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にゃん銃士 ~姫を護るのはチートなにゃんこたち~  作者: 武田武蔵
第四部 フレデリック王子編
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第八百四章 アレットの侍女?

 やがて、オペラのソワレの時間が迫ってくる。部屋で談笑していたフレデリックとアレットは、そわそわしたように浮かれ、俺たちは彼らが無事に馬車に乗れるように準備をし始めた。

「あなたって、本当にオペラが好きなのね」

 階段を下りつつ、アレットはフレデリックへと話しかける。

「それに付き合ってくれる君も、中々のオペラ中毒だよ」

 フレデリックが少し甘い言葉を吐いた。アレットは嬉しげに、

「そうかしらぁ? 未来の旦那様?」

 と、フレデリックと繋いだ手に指を絡め、アレットが首を傾げてみせる。

「結婚しても、舞台を観に行こう」

 フレデリックは目を細め、笑った。


 玄関ホールを出たところに、馬車は止めてある。セルジュが扉を開き、二人は乗り込んだ。

「自分が御者を勤めさせていただきます。先輩方は、フレデリック様とアレット様の警護を」

 御者席へと座りながら、セルジュは答えた。

「じゃあ、シャルルとフランシス。一緒に乗ろう」

 と、フレデリックは天鵞絨生地の椅子を叩いた。座れと言う事だろう。

「失礼いたします」

 そう言って、俺とフランシスは馬車へと乗った。

 俺が扉を閉めると、馬車はゆっくりと走り出した。

「やはり、世界一周の旅でも彼が御者をした事が?」

 俺が問いかけると、

「そうだね。やっぱり人数も多かったから、途中から馬車になった」

「ボクたちと同じだ!」

 アレットの隣に座ったフランシスが手を叩いて喜んだ。若干アレットは嫌そうだ。それを見たフレデリックは、

「そう言えば、昼食を一緒に食べた時に母上が言っていた事なのだけれど……」

 と、無理矢理にでも話題を変えた。その時、馬車が小石につまずき、その衝動でフレデリックは舌を噛みかけ、俺は慌てた。

「なになに? 気になるのだけど」

 そんなやり取りはなんのその、フランシスは通常運転だ。

「いや、アレットにも従者をつけようかと言う話になってね。でも、兄上附きの従者、アランが故郷に帰るだろう? 少し人事が動くのかと思っている」

 成る程。俺は頷いた。確か、エルに附いているのが、ドゥアイトとリリア。ルドルフに附いているのが、アランが抜けてアンヌだけになる。以前ルドルフはアンヌは戦えないと言っていた。さらにそこにアレットが加わるのだ。どんな人事になるのだろうか。

「私は、私の従者が一人来る事になったわ」

 と、アレットは言う。

「従者と言うより、侍女かな?」

 フレデリックは言い直した。あ、女性なのか。ならば、セドリックやドゥアイトと同じ思いをせずにすむ。

 と、言うか、ドゥアイトこそわからないが、初夜の見張り役はどうなったのだろう。アイリスはそれを少し毛嫌いしていた。当たり前だ、皆に見られるのはかなり恥ずかしいものだろう。

 その辺りはデリケートな問題なので、良くわからないが。

「ちゃんと戦える侍女よ?」

 すました声でアレットは言った。

「なんたって、私の剣術指南役なのだから」

「えぇ!?」

 俺とフランシスは声を合わせていた。

 剣術指南役か……そう言う事は──

「勿論、私もレイピアを使えるわよ?」

 アレットが誇らしげに腰へと手を当てた。

 成る程、アレットが妻になれば、フレデリックの用心棒も兼ねる訳だ。アイリスも、それを知っていての事だったのだろうか。

「でも、レイピアは持ち運ぶのが面倒だし、ドレスにはす訳にはいかないでしょう? だから、形だけ、ね?」

 この事は秘密よ? と、アレットは微笑した。

「でも、お互いにベッドの上にはレイピアを置こうと言う話になっているのだ」

 なんだか物騒な夫婦だな。間も無く馬車は劇場前につけられる。

「カジミール二世、楽しみだなぁ……」

 フレデリックは弾んだ声で言った。


お読みいただきありがとうございます。

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