月華 〜君に会いたくて〜
『都市伝説』それは様々な形で人々に伝わっていく。ただの噂なのか実在するのかは分からない。
ここにも、とある街に伝わる都市伝説が1つあった。
それは『月が華やかに見える時ある場所で願い事をすると神様が叶えてくれる』というものだ。
しかし伝わってる内容は様々で『願い事はなんでも叶えてくれる』と言う人や『お金関係は叶えてくれない』と言う人もいる
これについては議論する人達も現れている。
その都市伝説は月が華やかに見える事からこの街の人からはこう呼ばれている
『月華』
この願い事を叶えてくれるという魅力的な都市伝説を追う為、この街のある高校で都市伝説研究部という部活がある。
これはその研究部に入ってる1人の男子高校生の物語
俺の名前は小波 真どこにでもいる普通の高校二年生だ。
勉強が出来るわけでも運動が得意なわけでもない。特にやりたい事とかもなくただ毎日が過ぎていく感じだ。
まぁほぼ毎日付き合わされる事はあるんだが……
キーンコーンカーンコーン
今日の最後の授業の終了を告げるチャイムがなった。
「あー今日も1日頑張ったなぁ」
ホームルームも終わり帰り支度をして帰ろうとした
「ちょっと真! 何を帰ろうとしてるのよ?」
俺を呼び止めたのは幼馴染の神宮 命だ。
命はこの学校でも1、2位を争うほどの美少女だ。
だがハッキリ言ってバカである。
命の頭の中はこの街で伝わる都市伝説『月華』の事ばかりだ。
『月華』では月が華やかに見えるある場所で願い事をすると神様が叶えてくれると言われている。凄く魅力的なので授業中もその事を考えている為か勉強が全く出来ない。
二年に進級出来たのはもはや奇跡と言ってもいいぐらいだ。
「命、たまには休ませてくれよ……」
「何言ってるのよ。私達、都市伝説研究部は『月華』の謎を解くまで休みなんてないわよ」
そう、俺は命に無理矢理に都市伝説研究部に入らされ毎日『月華』について調べている。
この街の人はほとんどが『月華』の都市伝説を知ってはいるのだが正確な場所等全く分からないでいる。
俺は正直そういう類いの話は信じてないのだが命の前では信じてるフリをしている。
何故なら『やはりないんじゃないか?』と言っただけで命の話は終わらなくなる。それだけは勘弁だ……
「ほら、早く部室行こう? 今日こそ可能性がある場所を特定しないと」
命のこのセリフは毎日聞かされてる。しかしいくら調べても進展なしだ。
やはり都市伝説だから何かの噂から広まっただけで存在しないんじゃないかな……
ちなみに命は『月華』に願い事で高校を無事に卒業できますようにとお願いしたいみたいだ。
なら勉強しろよと言いたい……
「はいはい、分かったよ」
俺は帰るのを諦めて命と一緒に部室へと向かった。
昔から命は言い出したら止まらないしその度に俺は振り回されている。断ると家までついてきては俺が手伝うと言うまで説得してくる。
まぁ可愛い幼馴染に頼られるのはちょっと嬉しい気もするがな。本当にちょっとだけだけど……
俺達は部室へと到着した。
中に入りとりあえず電気ケトルに水を入れ電源を入れてお茶を入れる準備をした。
都市伝説研究部はあと1人いる。
名前は水無月 早苗。
この子は都市伝説等大好きな子だ。将来は研究者になってとことん謎について研究したいそうだ。頭脳は全国模試でも常にトップを取っているまさに天才だ。
毎日ほぼこの3人で活動しているのだが大体の活動はこの部室でお茶でも飲みながらどこを調べるかとかの会議だ。たまに外に出て聞き込みや週末には目星をつけた場所へと向かう事もある。
俺とは違ってこの2人は本当に楽しそうだ。いつも目が輝いて見える。
まぁ、後たまに他の部活の生徒もここに来る事もある。他の部室がメインな為、正式な部員ではないのだがやはりこの街の人は『月華』について興味があるみたいだ。中には命と話がしたい為に来る男子生徒もいるぐらいだ。
まぁなんだかんだでこの都市伝説研究部は賑やかなのだ。
そして金曜日の放課後、休日の前の日そして天気は晴れという事で今日の都市伝説研究部の活動は『月華』の場所探しだ。
今日行く所は事前に話し合って決めている。
とはいえ暗くならないと月も見えないのでそれまで俺達はカフェでコーヒーを飲んでいる。
俺から言わせると活動内容なんていつもお茶会みたいなもんだ。
「ねぇねぇ、今日こそは当たりだと思うんだよね」
命のこのセリフも毎回だ。なんの信用もできない。
「その自信はどこから出てくるんだ?」
「んー女の勘ってやつだよ」
……毎回外れているんだが?
