其の一
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写真:玉置朱音様
『ふふ。彼女はもう僕の手の内。この呪詛からは逃れられません。後でじっくり頂きましょう。指を咥えて、そこで見ていなさい』
「ふざけんな・・・・神奈に指一本触んじゃねえ――――っ!!」
チャラ神様、どうやら本気で金綺羅教の教祖様と対峙している模様です。
※お待たせしました。連載再開しました※
「駒井さん、それでは相談内容について、詳しくお願いします」
はい。どーも。天海神奈です。
現在、駒井さんから新たな事件発生の件について聞いている所よ。調査内容が気になるので、続きを促した。
『事件というのも変な話なんだけれど・・・・。実は最近、隣町に『金綺羅教』という宗教団体がやって来ていてね。その団体は、救いを求める信者の願いを叶えるという、とても勢いのある宗教団体で、金綺羅教祖様という男性の教祖がすごく力を持っているらしいんだ。というのも、信者の願いが何でも叶う、幸せになれると評判なんだけれど・・・・ただ、入信できるのは若い女性限定で』
金綺羅教・・・・。また怪しそうな名前ね・・・・。しかも若い女性限定だなんて。
「若い女性限定というのが、問題なのですか?」
『いや、それがね・・・・娘の麻沙子がその宗教に勧誘されたんだけれど、うちはずっと商売の神様にあやかっているし、祈祷なんかは天海神社で先祖代々から頼んでいるもんだから、宗教に入るつもりは無かったんだ。だから丁重にお断りしたんだけれど、断ってからは決まっていた大きな取引がみんな潰れてしまって・・・・。何かの因縁かもしれないと思って、仕方なく娘にもう一度話を聞いてくるように言ったら、その場で入信を決めて、もう家に帰らないって言い出したんだよ。実際、昨日から帰って来なくて、連絡もつかない状態なんだ』
「ええっ!?」
『その宗教施設に娘を迎えに行っても『そんな女性は来ていない』の一点張りで、門前払いなんだ。神奈ちゃん、申し訳ないけれど力を貸してくれないかな? 若い女性しか入れないというから、神奈ちゃんが潜入して、中の様子を探って来て欲しい。とにかく娘を連れ戻したいんだ』
「それは大変ですね! 解りました。すぐに伺います」
という訳で、早速駒井邸へ向かう流れになった。これ、何時ものパターン化してきたかも。
「みんな、よく聞いて」
天人、ミケ、じぞーちゃんを集めて、私はさっき駒井さんから聞いた話をすることに。
「今、駒井さんから連絡があったの。何でも相談に依頼よ」
「やったー。旨い寿司食える」
駒井さんの依頼=特上寿司という方程式も、天人の中で定着しているみたいね。
「依頼内容は、娘さんの行方を捜す事」
「駒井のおじちゃんの娘、行方不明なの?」
じぞーちゃんが心配そうに聞いてくれた。
「まだ解らないの。というのも、ここに関わっているとされるのが『金綺羅教』という宗教で、金綺羅教祖様というのが、隣町で幅をきかせているらしいわ。救いを求めて来た信者の願いを何でも叶えてくれるそうよ。それが・・・・」
「金綺羅教祖様!? 何でも願いを叶えてくれるなんて、スッゲ―、神じゃん!」
まだ喋っている最中なのに、天人が目を輝かせて言った。
神じゃん、ってアンタも神様の筈じゃ?
「アタクシのダーリンも見つけて貰えるかしら!?」
ミケまで目を輝かせている。どうしてなの?
「すごいやーん! その金綺羅教のヒト、悪い声の主をやっつけてくれないかなぁ!?」
ちょっと待てい。金綺羅教と聞いて、誰も怪しいって思わないの!?
こんないかにも怪しく、変な名前なのに!
みんなの賢さ・・・・一体どうなっているの!?
「どうした神奈。黙っちゃってさ」
天人に顔を覗き込まれると、ドキっとした。何でもないわ、と慌てて繕った。
「とにかく! その金綺羅教は超怪しい団体よ。絶対に信じちゃだめ」
その言葉に、えー、とみんなからブーイングが。
何故なの・・・・。私の方がおかしいのかしら?
いや、そんな筈はない・・・・と、思う。
「さっきの行方不明の話を思い出して。現に駒井さんの娘さんがそこへ行って、帰ってこないらしいのよ。調査を頼まれたわ。だからみんな、気を引き締めて行くわよ」
「うい」
「わかったわ」
「はーい」
みんな、返事だけはいいのよね。
やれやれ、と思いながら駒井邸に向かった。何時もの応接室へと通され、さっきと同じ話を聞いた。駒井さんの娘さん――麻沙子さんは無事かしら?
駒井さんに何時もの元気が無かったから、心配だわ。麻沙子さんが帰ってこないから当然よね。
話はそこそこにして隣町まで車で送ってもらい、チャラ神様御一行は早速金綺羅教本部と書かれた新しい建物の前に到着した。
「いい、みんな。よく聞いてね」私はみんなの顔を見ながら、大切な事を伝えた。「焦る気持ちはあるけれど、一旦落ち着いて。ここでいきなり本丸に突撃しちゃダメ。RPGなら、先ずは村の人・町の人と話すのがセオリー。情報収集が大事よ。突然行っても、イベントが進まない事もあるからね」
「イベントって何だよ。食えるのか?」
知らない単語は全て食べ物と化す天人。説明するのも面倒くさい質問だ。
「イベントも知らないの? 坊主はこれだから・・・・」
ミケがあきれ顔で天人を見た。「はー。バカと一緒にいると、周りが迷惑して困るわー」
「あ”!? ヤル気かコ・・・・」私の氷の視線に気づいた天人は、いち早く誤魔化した。「あ、ゴホン、ゴホン、ウェホエホ。ううん、風邪かなぁ」
「坊主が風邪なんかひく訳ないでしょ。馬鹿なのは顔だけにしておいてくれない?」
「あ”あ”あ”――――ん!? 一回シメるぞ」
「やってみなさいよ」
「喧嘩はだめやね――ん!!」
じぞーちゃんが怒った声を上げた。悲しそうな表情で二人を見つめている。「仲良くしなきゃダメ。じゃないとボク、二人の上に乗るよ?」
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