第七百四章 昼食の相談
「では、みんなで食堂の前まで行こうか」
フレデリックはそう提案する。
「シャルル、シャルル」
俺が扉を開こうと駆け駆けた時、不意に呼び掛けられ、振り返っていた。声の主は、どこか落ち着かない様子で、声が上擦っている。
「ボクは、ちょうど今日外で食べようと思っていたのだけど、キミはどうする?」
声の主──フランシスは言う。
これは、偶然なる必然だ。
「セルジュにも聞いてみろ」
と、俺は言った。そうしている間にも、フレデリックや来客たちが廊下へと出ていっている。
「あれ、先輩方、どうかしたのですか?」
最後までドアボーイとして扉を開いていたセルジュが声をかける。
「あぁ、すまんすまん」
俺とフランシスは駆けて行った。
「昼の話をな」
「昼の話とは、外で食べるか否かですか?」
俺の言葉に、セルジュは問うた。
「そうだな。せっかくの来客もいるのだ。良い店で昼食をとるか」
そんな事を話しながら、廊下に出る。そう言えば、ふと浮かんだ事だが、”メイドの品格”の主人公、エリーは、クロードが認めるほどの巨乳のようだ。エステルは、まだその辺りは育ちきっていない部分があると思う。その辺りはどうするのだろう。などと、下らない疑問が降りてきた。
あとでマルグリットに聞いておこう。いや、聞かなくても良い事だけれど。
「遅いわよー、従者の猫さんたちー!」
彼方からマルグリットの声がする。見遣れば、あちらは既に階段を下りるところだった。
「すみませんフレデリック様」
慌てて駆けて行き、フレデリックの前に出る。
「は、早いね。シャルル」
俺が遠くにいる事がわかっていたフレデリックがその早さにおどろきの声を上げる。
「これくらい、伊達に殿下のお世話をしてきていませんよ」
そうだな、大昔のやんちゃっ子は、今では立派な皇太子の貫禄がある。シャルル少し嬉しい。
「もうみんな集まっているね」
階段下を見て、フレデリックは言う。その通り、王族とその従者たちがフレデリックの登場を待っていた。
「先に入っていただいてもよろしかったのに」
急いで家族の元へフレデリックが駆け寄ると、
「いえ、私もマルグリットにもう一度逢いたかったのよ」
と、アイリスは答える。
「マルグリットとは、マルグリット・フランソワーズの事ですか?」
エルの手を繋いだままルドルフが声を書けた。
「私は、マルグリット様がロッコ国に慰問に来られた時以来、お逢いしてはいません」
と、エルは言う。そう言えば、ルドルフはあまりオペラに興味がなかったな。夫婦共に観劇デートなど、洒落ていて良いと思うのだが。
やはり、王族となれば違うようだ。
「あら、王家の方にも、私と話した事がない方がいらしたなんて」
そんな四人の間を、話って入って来たマルグリットは言った。
「改めて初めまして。お名前は?」
上背のある女優は、膝を軽く折ってエルの瞳を覗き込んだ。
「エル、と申します。ローファ国から、ロッコ国に嫁いだポワシャオ皇女と、ロッコ国の第三王子、ハダ王子との子供になります」
「これでも一児の母なのよ?」
アイリスが入り込む。
「え!? この若さで?」
マルグリットはおどろいた声を上げた。
「ま、まぁ、そうです」
恥ずかしげに、エルは頭を掻いた。
「ローザと言って、今は私たちの寝室で寝ています。もうそろそろ、言葉を話すかしら?」
「まだまだだ。ゆっくり親と言うものに慣れていこう」
ルドルフは言った。
「食堂に行きましょう。母上、フレデリック」
その導きで、彼らは食堂へと消えていった。
「さて、どうするか」
束の間の休憩時間に、各々散っていった従者たちを見送って、残された六人……皇太子の従者と、オペラ歌手たちは顔を見合わせる。すると、
「下町フードには興味があったのよ。案内してくれない? 良い店を知っているでしょう?」
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