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【閑話:アミュアの宣言!(幸せの形)】

互いの近況を伝え合うとそろそろ話題が尽きそうになる。

ポルト・フィラントの夜に再会した4人は、ナイトバーで飲んでいた。

アミュアはお茶にしたが、アイギスとカルヴィリスはエールを飲んだ。

ユアもワインを頼んでちびちび舐めている。

いい感じにほろ酔いなのか、カルヴィリスはアイギスにべたべたしながら宣言。

「別に隠すことじゃない、私はアイギスの恋人よ」

なにか言いたげなアミュアにウインクして宣言したカルヴィリスが、アミュアを見ながらちゅっとアイギスのほほにキスをする。

堂々といちゃいちゃするアイギスとカルヴィリスをちょっと羨ましいアミュア。

これが大人の恋人かと衝撃を受ける。

キッと真剣な顔で立ち上がり宣言する(カミングアウト)


「わたしもユアの!‥‥こ‥こいびとです‥‥‥‥たぶん」

カルヴィリスに負けないようにはっきり言ってやろうと思ったのだが、アミュアは段々声が小さくなる。

「たぶんじゃないよ!愛してるよアミュア!」

ぎゅっとユアが抱きしめて座らせる。

かーっと真っ赤になるアミュアは下を向いてしまう。

「‥‥そうか。仲が良くていいこと‥だな?」

「いいことよ」

ちょっと不安そうなアイギスと、にっこり祝福するようなカルヴィリス。

「とてもかわいい恋人さんねユア。大事にしないとダメよ」

「うん。だいじだよアミュアぁ」

ぎゅうっとしながらアミュアの耳元にささやくユア。

アミュアの恥ずかしさが限界になり、ユアをぐーっと突き放して後ろを向いてしまう。

「くっくっく‥‥ユア、きっとエルナさんも祝福してくれる。胸をはっていい。アミュアも恥ずかしがることはない。堂々としてすばらしい宣言だったぞ」

やさしくアミュアの恥辱をえぐってくるアイギス。

ついにカルヴィリスは我慢できなくなり笑い出す。

「あはっあはははっ!かっわいいぃアミュア!だっこしたいわ!!」

ぷーっと膨れたアミュアはユアに背中をぐいぐい押し付ける。

「あうあう押さないでぇアミュア」

微笑ましそうに見つめるアイギスとカルヴィリスも少しだけ距離を詰めるのだった。

アミュアは初めてのユア意外への宣言で、テンションがおかしくなる。

アイギスとカルヴィリスが乾杯しようと言い出しシャンパンをたのむ。

ユアもシャンパンでいいと言うと。

「わたしも!シャンパンがいいです!」

もちろんアミュアはシャンパンが何かわからない。

ユアが気をつけてこっそり店員に頼み、アミュアのはジュースで割って薄めのアルコールにしてもらう。

4人がグラスを掲げ乾杯をする。

「では!新しい恋に!!」

カルヴィリスが茶目っ気たっぷりに宣言。

『カンパーイ!』

くいっとグラスを空けるカルヴィリスとアイギス。

ユアも半分くらい飲んでグラスをおいた。

飲む前から真っ赤なアミュアもぐいっと飲んだ。

ユアは心配になって止める。

「アミュアもっとゆっくり飲もうね。初めてなんだからね」

「だいじょうぶです!アミュアはもう大人なのです!」

カルヴィリスがアイギスの背中に隠れ爆笑を抑え込む。

「アミュア‥‥ところで大分大きくなってないか?そんなにたったか?」

『いま?!』

アイギスの質問のタイミングにユアとカルヴィリスの声がそろい、もう笑いを止めることができなくなる。

いつのまにかアミュアも笑顔になり、アイギスも仏頂面を維持できなくなるのだった。

笑い声につつまれ兄と姉、そして妹同士のカップルの、それはそれは幸せな家族のような時間であった。


アイギスの心にはカルヴィリスが支えてくれた日々と、エルナ達と過ごした幸せが蘇る。


ユアの心にもアミュアとの時間と、幸せな母と過ごした村での思い出が。


カルヴィリスの心にもアイギスとの愛有る日々があるが、こっそりと思う。

(ノア‥‥あなたにも会いたくなったわ‥‥勝手な私に会ってくれるのかしら?)

少しだけ淋しい気持ちがそこにあるのだが、アミュアとユアの愛らしさがすべて上書きしてしまうのだった。


そしてアミュアの心には、ユアと始めたこの長い長い旅の記憶が綺羅星のように流れていく。

泉のほとりで名をもらい。

異世界で愛されて心を学び。

世界にあらがうように戦う日々をユアと過ごし。

そして幸せを叶えられた。

どんどん温まる身体に、心の温度が追いつく。

段々と世界が溶けていき幸せに染まって、アミュアはパタリと倒れた。


「アミュア!?」

ユアが慌てて抱きとめたが、真っ赤なアミュアはもう会話が出来なかった。

それをみてアイギスとカルヴィリスがまた笑い。

ユアも幸せな笑みで、アミュアを抱きしめるのだった。

それはまだ戦いの合間だったが、確かに存在した愛有る時間。




アイギスとカルヴィリスはもう少し遊んでからホテルに戻ると言うので、別れ際に恥ずかしいからみんなには内緒にしてねと頼むユア。

ウインクと仏頂面の頷きが返った。

ユアは寝てしまったアミュアをおぶってマルタ商会をめざし歩いた。

「だいじょうぶ?アミュア?」

「う~ん‥‥らいじょぶれす‥‥」

ぜんぜん大丈夫じゃなさそうな真っ赤なアミュアをおぶい直し、ユアは微笑み歩く。

「ありがとう‥‥アミュアがはっきり言ってくれて‥とても嬉しかった」

「むにゃ‥‥」

「幸せだなあたし‥‥」

「う~ん‥‥」

にこりと笑うユアも少し酔がまわり頬が赤い。

「もうきっと家族なんだよあたし達」

「すやすやぁ」

「クスっ‥‥あたしのかわいい恋人さん」

ちゅっとアミュアのほほにキスをしたユアは、ゆっくり時間をかけて歩く。

冷たい冬の風が心地よく、背中の熱が幸せを伝えてくる。

少しだけ遠回りするユア。

もう少しだけ歩きたいなと思ったのだ。


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