序章 遊戯の始まり
始めて投稿させていただくので色々と至らぬ点がございますが、暇つぶしに読んでいただけると幸いです。
なお、この作品では、二つの視点に分かれて書いていこうと思ってます。1章 Aの次に1章 Bといった感じでいく予定です。
気が向いた時しか書かないのでだいぶ不定期更新になると思います。すいません
何なんだろうか。この違和感は。何も見えない。何も聞こえない。五感全てを奪われ、ただ孤独と対峙するこの状況は。何なんだろうか。
そんな不安はすぐさま消える事となった。視界がひらけて光を目の当たりにする。生きている、そう実感できる。
今の状況を説明しよう。一言で言えば、落ちている。ただ落ちている。落下点など見えない。ただ落ちている。終わりのない落下に死を覚悟する。何故だろう。恐怖が湧かない。死に対する恐怖がない。何故だろう。
目が乾く。目を閉じる。目を開ける。目が痛い。目を細める。下に何か見える。落下点の出現。それが意味する事、即ち死。近ずいてくる。床が、近ずいてくる。近い、近い、近い。床は気付くと目の前にあった。
この日この時。一人の人間が鈍い音と共に肉片と化した。
『お......ろ...い』
「ゆ、夢オチかよ。あぁビビったぁ。」
俺は一人、部屋で叫んだ。と思っていた。何処だよここ。寝起きの俺が見た場所、それは、ただの闇。何も見えない。何も聞こえない。徐々に焦りが生じる。ここはさっきまで自分が夢でいた場所。そこに酷似している。
途端、視界が開けた。闇以外のものを目にして感じる。悪い予感が確信に変わる恐怖。死が近い。死の恐怖を実感し、呼吸がはやくなる。死にたくない。死にたくない。そんな想いは肉片と共に儚く散った。
『ゲ......は...め......し...う』
光が見える。身体を起こし、周りを見渡す。広がるのは無。今立っている場所以外には何も無い。
そして違和感に気付く。俺は今、この世に産まれた。