表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にゃん銃士 ~姫を護るのはチートなにゃんこたち~  作者: 武田武蔵
第二部 ロッコ国への訪問編
125/813

第百二十五章 アイスラテの幸せ

 朝食はオムレツにサラダ、そうしてパンが出た。バターの効いたオムレツにはアメリケーヌソースがかけられ、食べれば海老の香りが口内に広がる。幸せだ。

 サラダはオリーブオイルと塩のみの味付けで、オムレツの個性を消さないように、密やかに主張していた。

「美味しいわ」

 皿に残ったアメリケーヌソースを千切ったパンで掬い上げ、アイリスは言った。船長と共にあらわれたコック長は嬉しそうだ。

「うん、美味しい」

 フランシスも上機嫌だ。

「食後はなにをお飲みになられますか?」

 と、コック長は問いかけた。

「なにがあるんだ?」

 オリヴィエが聞くと、

「珈琲と紅茶、オレンジジュースとミルクがあります」

「カフェラテ……はできないかしら?」

 コック長の答えに、アイリスがおずおずと尋ねる。

「できますよ」

 と、コック長は微笑した。

「じゃあボクもカフェラテー!」

 フランシスが声を上げた。

「俺は普通の珈琲だな。あ、砂糖は三つほど付けてくれ」

 その答えに、俺は目を見開いた。マウロさん甘党だったんですね。

「俺も珈琲。なにも付けなくてかまわん」

 オリヴィエが言った。

「シャルルは?」

 と、アイリスがこちらを向くので、

「じゃあ、カフェラテで」

 俺は答えた。

「わかりました」

 そう言って、コック長と船長はリビングを後にした。

「無理を言ってしまったかしら?」

 と、アイリスが首を傾げる。

「大丈夫でしょう。朝飲みましたから」

 俺は言った。

「え、飲んだの!?」

 すかさずフランシスが、声を張り上げる。

「あぁ、起きてこなかったお前が悪い」

 美味しかったぞ? と、俺は腕を組んだ。

「シャルルは猫舌だから飲むのに時間がかかったのよね」

 アイリスは言った。途端、フランシスがにやりと笑う。う、弱点を知られてしまった。

 しかし、そうやって笑うこいつも猫だ。同じ猫舌なのだ。

 その点、新聞を読むと言う体で珈琲を冷ましていたオリヴィエは、素晴らしいアイデアを見出だしたのだろう。

 さすが隊長。だてに長生きしていない。

「お待たせいたしました」

 やがて、人数分のグラスを乗せた盆を持った船長があらわれた。

ん? グラス?

「銃士の方々は猫舌だろうと思いまして、氷を入れさせていただきました。アイリス様の分も、ついでに氷が入ったグラスでご用意させていただきます」

 ルチェ諸島で作られたのだろう切り子のグラスに透けるカフェラテは、ミルクの白と珈琲の茶色が合わさって綺麗だ。

「アイスラテなんて久しぶりだ……」

 いや、前世ぶりだ、と、俺は聞こえぬほどの声で呟いた。

「マドラーでかき混ぜてお飲みください」と、船長はそれぞれにマドラーを配る。そうしてマウロの前まで来ると、「お砂糖を混ぜた珈琲に氷を入れてあります。ご安心ください」

 と、言った。

「おう、ありがとう」

 マウロは喜んで冷えた珈琲を口に運んだ。良い飲みっぷりだ。一気に半分まで減ってしまった。

「いかがですか?」

 船長が聞くと、

「見てわかるだろ? くどくなくて美味しいよ」

 マウロは答えた。

「ありがとうございます! 今後の参考にいたします」

 船長は喜んで外へ出ていった。それは、これからも頼めばアイスの珈琲が出てくると言う事だろう。腹の調子に注意して飲んでいこう。


お読みいただきありがとうございます。

レビュー、感想等よろしければ書いてくださると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