「あーっ! 真、今酷い事思ったでしょ?」
「……えっ? いやっ、思ってないって」
「絶対嘘だー! 早苗もそう思ったでしょ?」
「うむ、今の真は『どーせ見つかるわけないって、早く帰りてぇ』って顔してた」
……それはどんな顔だ?
「そうだよね! もうっ、真酷いんだから。そんなんじゃ願い事叶えてくれないよ?」
「いやいや、勝手に決めつけるなよ……」
「違うの? じゃあ何て思ったの?」
「それは……願い事何にしようかな? って」
「まだ願い事決まってなかったんだ。早く決めないと『月華』の場所見つかったら困るよ?」
「そうだな……早急に考えとくよ」
「もし決まらなかったら私が真の願い事が決まりますようにって願ってもいいよ?」
……お前はいったい何の為に探してるんだ?
カフェで雑談をしていると辺りが薄暗くなってきだしたのでそろそろ目的地へと移動しようとなった。
命と早苗はもうワクワクが止まらないみたいだ。まるで小学生の遠足前の感じだ。
目的地を目指して半分程歩いた所で商店街近くの交差点へとやってきた。その時だった
キキーッ
スピードを出していた車が曲がりきれずに急ブレーキを踏んだみたいだ。
しかしスピードを出し過ぎてたせいなのか車は止まらずそのまま命の方へとむかっていった。
「危ないっ!」
「えっ?」
命はビックリしすぎて身体が硬直したみたいだ。
俺は勢いよく飛び出し命を突き飛ばそうとした……が、最早突き飛ばしても間に合いそうにない。咄嗟に命に飛びつき抱きしめながら倒れこんだ。
ドンッ……
俺と命はそのまま車に弾き飛ばされた……
「み……こと……」
辺りがざわついていたが俺はそこで意識が途絶えてしまった……
〜三日後〜
「……うっ、ここは?」
おれが目を覚ますと天井が見えた。
そうだ、思い出した。俺達はあの時車にはねられて……その後意識がなくなったんだ。
ということはここは病院のベットの上か?
俺が目を覚ましたのが分かったのか俺の両親が駆け寄ってきた。
「真、目が覚めてよかった。私が誰か分かる?」
「何言ってんだよ、母さん。分かるに決まってるだろ?」
「よかった。今お医者さん呼んでくるからね」
母親が医者を呼びに行ってすぐ医者と戻ってきた。
俺は医者から軽い質問と診断をされた。そして怪我以外はどこも異常は見られないと判断された。とりあえず安静にする事と言い残して医者は部屋を出て行った。
「あんた3日もめが覚めなかったのよ。お母さん達心配で心配で……」
母親はその場で泣き始めてしまった。
「心配かけてごめん。それより命はどうなんだ? 俺より軽い怪我ならいいんだが」
俺が質問すると両親の空気が重くなったのを感じた。そして父親が答えてくれた。
「真、落ち着いて聞いてくれ。命ちゃんはあの事故の後、亡くなってしまったんだ……それでお前が目を覚さない間に葬儀も終わってしまっている」
「……えっ?」
俺の思考は停止したかのように頭の中が真っ白になった。
「……嘘だよな? あまりにもタチが悪い冗談だぞ?」
俺は聞き返したのだが両親は答えられなかった。
「命の家に行ってくる」
俺は怪我だらけの身体を起こしベットから降りようとした。
「でも、お医者さんが安静にって……」
「こんな時に寝ていられるかよ! 俺はこの目で確かめるまで信じないからな」
「分かったから。ちょっとお医者さんに聞いてくるから少し落ち着いて待ってなさい」
数分後、母親が戻ってきて外出の許可をなんとか貰ってきたみたいだ。しかし何かあるといけないので早めに戻ってくる事が条件みたいだ。
命の家の方にも連絡をしてくれていてそっちでも許可を貰えたみたいだ。
俺としては何でもいい。とにかく行かなくてはならない。両親に支えられて病院を後にして命の家へと向かった。
親の車で命の家に向かってる途中も頭の中は真っ白で何かを考える余裕などどこにもなかった
そして、命の家に着いた。チャイムを鳴らすと命の両親が家から出てきた
「真君、目が覚めたみたいでよかった……命の為に大怪我負わせてしまってごめんなさいね」
