一話〜電車ァ!〜
俺、新城運命は高校一年生。いつもと変わらず通学の電車に乗っていた。
「今日も電車をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、○○号○○行きです。途中の停車駅は…」
ふぅ…眠たい。毎日思うのだが、電車に乗っている時間は非常に暇だ。俺はスマホを取り出し、画面をつけた。
ニュースでも見ようかとニュースアプリを開くと、デカデカととある記事があった。連続殺人犯、未だ逃亡中!? やれやれ、物騒な。ニュースを見て少し怖くなった俺は時間を確認した後、スマホを閉じた。
7:26。学校最寄りの駅まではまだ15分以上ある。ニュースを見た恐ろしさから気をそらすために外の景色を眺める。相変わらずコンクリート一色、毎日見ている景色だ。
暇だ暇だと俺は電車の天井を眺めた自分の方を向くクーラーを眺めていると不意に浮遊感に襲われた。
ドグォン!ドグォン!
瞬間縦揺れ。強烈な二階の振動。辺りは騒然とした。
「ガ…ガガ ミッ皆さま…ミ皆さま。オちついてお掴まりくダッ…ガガガ…」
底しれぬ恐怖が顔を見せた。電車の外の景色が❝消し飛ばされた❞のだ。電車の客たちは大パニック。収集つかんだろ、これ。
窓の外の景色が一転二転する。灰色の角柱がそびえ立つ我らが街はすでにもう映らない。そこに映ったのはすべてを焼き尽くすような赤、すべてを凍てつかせるような青とすべてを包み込む光。そしてすべてを飲み込むような黒。そして虚無。何もない白い空間。そこに落ち着いた。
「ふぉふぉふぉ。これはまた随分な客人だの。」
電車の前には謎の老人が佇んでいた。