこれ、結構高いやつだもん」

すっかり壊されるものがなくなったユアが身体強化を発動。

戦闘モードの目になる。

「とっとと、終わらそう」

「了解!」

カーニャも短く答え走り出す。




「はぁ‥はぁ‥はぁ‥」

「はぁはぁ‥ん‥はぁはぁ」

ユアが身体強化を切り、ひざに手をあて呼吸を整える。

カーニャはさらに呼吸が乱れていた。

先に整ったユアが訊く。

「な、なんとかこれでおわりかな?」

「はぁはぁ、うん、はぁはぁ、終わったかも」

長時間の戦いは二人を消耗させた。

スライムは意外とすばしっこく、形も好き勝手に変わるので、見逃しやすく。

終わったと思って入口に戻ると、通路からちらっと顔を出したりして逃げるのだ。

「なんだかいじわるな子達だね?」

ユアがじいっと通路を睨む。

手元の松明は半分ほどの長さになっていた。

やっと呼吸がととのったカーニャが立ち上がると、のこった衣服は下着の下だけで、それも穴だらけだった。

「まさかあんな新しい技を使うとは‥‥」

今日のスライムはなんとブレスを撃ってきたのだ。

‥‥スライムのブレスを。

「下着も置いていって正解だったよ。危ない所だった」

ふうとおでこの汗をぬぐうユア。

ユアはもう戦闘後だしなれたので堂々と立っていた。

奥につづく二つの通路を監視していた。


ぴょこ


「わああーーーーー!!くっっそおお。いくよカーニャ。徹底的に燃やすよ!」

「くうぅ、あれで最後であってよ!!もう魔力がやばいわ」

再度突撃していく二人の瞳は燃え上がっていた。

これで3回めのリスタートだった。




結局全て駆除して、終わりとなるまで5回のリスタートが必要だった。

残ったカーニャの下着も綺麗になくなったのだった。




「またこいよ~!」

元気に見送ってくれたマレエさんが手をふった。

(もうこないわよ)

(こないとおもうけど‥)

無言で手をふる二人には、再訪の予定は無いようだ。


流石に山道の間は、道も狭いので速度が出ない。

馬車の操縦はカーニャがして、屋根の上にスペースを作りユアが周囲警戒についた。

「警戒だけでも任せられると、急に楽になるわ。ありがとうユア」

やっと文明にもどれるとカーニャはご機嫌だ。

「うん!警戒は得意だから任せて。来るときはどうしたの?」

「馬車任せにして、一人で警戒もしてきたわ」

カーニャの馬車は特殊改造されていて、ペダルを踏まなくても微速前進できる自動モードがある。

道に沿ってすすむ機能と合わせて、馬車任せにできるのだ。

緊急時には勝手に停車する機能もある。

「ここなら他の馬車とか人にぶつかる心配なかったしね」

うーんとあぐらをかいたユアが考え込み、質問する。

「ねえカーニャもさ。一緒にパーティに入らない?一人だと色々大変でしょう?」

カーニャはちょっと困った顔。

「うん、ありがとう。でも一人でずっとやってきたから、きっと上手に出来ないよ」

ちらっとユアを見て、前を向き直りながら続ける。

「私は人に求めるレベルが高すぎるのね、きっと。何度かバディ組んだりしたけど、すぐ喧嘩になってやめたのよ」

ユアはそれ以上押し付けない。

「ユア達とはそうゆうふうに喧嘩したりしたくない」

そこが結論と告げた。

「仕事には完璧もとめちゃうのよね。もちろん自分にもね」

だから無理だと諦めないで、面倒な依賴でも一人で解決しようとしていた。

ユアがにこりと理解の表情。

「じゃあ困ったらあたしを呼んで!必ずね」

「‥‥うん。ありがとう」

ちょっと耳が赤くなっているのが見えたカーニャであった。



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