命の両親も命と同じくいつも明るい人だった。しかしいつもと雰囲気が全然違う。それだけで命が亡くなったというのが現実なんだと思いしらされた
「……こんなの大した事ありません。命に会わせて貰ってもいいですか?」
俺なんかより命の両親の方が辛いに決まっている。
「どうぞ、命も真君に会いたがってると思うわ」
「おじゃまします」
俺は命の両親の後をついていった。そして案内された部屋には命の遺影や遺骨があった。
俺はそれを見ると一気に感情が爆発して涙が止まらなくなった。そして足に力も入らなくなり座りこんでしまった。
「命……ごめん。ちゃんと……まもって……やれなくて……」
俺のその姿を見て俺の両親と命の両親も涙を流した。
「真君、これからもたまにでもいい……命に会いに来てもらえないだろうか?」
命の父親が俺にお願いをしてきた。
「もちろん……です」
「ありがとう。命もきっと喜んでくれるよ」
「今日は遅くにすみませんでした。どうしても自分の目で確かめたくて……また少し落ち着いてから来ますね」
「いやいや、目が覚めたばかりだというのに命の為に来てくれてありがとう」
医者との約束もあるし今日はこれで命の家を後にした。
病院へと戻り俺はベットに横になった。
すでに病院内は消灯されているので静かだ。
俺の両親は俺がもう大丈夫だろうという事で今日はもう家に戻って行った。
俺は寝ようにも眠れない。頭の中は命との思い出を振り返してる。
小さい頃からの幼馴染で一緒にいる事が当たり前になっていた。
そしていなくなってようやく自分の気持ちを理解した
俺は命が好きだったんだ。
今まで考えた事などなかった。一緒にいるのが当たり前でこれからもそれが続くと思っていた。
しかしもう命はこの世にはいない……もうあの笑顔を見れる事などないんだ……
俺はまた涙を流した。
こんなに泣いたのは初めてかもしれない。
今日はもう眠れそうにない。
眠れないまま朝を迎えた。
一晩中泣いていたせいか目元が腫れている感じがする。
とりあえずやる事もなくただぼーっとしてまた命との思い出を振り返していた。
昨日あれだけ泣いたせいか今日は涙は出てこなかった……
夕方になり学校帰りに早苗がお見舞いへとやってきた。
早苗はお見舞いへとやって来たのはいいが何を話していいか分からない様子だった。
「早苗、都市伝説研究部はどうする?」
「えっ? 私は……もし1人になっても続けようと思ってるよ」
「そうか……すまないが俺は続けられそうにないな……」
「そう……だよね」
俺にとって『月華』を追うのは命がいたからだ。その命がいなくなってしまった今『月華』を追う意味が分からないでいる。
「早苗は研究者になりたいから追い続けたいのか?」
「それも……少しあるかな。でも今はそれより叶えたい事が出来たの」
「そうなんだ? 聞いても大丈夫か?」
「うん、私『月華』を見つけて、もう一度命ちゃんに会いたい」
「えっ?」
「あっ、もちろん実際に会えるとは思ってないよ……例え夢の中でもいいの。夢の中でちゃんと会話できたらって思って。それぐらいなら叶えてくれるかな?って」
早苗はそう言うと泣き出してしまった。
確かに願いを叶えてくれる都市伝説『月華』、夢の中で会話するぐらい叶えてくれるかもしれない
「なぁ、早苗。やっぱ俺も手伝わせてくれないか? 俺も夢の中でもいい! もう一度命に会いたい」
「本当に? うん、2人で必ず『月華』を見つけて命ちゃんに会おうね」
俺の返事を聞き早苗はようやく泣き止んだ。
「あぁ! 必ず」
「でもとりあえず真は怪我を治してからね。それまで場所の候補考えておくから」
「あぁ、そうだった……」
「じゃあ私はこれで帰るね。 お大事に」
「ありがとうな」
こうして早苗は病室を出ていった。
早苗のおかげで元気が出てきた。
「命、待ってろよ。必ず会いにいくからな」
入院をして2週間がたった。
怪我の方もだいぶ治ってきたので退院出来る事になった。
学校の方も明日から行く予定だ。しかし運動などはまだ控えるようにと医者からは言われている。
もう暫くは早苗と部室で会議かな?
車で家へと帰る途中俺はそう考えていた。
早苗の方もいろいろ調べてくれてはいたみたいだがやはり進展がないみたいだ。
だが、だからといって諦めるわけにはいかない。
俺はどうしても、もう一度命に会いたい。その気持ちだけでやる気が出てくる。
そして家へと帰り着いた。久しぶりの我が家だ。 部屋と戻りベットへと横たわった。
前までは命がやってきてはギャーギャーと騒いでいたな。あの時は少しはゆっくりさせてくれと思っていた。今となっては静かすぎる空間に耐えれない。
何か考える度に命の事を考える。
「何で俺はこの気持ちに今まで気づかなかったのだろう?」
落ち込んでいても仕方ないな。
スマホで時間を見ると14時を過ぎたばかりだ。少し散歩でもして気を紛らわせよう。
医者からは運動はダメと言われているが散歩ぐらいは大丈夫だろう。
親に散歩してくると伝えて家を出た。
とりあえずぶらぶらしてみるか。
公園や河川敷など歩いてみた。
しかしこの街のどこに行っても命との思い出ばりだ。気分転換のつもりだったのに何も変わらなかった。
そろそろ帰ろうかと思った時、小学生の頃に命とよく遊んでた古い神社の裏にタイムカプセルを埋めた事を思いだした。
今もまだあるのかな?
とりあえず今いるとこから遠くもないので様子だけでも見に行く事にした。掘り返すのは怪我がちゃんと治ってからやればいい
そして古い神社へと到着した。ここにはもう誰もお参りにもこないしずっと放置されてるみたいだ。
当時遊んでた時よりさらにボロくなっており、そのうち勝手に崩れそうな感じだ。
俺は神社の裏へと回った。
「確か1番大きな木のとこに埋めたんだっけ?」
当時の記憶が曖昧になって自信はないが多分ここだろうという所を見つけた。
「おそらくこの下だな。今度掘る物を持ってかないとだな」
その時だった
ふと空を見上げると昼間だというのに月がハッキリと見えた
「おかしい、何故昼間なのにこんなハッキリと月が見えるんだ? それになんか輝いてる? ……まさか、ここが『月華』の場所なのか?」
俺達はいつも太陽が沈み暗くなって月が見え出してから探していた。もしかしたら『月華』には時間等関係なかったのだろうか?
「もしこれが『月華』なのであれば神様、俺の願いを叶えてくれ! もう一度……命に会わせてくれ」
あまりにも急に現れたので本当に『月華』なのかも分からないが俺は咄嗟に願い事を言った。
「お主の願い叶えてあげよう」
どこからか返事が聞こえてきた。
その瞬間、俺の周りの空間が歪んでいった。
何が起きてるのか分からないまま俺はそのまま気を失ってしまった。
どのくらいの時間気を失っていたか分からないが俺は目を覚ました。
「何が起きたんだ? 俺は気を失っていた? しかし夢の中でも命に会えてないぞ? でも願いを叶えてくれると聞こえた。何がどうなってるんだ?」
俺は時間を確かめる為にスマホで時間を確認しようとした。
しかしスマホの画面には大きく『3』とうつってだけで操作など出来なくなっていた。
「これは何だ? もしかして壊れた?」
俺がスマホと睨めっこをしていたら
「えっ? ……真?」
後ろから聞き慣れた声が聞こえた。
俺は後ろを振り返るとそこには亡くなったはずの命が立っていた。
「命? 何で? これは夢なのか?」
自分で願ったのにも関わらず俺はいるはずのない命の姿を見て動揺を隠せないでいた。
『月華』は本当にあったんだ。そして本当に願いを叶えてくれたんだ
「うそっ……本当に真なの? もしかして化けて出て来たの?」
命は何やらおかしな事を言っている。
「いや、化けて出たって言うなら命のほうだろ?」
会話が成り立っていないが紛れもなく俺は命に会えている。例え夢だとしても、もう二度と会えないはずの命に会えた。それだけで『月華』に感謝だ。
「何言ってるの? だって……真はあの事故で亡くなったんだから」
「えっ?」
会話が成り立たないどころではない。何かがおかしい。
「俺が……死んだ?」
「そう、私を庇ってそのまま亡くなったのよ……でも今、真は目の前にいる。どうなってるの?」
「待て! 一旦落ち着こう。俺の話も聞いてくれないか?」
「……分かった」
命もよく分かってないがとりあえず俺の話を聞いてくれる事になった。
俺達が事故にあった事で亡くなったのは命、そして俺はこの場所で『月華』を見つけて願い事で命に会いたいと願った事を伝えた。
そして今度は命の方の話を聞いた。事故で亡くなったのは俺で、命も同じくタイムカプセルの事を思い出してここに来たら俺がいたと言う。
「もしかしてパラレルワールドってやつか?」
「パラソルワールド?」
「パラレルワールドだよ。ある時点から分岐した世界があるって聞いた事ないか?」
「なんか聞いた事あるかも」
「俺達の場合はあの事故が分岐点で俺が生き残った世界から命が生き残った世界にやってきたんだと思う。それしか考えられない」
「そっか。『月華』が願いを叶えてくれて世界を超えて来たんだね。でも真はこの世界では亡くなった事になってるけどこれからどうするの?」
「それなんだが目が覚めてからスマホが操作できなくなって『3』という数字が画面に出てるんだ。おそらくこの世界にいられる時間か日数だと思う。今この数字に変化がないということは3分ではないみたいだ」
「そっか……せっかくまた会えたのにすぐさよならしないといけないんだね」
「あぁ……でも俺は命が生きてる世界があると分かっただけでも十分だ」
「何カッコつけてんの? 真らしくないね。……でも『月華』の場所がここだったなんてね。今でも信じられないよ」
「そうだな……でももしかしたら『月華』は街のどこからでも見れたのかもしれないな」
「どういう事?」
「たまたま本当にここだった可能性もあるけど、ここは俺と命にとって思い出の場所だし命に会いたいという願いを叶えるならここが最適だっただけなのかもしれない」
「なるほど! じゃあ他の人が違う願い事ならそれに最適な場所を探さないといけないって事だね」
「そういう事だな。まぁ憶測だけど」
「いくら探しても見つからないわけだね」
それから俺達は思い出話をした。1時間ぐらい経った頃を見て俺のスマホを確認した。
数字は『2』になっていた。時間で間違いなさそうだ。
「あと2時間でお別れか。悔いのないように話しとこうぜ?」
「うん……全然足りないけどね」
それからまた俺達は語り合った。
そして残り時間もなくなってきて辺りも暗くなってきた。
その時突如夜空に花火が打ち上げられた。
「そういえば今日は花火大会だったね」
「すっかり忘れてたな。最後に命と見れてよかった。俺、絶対忘れないから」
「私も! 絶対忘れない」
俺は伝えたい事があったがやめておいた。
それは命が好きだという事。
伝えたとこでもう二度と会えないだろう。
伝えた事で悩ませる事になるかもしれない。
今回、願いが叶い命と話が出来た。俺はそれだけで満足だった。
そしてスマホの数字が『0』になった。
また俺の周りが歪んで見えた。
「命! これでお別れだけど元気でな!」
「……うん、真も元気でね」
別れの瞬間、命は涙を流していたが精一杯の笑顔を作ってくれた。俺はその笑顔を忘れないだろう。
そして俺はまた気を失った。
またどれだけの時間が経ったのかわからないが目が覚めた。
「戻ってきたのか?」
俺はスマホを確認するとちゃんと動作した。
こうして戻ってくるともしかしたら今あったことは全部夢だったのかもしれないと思わされる。
しかし俺は命と会話をした。紛れもなくあれは命だった。『月華』には感謝だな。
しかし『月華』に命とまたずっと過ごしたいって願ったら叶えてくれたのかな?
そう思いながら夜空を見上げるといつもの月だった。
さすがにこの願いは叶えてくれそうにないな。
名残り惜しいが家に帰るか。
その時だった。また俺の周りが歪み始めた。
なんだ? まさか今の願い事を叶えてくれるのか? いや、でも月はいつもと変わらなかった。 どうなってるんだ?
そして目の前が光に包まれた
今度は気を失わず辺りに何もない空間へと来ていた。
「全く、お主達ときたら難しい願い事をしてくれるわ」
急に目の前に女性が現れた。
「あなたは?」
「妾か? まぁお主達からみたら神様と言った方がしっくりくるだろうな」
「もしかして『月華』の神様? 先程は俺の願いを叶えてくれてありがとうございます」
「ふむ、なかなか礼儀正しいの」
「ところでここは? どうなってるんですか?」
「ここは世界を繋げる為に作った擬似空間じゃ」
「世界を繋げる?」
すると後ろからまた聞き慣れた声が聞こえた。
「私が『月華』にお願いしたの。真が戻った後あの場所で私は月が華やかに見えたからいけるかな? って」
「命! そうなのか。それでなんてお願いしたんだ?」
「私の世界と真の世界を繋げて2人とも生きてる事にして下さいって」
「それはまた凄い願いだな」
すると神様が口を開いた。
「まぁ妾に出来ない事などないからな。でも今回は特別じゃ。普段ならこんな願い叶えてあげないがな」
「えっと、それはありがとうございます。でも結局どんな風になるんです?」
「だからお主達の世界をくっつけてお主達の事故に関わった者達の記憶をちょちょいと改ざんするだけよ」
「さすが神様ですね」
命、それで納得出来るのか? まぁ俺もそうなったらいいなとは思っていたが実際に叶えてくれるとはな。
「お主達の為にここまでしたのじゃ。今度お供え物でも持ってくるといい。妾はおはぎが大好物じゃ」
「必ず持ってきます。ありがとうございます」
「約束じゃぞ? ほれ、2つの世界はもう繋がった。他の者も記憶を改ざんしたから安心せよ。あと妾の事は他言無用じゃ。約束を破ればその者達の記憶を消していかねばならんからな。むろんその時はお主達の記憶もじゃ」
「わかりました。でも俺達は都市伝説研究部なのでまだまだ『月華』について調べると思います」
「まぁ妾がお主達の前に現れる事はもうないと思うが調べるだけなら好きにするといい」
神様がそう言うと辺りがまた歪んできた。
「おはぎ忘れるでないぞ?」
そして俺達は古い神社の裏へと戻ってきた。
「本当に世界をくっつけたんだよな? 『月華』の神様凄すぎじゃない?」
「本当だね。ねぇ、まず早苗に会いに行ってみない? 本当に記憶が改ざんされてるかも気になるし」
「そうだな。確かめに行こう」
でもその前に命に伝えたい事がある。
「命、さっきは言えなかったけど……」
「ん? 真どうしたの?」
「俺は命が好きだ。付き合ってくれ」
「ありがとう。私も真が大好きだよ。もちろんOKだよ」
「本当か? やった! もう伝えられないと思ってたよ 言えてよかった」
「私もさっき伝えたかったけどもう会えないと思ったから」
「俺達考えてる事一緒だな」
「そうだね」
「じゃあ行こうか」
俺達は手を繋いで早苗の家へと向かった。
俺達は今回『月華』により願いを叶えて貰ったがまだまだ謎が多い。
俺達都市伝説研究部はこれからも謎について研究していく事だろう。
最後まで読んで頂きありがとうございます




